日産・オールラインアップ雪上試乗記 雪道も安心のオンデマンド式4WDでドライブ

マニアック評価vol408

4WDのエクストレイルからFF小型車のマーチまで様々なタイプの試乗車が用意された
4WDのエクストレイルからFF小型車のマーチまで様々なタイプの試乗車が用意された

雪上ドライブと言われて真っ先にイメージするのは4WDだろう。今、日産が一押しでアピールするのはエクストレイル・ハイブリッドだ。2015年5月にこれまでのディーゼルに代わり、追加モデルとして発売された4WDで、初の冬を迎えたことになる。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

4WDのエクストレイルからFF小型車のマーチまで様々なタイプの試乗車が用意された ALL MODE 4×4-iを搭載したエクストレイル・ハイブリッド
ALL MODE 4×4-iを搭載したエクストレイル・ハイブリッド
圧雪路や凍結路など路面状態を苦にしない走りを見せる
圧雪路や凍結路など路面状態を苦にしない走りを見せる

エクストレイル・ハイブリッドの4WDは「ALL MODE 4×4-i」とネーミングされている。これはスカイラインGT-Rに搭載されていたアテーサE-TS譲りの制御システムを採用した予測機能をもった4WDで、ドライバーのステアリング舵角やクルマの動きを捉え、瞬時にドライバーのイメージにあった目標ヨーレイトを算出しコーナリングラインを予測する。そしてイメージ通りにクルマを自動制御していく機能だ。

直進状態ではほぼFFに近い状態で走行し、ハンドル操作やアクセルワークに応じて前後トルク配分を変更し、アンダーステア、オーバーステアを消して安定方向へとコントロールする。システムとしてはセンターデフを持たないオンデマンド4WDで、ハイブリッドだけに燃費も踏まえたモデルだ。

試乗は霧ヶ峰周辺の雪上山岳地帯で、長野県へ出向けば日常的に遭遇する環境。もちろんスタッドレスタイヤは必須アイテムで、どんな優れた4WD性能でも最終的にはタイヤのグリップがなければ走行はできない。

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日本屈指の絶景ドライブコース「ビーナスライン」
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スノードライブはスタッドレスがあってこそ

エクストレイル・ハイブリッドはとくに切り替えなどもせずに、普通に雪上が走れる。ドライの舗装路から日陰のアイスバーンであっても何事も起こらない。ただ、過信は禁物でタイヤのグリップで走行していることを忘れず、雪上での速度はいつもより控え目だ。

ジュークは前後に加え、後輪左右のトルク配分も行う
ジュークの4WDは前後に加え、後輪左右のトルク配分も行う

もう一台の4×4-iを搭載するジューク16GT-Fourは、前後の駆動トルク配分システムに加えリヤに電子制御カップリングを装備し左右のトルクベクタリング機能も搭載した仕様となっていて、前後のトルク配分は100:0~50:50、左右は100:0が可能という技術が使われている。こちらもエクストレイル同様にセンターデフを持たないオンデマンド式で、左右トルクはブレーキを四輪独立した制御でコントロールしている。

従って自身のイメージより回頭性が高く、より速い速度でもコーナリングできることを体感する。かつての4WDのようにアンダーが出て曲がらない!という傾向は全くない。調子に乗ってオーバースピードで走ればタイヤのグリップ限界を超えるので、クルマは滑り出すが、おそらく人間のセンサーよりも速くグリップの回復を検知し、最適な制御が働きコーナリングを再開していくのだ。

ジュークニスモは標準車よりもハードなサスペンションを装着
ジュークニスモは標準車よりもハードなサスペンションを装着

同じジュークのニスモバージョンにも試乗できた。ニスモモデルは標準車に対し、ボディ剛性のアップ、サスペンションの変更を行ない、内外装にも手を入れたスポーティモデル。このあとマーチのニスモバージョンにも試乗ができ、そこで気づいたのだがクルマの基本となるポテンシャルが上がると、雪上でのコントロール性も高くなり、雪上スポーツドライブをしたくなる衝動に駆られるということだ。

雪上でもスポーティな走りが体感できたマーチニスモ
雪上でもスポーティな走りが体感できたマーチニスモ

マーチニスモはFFでMT仕様。ボディ剛性をアップしたことで、リヤの追従性が高まり、ハンドリングも締まる。わずかな操舵にもボディが反応し回頭のしぐさを出す。コーナリングが始まれば、リヤの応答遅れのない旋回性の高いコーナリングをし、とても気持ちのよいスポーティな印象なのだ。

またチューンされたサスペンションも雪面への追従がよく、安心感がある。ボディも含めた引き締まったマーチ&ノートは路面からのインフォメーションもしっかり伝わり、雪道ドライブであることを忘れさせる安心感がある。

2台ともFFモデルではあるが、基本性能を底上げしてあると4WDの安心感とは別な愉しみが生まれてくることに気づくものだ。

こちらはノート。CVTのフィーリングがやや気になる……
こちらはノート。CVTのフィーリングがやや気になる……

さて、ノートのCVTは、7段までギヤがあるように感じる設定になっている。無段変速のCVTではリニアな加速フィールが苦手な領域であるため、こうしたチューニングでリニア感を演出しているのだが、スポーツドライブを試みるとどうしてもこのフィールが顔をだしてしまう。

フル加速をするような場面では、インジケーターは低いギヤ段数を表示しているが、実際はシフトダウンをしたショックもなく、そのままエンジン回転だけ上がり、スリップ感のある加速になってしまうのだ。ただ、そのフィールが気になるだけで走行上何か問題があるといことでもないのだが。

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この日はほかにもパートタイム式のキャラバンやFRのフェアレディZ、スカイライン、そしてGT-Rなどのラインアップがあったが、10時を過ぎるころには路面コンディションがドライへ変化してしまい、試乗を終えることにした。

各社電子制御技術の発達で、雪上でもまるで舗装路のように走行できるようになっているが、タイヤのグリップで走っていることを再認識しながら積極的なスノードライブを楽しんでほしい。

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