【スバル】新型インプレッサ 試乗インプレッション 日本車のトップレベルに躍り出た!

マニアック評価vol74
新型インプレッサ2.0i-Sのステアリングを握ってスタートすると、動き出した瞬間からステアリングホイールだけではなく、ボディ全体からこのクルマの並ではない存在感を体で感じることができた。こんな例は日本車ではきわめて珍しい。

新型インプレッサは、これまでの7年というモデルサイクルをあえて短縮し、スバルの基幹車種として確立させようという切実な願いを込めたクルマだ。もちろんコンセプトのバックボーンにある、世界に通用するCセグメントと位置付ける、という狙いは初代から変わりはないが、今回の4代目の開発にあたっては、幅広いユーザー層に購入意欲を起こさせる要素として、デザインの洗練と質感の向上、気持ち良い走りと安全性の両立、トップレベルの燃費という3つの要素を大幅にレベルアップさせて来ている。そのために、新設計とも言えるプラットフォームとボディ、新世代エンジンとリニアトロニック・トランスミッションなど主要なハードウエアを一新したのだ。
1.6Lフロント2.0i-S走り
そして、現在のCセグメントのクルマのトップレベルに位置付けるために、インテリアの質感、仕上げから、全車が4輪ディスクブレーキやVDC(ESP)標準装備、アイサイト装備車を設定するなど、従来の制約を取り払い、いわば世界共通仕様としているのが注目点だ。

また従来は必ずラインアップされてきたターボエンジンを封印し、1.6Lと2.0Lの自然吸気エンジンだけでライバルたちと勝負することにしている。したがって、走りも動力性能の高さというより、気持ちよい走りや扱いやすくするのが目標とされているのだ。

エクステリア・インテリア

エクステリアのデザインは、引き締まったソリッド感が感じられ、また従来のインプレッサはロングノーズとAピラーの角度からレトロ感が少々漂っていたが、今回のAピラーの前進(キャビンフォワード)とピラー角度を強めたことでキャビンとのデザイン的なバランスが高められていることが感じられる。

よくあるようにAピラーを前進させると、ドライバーの斜め前方の視界がAピラーで阻害される。スバルはこれまでそれを嫌っていたのだが、今回は他車と同じようにAピラーの前進に合わせて三角窓を設け、ピラーの形状や三角窓のフレームを細くデザインすることで、視界の悪化は最小限に抑えられ、従来車から乗り換えても違和感がない。
Aピラーの死角

 

インテリアは、従来のインプレッサの常識を打ち破り、見た目や触感などの質感は高められている。ソフトパッドを採用したダッシュボード部やシートの仕上げは特筆できる。シートに関しては腰椎の支持圧が強められ、ロングドライブを意識した進化といえる。またフロントシートのヘッドレストは前後調整式で、これもドライバーの体形にフィットさせる配慮だ。
インテリアmultifanction

 

リヤドアの面積が広げられ、さらに開口角度も大きいため、乗り降りのしやすさはこれまでより大幅に向上している。またリヤシートの居住性、足元スペースの広さも文句なしで、4名乗車でのロングドライブもまったく苦にならないだろう。

4ドアセダンのG4はトランク容十分で、トランクリッド・アームには荷物が擦れしないようにトリムカバーがついているのは親切だ。ドアの開閉フィーリングはレガシィと同じレベルにあり、ドア閉まり音の良さは国産車でもトップレベルである。

メーターパネルは、1.6iグレードのみはインフォメーションメーター、それ以上のグレードはカラー液晶のマルチファンクションディスプレイが装備されるのも、このクラスでは異例だ。これは燃費や航続距離だけではなくVDCの作動などまでグラフィックに表示できる多機能ディスプレイとなっている。
スポーツG4とランク

ハンドリング

走り出して、すぐに体感できるのがボディ全体の硬質な包まれ感であり、素直で剛性の高いステアリング操舵感であり、フラットな乗り心地だ。新型インプレッサの走り味の目標はVWゴルフ6とされているのだが、高張力鋼板を駆使し板厚は薄めでありながら、がしっかりとした硬いボディに包まれたと感じるフィーリングはVWゴルフやポロに肉薄しているといってよいレベルだ。

これは、ボディの骨格やシャシーの取り付け部が従来とは比較にならないほど剛性が高いということだ。実際、担当エンジニアの話では、特にボディのリヤまわり、サスペンション取り付け部の局部剛性が高められているという。その証として、サスペンションのブッシュ類やアッパーマウントがすべて固める方向でチューニングされている。

 

はしり
2.0iの市街地走行。文句なしのステアリング・インフォメーションがある

従来の常識では、これらは乗り心地や快適性を確保するために常に柔らかくする、あるいは大容量にするという方向が取られてきた。従来とは逆方向のチューニングが可能になったということは、シャシーの局部剛性がどれほど高くなったかがわかる。

また、リヤが従来より固められたことで、フロントの操舵による動きがより早く、そしてダイレクトにリヤに伝達されることや、横力トーイン特性がより抑えられたことで、すっきりした操舵フィーリング、直進時の安定感が実現したといえる。当然ながら、このしっかりとしたボディは乗り心地でもばたつき感がなく、しっとりとし、かつフラットな乗り味を引き出している。

ステアリングはフォレスター用とは異なる新開発のピニオンアシスト式の電動パワステで、正確な反応を示すステアリングといえるが、幾分かの不満点がある。本来は剛性の高いパワステ形式なのだが、直進付近での締まりがやや弱いこと、小舵角、大舵角でも切り始めに摩擦感がありこの点は改善を望みたい。なお現時点では、トルク反力補正などのアダプティブ制御は採用していない。また操舵力の軽さに対してステアリングホイールの重量感、慣性マスの大きさも気になった。

