スバル クロスオーバー7 試乗記 質感や仕上げ、コストパフォーマンスを高めた7シーター

マニアック評価vol354
スバル クロスオーバー7 試乗

2015年4月に発売されたクロスオーバー7は、2008年にデビューしたエクシーガの発展型だ。現状では正式車名は「エクシーガ クロスオーバー7」となっているが、やはり新たなネーミング、新たなキャラクターでの再デビューと考えてよいだろう。

このモデルの原型は2013年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「CROSSOVER 7 CONCEPT」で、このコンセプトカーがほぼそのまま市販モデルとして登場したことになる。エクシーガはステーションワゴン型の3列シートモデルで、多目的(MPV)、7人乗りのロングツアラーという独自のカテゴリーをであることを主張し、一方で当時のホンダオデッセイなども視野に入れて、AWDだけではなくFFモデルも設定している。

スバル クロスオーバー7 試乗スバル クロスオーバー7 試乗

しかし、ステーションワゴン・スタイルの7人乗りというカテゴリー自体が国内市場では縮小し、3列シート、7人乗りといえばミニバンという流れが定着しているため、エクシーガの発展型としてミニバンではなくクロスオーバーMPVとして再定義し、クロスオーバー7としてデビューしたわけだ。

クロスオーバーというポジショニングが与えられたため、ボディの主要骨格はそのままで、駆動方式はAWDのみとし、搭載エンジンは自然吸気のFB25型水平対向・2.5Lに一本化。2.0Lターボは設定されない。そして、クロスオーバーモデルとして本流の最低地上高170㎜、大径タイヤ、前後オーバーフェンダーの採用などクロスオーバー・デザインを採用している。そのため、一目見た印象は従来のエクシーガよりわかりやすい存在になっている。

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◆インプレッション

では乗ったフィーリングはどうか。多くのハードウエアはレガシィ・アウトバックと共通化されていることもあり、ひと言でいえばアウトバックの7シーター版といえるだろう。エンジン/トランスミッションも共通で、レギュラーガソリン仕様の173ps/235Nm。実用エンジンであるがクロスオーバー7を走らせるために十分な動力性能を備えており、低速でのトルクもしっかり出ているのでエンジンを回さなくてもフレキシビリティが高い。また実用エンジンとはいえ、水平対向ならではの回転の滑らかさは、巡航時の気持ちよさに直結する。

リニアトロニック・トランスミッションはパドルシフト付きで、意図通りの変速もできるし、Dレンジでも一般的なCVTのようなフィーリングは感じられず、よく熟成されている。駆動システムはAWDのみとなり、170㎜の最低地上高と合わせ、クロスオーバー7の付加価値を高めている。

スバル クロスオーバー7 試乗

これまでのエクシーガと比べ、大きく変わったのはシャシーのフィーリングだ。エクシーガはもともとSIシャシーを採用し、プラットフォームはレガシィと50%ほど共通化されているが、レガシィの進化に合わせクロスオーバー7のシャシーは剛性が向上し、サスペンション、パワーステアリングのチューニングも大幅に改良されている。

そのため、乗り心地、ステアリングの操舵フィーリングがひとクラス上の上級Dセグメントのレベルといえるほど上質で気持ち良いフィーリングになっており、3列シートの長距離ツアラーというコンセプト通りの走り味になっている。走行中のボディ全体のどっしりした剛性感が高く、キャビン内の静粛性もかなり向上している。この剛性感やキャビン内の静かさは3列シートのミニバンに比べて大きなアドバンテージとなっていると思う。

2.5L、自然吸気のFB25型エンジン。173ps/235Nmを発生
2.5L、自然吸気のFB25型エンジン。173ps/235Nmを発生

ステアリングのギヤ比は16.5:1で、他メーカー車と比べればクイックだが現在のスバル車の中ではごく普通のギヤ比で、決してクイックではなくリニアな操舵フィーリングだ。ステアリングを切ってからの安定感が高まっているのはロール角の抑制、ダンパーのチューニングによるところが大きく、リヤ席での乗り心地も向上している。

運転支援システムはアイサイトver2が搭載されており、レヴォーグなどのver3との大きな違いはレーンキープ・操舵アシスト機能の有無だけで、やはり標準装備化されたアイサイトは他車に比べると大きなアドバンテージといえる。

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今回のクロスオーバー7のインテリアも従来のエクシーガと大きく変わっている。従来のダーク基調のインテリアカラーから、シートやトリムパネルを渋茶色のタンカラーとブラックを組み合わせ、シックな雰囲気にしている。シートは標準はファブリック+合成レザー、メーカーオプションで本革+ウルトラスウェードが選べるが、厚みのあるシートバックや座面の形状、ステッチ仕上げなどこれまでとは格段に質感が高められているのだ。今回のクロスオーバー7に仕立てる上で、最もコストをかけたのはインテリアではないかと想像できる。

スバル クロスオーバー7 試乗

パッケージングは従来のエクシーガと変更はなく、フロントシートから3列目シートまで着座位置が高くなるシアターシート・レイアウトにより後席での快適性も高い。2列目シートはリクライニング、前後スライド機能を持ち、3列目も左右独立リクライニング機能を持っており、シートの作りもしっかりしている。ただ膝周りのスペースは狭いので大人が長時間乗るのは厳しく、子供用だ。

これまでのエクシーガは、機能や性能は高いレベルにあったが、デザイン、存在感が薄く地味すぎな存在だったが、今回のクロスオーバー7は見た目の存在感が高まり、インテリアの質感も大幅に向上している。また走り味も一段と洗練され、ヨーロッパ車のようなどっしり感が伝わってくるなど、全体的に大きく進化している。

そういう意味で家族でロングドライブするといったシーンや、ステーションワゴンとして多様な荷物を積み込んで走るというシーンにはうってつけで、価格帯から考えてコストパフォーマンスはかなり高いと思う。

スバル クロスオーバー7諸元表

スバル クロスオーバー7 価格表

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