日産セレナ試乗記 最上級グレード「ルキシオン」はe- POWER専用モデルで登場

六代目、新型セレナのe-POWER搭載モデルに公道で試乗することができたので、お伝えしよう。

2022年の11月にプロトタイプの試乗を日産のテストコースで行なっているが、ようやく、ナンバー付きの市販モデルに試乗することができた。

日産 新型「セレナ」e-POWER ハイウェイスターV

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新型セレナのモデル

ガソリンモデルは2023年初頭には販売が開始されていたが、e-POWERの発売が数ヶ月遅れ、春からの発売になった。販売状況はe-POWERが半数以上を占める受注ということで、ようやく本命が投入されたわけだ。

ボディカラーは利久-リキュウ- / スーパーブラック(2トーン)

グレード体系では最高級グレードに「LUXION(ルキシオン)」が新設定され、こちらはe-POWER専用グレードのFF+7人乗りモデルだ。その下にハイウエイスターがあり、XV、Xというグレード体系。e-POWERは全グレードで選択できるもののFFだけで、4WDが必要なユーザーはガソリンを選択することになる。

またXVとXグレードは5ナンバーサイズで販売されている。もちろん、外装パーツにより幅が広がっているだけなので、車両本体の大きさは同じ。そしてもうひとつのトピックとしてe-POWERに8人乗りが設定されたことがある。こちらは先代モデルでは設定がなく、市場からの要望に応える形で市場投入したわけだ。

一方でオーテックバージョンはハイウェイスターVをベースグレードにe-POWERとガソリンを設定し、ガソリンはFF、4WDが選択できる、ハイウェイスターのe-POWERモデルは逆に7人乗りになっている。

ルキシオンとハイウェイスターのボディサイズは全長4765mm、全幅1715mm、全高1870mm(ルキシオンのみ1885mm)、そして5ナンバーサイズのXVとXグレードのボディサイズは全長4690mm、全幅1695mm、で全高は共通の1870mm、ホイールベースは2870mmで全モデル共通だ。

新グレード「LUXION」を試乗

日産 新型「セレナ」e-POWER LUXION(ルキシオン)

試乗したモデルは2モデルで、いずれもe-POWERを搭載するハイウェイスターとルキシオンの2タイプだ。この2台の見た目の違いはほとんどなく、エンブレムの違いとヘッドライト横のサイドパネルの色違いといった程度で、ほぼ見分けがつかない。

どこに違いがあるかと言えば、装備面であり、プロパイロット2.0がルキシオンは標準装備しており、ハイウェイスターはプロパイロットの装備になるなどの違いだ。

さて、試乗してみると最初に感じるのは静粛性の高さだ。e-POWERはエンジンを搭載しているものの、全速度域をモーターで走行するハイブリッド。そして今回はそのe- POWER専用のエンジンを開発していることも大きい。HR14DDe型ガソリンエンジンは、充電専用であり、そのためエンジンノイズや振動は、使い方が決まっているだけに制御しやすかったのだろう、エンジンの存在はほぼ気にならないほど静かに走るのだ。

以前は動き出しでもエンジンが始動する場面もあったが、今回はそうした場面はなく、モーターで音もなくスッと動き出す。車速があがり、外乱の音が出始めるとエンジンが始動し充電を始めるが、その際でも静かで、意識しないと気づかないレベルだった。

高い静粛性と視界の良さ

ルキシオンにはとりわけ遮音効果の高いラミネートガラスを運転席、助手席のサイドウインドウにも採用し、外からの音を遮蔽している。そのため車内の静粛性は高速道路の走行でも静かで、車内での会話明瞭度が非常に高いと感じた。家族で移動するときに、声を張り上げなくても会話ができ、楽しいドライブになる。

ボタンタイプのセレクターの採用で広々としたフロント周り

そしてウインドウの広さから、視界の広さも良かった。特に2列目、3列目に座っている人にとって、前方視界が良いことは閉塞感がなく、開放的な気分になる。こうした取り組みはクルマ酔い対策にも効果的で、楽しい移動になる。

ただ、路面状況によっては運転席と2列目、特に2列目ではブルブルという振動があったのは気になる。フロアパネルの振動なのか、足元で振動を感じた。これもエンジン走行していない、あるいは全体のNVHの性能が良くなったことで気になることなのかもしれないが。

モーターは先代より20kWパワーアップされ、アクセルペダルやe-Pedalなどのペダル操作の制御を見直している。これは滑らかに走れることにつながり、言われなければわからない裏側の高いレベルの制御技術ということができる。

プロパイロット2.0を標準装備

ルキシオンに標準装備されるプロパイロット2.0は新東名高速の120km/h区間でも試したが、制御レベルはどんどんと進化していることを体感した。人が運転しているように近づいた印象だ。このレベルであれば、交通量の少ない場所であれば積極的に使っていきたいと感じた。

筆者の高橋アキラがプロパイロット2.0を体験

そしてリモートパーキングとメモリー機能もプロパイロット2.0には搭載されている。狭い場所への駐車は車外から操作できる自動パーキング機能で、駐車が苦手な人にはありがたい。そしてメモリー機能は白線がなくても駐車した位置を記憶し、同じ場所に来ると自動で駐車してくれる機能だ。自宅の車庫を登録といった使い方になるだろう。

インテリア、エクステリアでは非常に多くのオプションが用意されていることも特徴だ。特にインテリア関連では自分の部屋を作るかのように、さまざまなアイテムがラインアップしてあり、居心地の良い「部屋」が作れる。

3列目のシートはスライド機能を持ち、ラゲッジの使い方に幅が出る。ゴルフのキャディバッグは縦積みで4本搭載できるので、3列目にボストンバッグを置き、4人で会話を楽しみながらゴルフ場まで行くといった使い方ができる。

ただ、3列目のシートが不要な場合、跳ね上げて両サイドで固定する方式だが、ここはやや力が必要なことと少しの手間がかかってしまう。

日産ではミニバンマーケットは安定して推移していると分析し、今回のセレナは家族との遠出を最大限に楽しむためのミニバンとして開発している。その原動力になるのがe- POWERという日産独自のパワートレインが大きく貢献していることを感じる試乗だった。

諸元

価格

COTY
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