日産リーフe+試乗記 大容量バッテリーがもたらす恩恵

マニアック評価 vol.667

日産リーフに、バッテリー容量を増やした「リーフe+」が2019年1月に追加され、発売前に千葉県袖ヶ浦にあるフォレストレースウエェイで一度試乗している。その時のレポートはこちら。今回は、より現実的に市街地と高速道路で試乗し日常的な環境ではどんな違いがあるのか体験した結果、eプラスというだけに、パワーも航続距離もプラスされていることがわかった。

横浜エリアで高速と一般道を走行テスト
横浜エリアで高速と一般道を走行テスト

中間加速と最後の伸びが違う

日産のグローバル本社がある横浜から乗り出し、高速道路や一般道を走行してみると、最初に中間加速の力強さの違いを感じる。40km/hや60km/h、80km/hからの加速は、だれでも日常的に出す速度で、そこからアクセルを踏んだ際、背中を蹴飛ばされたような、とは言いすぎかもしれないが、シートバックに押し付けられるような加速はする。

従来の40kWhのバッテリーから、今回の62kWhのバッテリーに容量アップした効果がこうした中間加速の場面で感じることができる。また、発進時からの加速では、40kWhのリーフは0km/hから50km/h付近まで一気に加速できるが、e+は70km/hまで最大の加速Gが持続する。だから、最後の伸びが違うといった印象だ。

数値としては最大出力が45%アップし、高速、中間加速が13%アップした、というデータだ。出力アップの要因はバッテリー容量の増加で、これは以前にも説明しているが、並列で192セルのバッテリー搭載方法から3並列で288セルに変更していることが大きく影響している。そのため電流が強く流れインバーターへ供給されている。もちろんインバーター自体の性能もアップさせ、出力制御をしているのはいうまでもない。

大容量バッテリーは車体重量増になるが・・・

このバッテリー容量の増大は、車重にも影響しリーフより130kg重くなっている。そのため、サスペンションの強化も行ない、操舵フィーリングをe+専用にチューニングしている。その違いは乗り比べると感じるものだが、e+単体では特に違和感などはない。それよりも、車重が重くなったことで、重厚感が増し、乗っていて今まで以上に高級車の乗り心地だと感じることのほうが大きい。

静粛性も高くどっしりとした、安定感とボディのしっかり感を感じならの操舵は、意のままに走る乗りやすいクルマだと感じる。しっとりと滑らかに走行するリーフe+は、まさに高級車の味わいがあると言っていいだろう。

乗り出しの時は480km航続可能と表示
乗り出しの時は480km航続可能と表示

このバッテリー容量の増加は航続距離も長くしている。今回の試乗では長距離走行をしていないので実際の距離は不明だが、カタログ値では458km、JC08モードなら570kmもの航続距離があり、40kWhのリーフに対して40%も距離が伸びていることになる。このあたりは、別な機会で、実際の走行距離がどの程度なのかテストしてみたい。

同じ充電時間でも航続距離が延びる

一方で、バッテリー容量増加は急速充電にも恩恵がある。というのは、バッテリー残量が減り充電をする時に、40kWhのリーフと同じ30分間の急速充電をしたとしても航続距離で差がつくのだ。つまり、バッテリーの放電ロスを除いた残容量のSOC50%の時、30分間急速充電したとする。そのとき、満充電が近づくにつれ、容量が増加しにくくなることを経験している人は多いと思う。しかし、e+のバッテリーはその充電の入りにくさが、40kWhに比べて大電流を入れら続けることができるのだ。結果として充電率は上がり、より長距離走行が可能ということになる。

100kWの急速充電器にも対応するようになった
100kWの急速充電器にも対応するようになった

そしてこのリーフe+は、急速充電器が100kWの高出力タイプにも対応するようになった。つまり、より短時間で充電容量の回復が可能になったということだ。

ちなみに、バッテリー残量警告灯が点灯してから80%までの充電時間は50kW充電器で60分、60kWで50分なので、100kW充電になるとさらに短くなる。また、普通充電の場合、これまで6kWはオプション設定となっていたが、e+には標準装備とした。その6kWの普通充電では80%までの回復に12.5時間かかり、3kWでは24.5時間かかる。

また、このリーフe+は従来の40kWh仕様と併売されるので、航続距離など自分の利用形態に合わせて選択できるのだ。

最後にもうひとつ気持ちよかった体験として、バッテリーをできるだけ減らしたくないので、エアコンなどの空調は自然と控えめになると思うが、この試乗した日は天気もよく、車内は軽く冷却したいくらいの気温だった。が、本能的になのか、エアコンは使わず窓を開けて走行してみたのだ。

日産リーフe+試乗記 大容量バッテリーがもたらす恩恵

すると、昔懐かしい感覚が蘇り、走行すると車内に入る風が気持ちよく、車載エアコンがなかった時代を思い出した。横浜のような大都会でも爽快に感じるのだから、郊外であれば、また、海や山の自然あふれる環境であれば、排気ガスを一切出さず自然の風を感じながらドライブするのは、実に気持ちいい気分になるだろう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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