2025年3月15日(土)、16日(日)に岡山国際サーキットでスーパーGT2025公式テストが行なわれた。SUBARU BRZ GT300はこれに先立ち2日間、岡山国際サーキットで走行テストをしており、合計4日間に渡り新車テストを行なった。
公式テストは気温が低く、路面温度も10度に満たない低温状態で、天候も雨という悪コンディションでのテストとなった。そうした状況で、小澤正弘総監督は公式テストに参加することに対し「ライバルとの差が見えてくるテストになると思いますし、また雨でのテストもできていないので、レインタイヤを考えれば雨は歓迎ですね」とコメント。

今季はフロントタイヤのサイズ変更があるため、マシンの合わせ込みデータの蓄積が重要で、可能な限りさまざまな条件で走行することが大事になる。とはいえ、この時期にしては低温で、セッション1は曇りから雨という天候のなか、6回も赤旗中断があり、各チームとも低温時に走行できるタイヤには苦労していた様子だった。
BRZ GT300も同様で、セットアップのデータを作りながら10位前後のラップタイムを刻んでいた。ドライバーは山内英輝をメインにジオメトリーを含めピットインを繰り返すテストとなった。

午後になるとウエット路面となり、低温と相まって極めて低ミュー路面での走行になった。小澤総監督は「低ミューだからこそ、制御の緻密さは重要で、そこが不足しているところも見つかったので、課題を出せたことは大きいですね。緻密な制御ができればドライでは絶対にいい方向になりますので、走行条件は悪いですが、データ取りには良かったと思います」と話す。
公式テスト2日目も天気は回復せず、低温で雨。セッション3の開始早々、GT300クラスのマシンは7〜8台ほどしか走行せず、各チームともコンディションの回復を待つほどだ。BRTZ GT300も最初は様子をみていたが開始15分ほどでコースインをし、データ取りの走行を始めた。

開始から1時間ほどすると小雨になり、雨量状況は少し改善されたが、フルウエットであることには変わりはない。そうした状況で山内は5位、6位あたりのタイムを出しており、次第にセットアップの手応えが出ている様子だった。
そして最後のセッション4は、強い雨と小雨が繰り返される天候で始まったが、BRZ GT300はその厳しい条件の中で走行するマシンの中では、トップタイムを刻むようになっていく。

そうした変化は車高を変えることや、ダンパーの減衰調整、スプリングのバネレートの変更、ジオメトリーの変更を繰り返す中で、バランスのいい状況を探ることでタイムアップにつながっていた。
一方で、今季はエアロを変更し、エンジン制御のPCUを変更、シーケンシャルのパドルシフトも変え、さらにブレーキも変更というハード部品変更を行なっているが、そうしたパーツの課題は出てこないテストだったとも言えるのだ。

特に空力性能の変更は、旋回中のダウンフォースをどれだけ稼げるのかという課題に注力しており、シェイクダウンのときは旧型エアロボンネットと比較することもテストしていた。が、今回はそうした課題もなく、ドライバーからもバランスはいいとコメントが出ていた。
ブレーキはキャリパーがエンドレス製に変わり、ローターはAP製、パッドはPFC製を採用している。ただABS制御はアドヴィックスに変更しているので、それらの組み合わせも今季からの取り組みであり、多少の課題がでてもよさそうだったが、特に気になる点もないと山内、井口ともに口を揃えていた。


結局2日間の公式テストは低温で雨という悪条件だったが、チームにとっては貴重なデータ取りができたテストであり、制御が詰めきれていない箇所も明確になったわけで、小澤総監督もいいテストができたとコメントしている。


また主にセットアップを担当した山内もウエットだから、顔を出す動きもあり、去年までのマシンとの違いも分かり、それに対して、どうセットアップしていくかという方向性も見つかったと話している。
次回は3月29日(土)、30日(日)に静岡県の富士スピードウェイで公式テストが行なわれる。シーズンインまで最後の公式テストとなり、BRZ T300の本番向けセットアップ、熟成を目指すことになるだろう。オールニューとなったBRZ GT300の成長に期待したい。