ビシッとした直進安定感は新型インプレッサの大きなポテンシャルのひとつだろう。ボディ全体から伝わるしっかり感と、この直進安定感により、新型インプレッサは誰がステアリングを握っても、余裕や安心感を感じられると思う。

2.0iは標準が16インチタイヤ、Sグレードが17インチタイヤという設定で、試乗車はダンロップSPスポーツ2050(205/50-17)を装着。このブランドはOEM専用で、欧州車的な剛性感のあるフィーリングで、ステアリングインフォメーションにも優れている。

一方、1.6iは195/65-15サイズのグッドイヤー・エクセレンスにスチールホイールという組み合わせ(1.6iLはアルミホイール)で装着していた。このタイヤもグッドイヤー・ヨーロッパが開発したもので、ハンドリングとコンフォートの両立を狙ったタイヤだ。燃費最優先のタイヤとはひと味違ったフィーリングで路面との当たりが柔らかく、乗り心地も良好だった。

ブレーキは、2.0iは2ポットキャリパー、1.6iはシングルポットキャリパーという違いとディスクサイズが異なるものの、ペダル踏力と制動力、フィードバックのバランス、効き具合、コントロール性は文句なしで、これもクラストップだろう。しっかりしたブレーキの剛性感は全車標準で、欧州車同等のタイロッド式ブースターによるところも大きいと思う。

VDCを標準装備し、さらに2.0iはアイサイトを選択できるのも他車にはない特徴だ。発売時点ではアイサイトは2.0iのみの設定だが、ぜひとも1.6iにも拡大を願いたい。

タイヤタイヤ

エンジン

新型インプレッサのエンジンは、新開発の1.6Lと2.0Lを搭載している。この2種のエンジンは、FB16型、FB20型という名称からもわかるように、新世代のベースエンジンで、最初にFB20型が搭載されたフォレスター用よりさらに進化している。

急速燃焼、大量EGR、低フリクション、アトキンソンサイクル運転、低回転化、低中速トルク追求などの最新トレンドを取り入れている。またインプレッサ用に新開発されたリニアトロニック(CVT)との組み合わせ、アイドリングストップの装備もトピックだ。

 

エンジン1
2.0LのFB20型ボクサー

新エンジンとワイドレシオのリニアトロニックを組み合わせることで、2.0iは100km/hが1900rpm、1.6iでは2100rpmに抑えられるので、実用燃費も郊外や高速道路ではJC08モード燃費を達成できるはずだ。巡行時に低中速トルクを活用して、高い巡航ギヤ比を組み合わせる手法は最新のトレンドだが、このクラスできっちりこれを取り入れていることは評価できる。なお、変速制御をギヤセレクターの根元にあるスイッチで「Sモード」にすると、加速応答性を高めるために別の車速線図に切り替わり、100km/hはそれぞれ2500rpm、2700rpmになる。

燃費は、ごく短時間の試乗機会だが、信号の多い市街地で12km/L前後、郊外の道路や高速道路での巡航が多いシーンでは16〜18km/Lを記録するのはそう難しくないと思われる。いいかえればカタログ燃費を出しやすい性能を持っていると言えるだろう。

新採用のアイドリングストップは、停止後に直ちにエンジンストップし、わずかなステアリング操作やブレーキを緩めることで瞬時に再始動する。状況に合わせた再始動の速さは文句なしというレベルだ。市街地での発進加速、高速道路での追い越し加速は1.6iでもトルク感があり、十分満足でき、2.0iはさらにスポーティといえるフィーリングが得られる。なお、通常のCVTでは、発進加速といった状況ではエンジン回転が高まってから加速が始まるという特徴があるが、リニアトロニックはそうした遅れ感がなく、エンジン回転と連動した遅れのない加速が実感できるのも気持ちよい。

チェーン式のCVTであるリニアトロニックの唯一の不満点は、加速から一気にアクセルオフした瞬間や、ブレーキを踏んで停止する瞬間に「シャーッ」というチェーンの打音が聞こえるところだ。担当エンジニアによれば、これはチェーンの結合ピンがプーリーを叩く音だという。

 

CVT
リニアトロニックのCVTは名前の通り、リニアな反応をするCVTだ

エンジン全体としては、低速からの加速の応答性の良さや滑らかさ、高速での振動のないフィーリングは水平対向エンジンの資質の高さと徹底した低フリクションにしたエンジンの味わいといえる。あえて言えば、エンジンのサウンドがビジネスライクで色気がないという点だけが惜しい気がする。

新型インプレッサは、走り、燃費、質感という面でクラスの常識を大きく破り、日本車のこのクラスでの新たな基準になったといえる。走行フィーリングにおいてヨーロッパ車の質に迫る部分もある。これは個々の性能が高められたというより、クルマとして目指す方向性がしっかり固められた結果、得られたと考えてよいのかもしれない。
1.6iスポーツ↓
真横リヤ
●スポーツ/G4 1.6i 155万4000円〜2.0i-EyeSight 233万1000円 ●全長4580mm×全幅1740×全高1465mm WB2645mm ●JC08モード15.4km/L〜20.0km/L ●FB16型1.6L最高出力85kw(115ps)/5600rpm、最大トルク148Nm/4000rpm FB20型 2.0L 最高出力110kw(150ps)/6200rpm、196Nm/4200rpm

 

スバル公式サイト  http://www.subaru.jp/impreza/sport/

 

編集部:松本晴比古


The Mortor Weekly

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