2016年10月19日、日産CEOのカルロス・ゴーン氏、三菱の益子修CEOが出席して会見が行なわれ、日産が三菱の株式34%を取得するため、相当金額の約2400億円の払い込みを完了させ、三菱はルノー・日産アライアンスに加わるニュースがあった。
■カルロス・ゴーン氏が三菱の取締役会・会長に
振り返ると、2016年5月に行なわれた日産、三菱の資本&業務提携の発表に従い、日産は三菱自動車の株主、三菱商事、三菱重工、三菱東京UFJ銀行の了解を取り付け、第三者割り当てにより三菱自動車の株式34%に相当する、2400億円を支払った。これにより日産が三菱自動車の筆頭株主となり、日産と三菱系大株主3社の合計で51%を株式を保有することになった。
またこれと合わせ、ルノー、日産のCEOカルロス・ゴーン氏は三菱自動車の取締役会・会長(ヨーロッパ流では取締経営会議・会長)の候補に選出され、株主総会での決議を経て正式に就任することになる。
また三菱自動車の益子修氏はCEOとして留任し、さらに日産のチーフパフォーマンス・オフィサーのトレバー・マン氏が三菱自動車のCOO(最高執行責任者)として就任する。またすでに日産から山下光彦氏が技術開発担当副社長として送り込まれているが、他に2名の役員が移籍する。実は新体制が発足する段階で益子修氏は退任の予定であったが、ゴーン氏の要請でCEOに留任したということだ。
一方、ルノー、日産CEOのカルロス・ゴーン氏は、さらに三菱の取締役会・会長を兼務するため、日産側はCCO(最高商品責任者)の西川廣人氏がカルロス・ゴーン氏と並ぶ共同CEOに昇格・就任している。
■ルノー・日産アライアンスに三菱が参加 トップ3の座を確立
日産が三菱の筆頭株主になった結果、ルノー・日産アライアンスに三菱が加入することになり、世界でも例がない日仏3企業の協業が展開されることになった。この結果、このアライアンスにより2016年の世界販売台数は1000万台に達し、フォルクスワーゲン・グループ、トヨタと並び、GMを凌駕する規模となったのだ。
ただし、ゴーン氏は規模の大きさを追求しているわけではなく、シナジー効果により、より大きな収益を長期的に生み出すことを目指しているという。
現時点での日産、三菱のシナジー効果は、部品の共同購買やインドネシアで建設中の三菱の工場で生産されるSUV(車種未定)を日産へOEM供給すること、またオーストラリアにおける自動車金融会社の協業により概算で、三菱側が年間250億円、日産側で240億円が得られるという。この協業では2018年以降、年間600億円にまで拡大させる見通しとしている。
さらに将来的には、三菱にもCMFプラットフォームを適用すること、三菱のPHEV技術を日産、ルノーで共用化、アメリカ市場における日産との協力による三菱の販売体制の再建などがある。さらにアジア市場では三菱のピックアップ・トラックを日産へ供給、さらにルノーのディーゼルエンジンを三菱へ供給することなども構想されている。
ただ、アライアンスの中でルノーと三菱の効果はまだ未計算だが、いずれにしても営業利益率、1株当りの利益を向上させる原動力と位置付けている。
もちろん、日産と三菱はNMKVによる軽自動車ビジネスも継続される。日産は日本国内の事業で軽自動車を重視しており、さらに三菱の東南アジアでの強さを生かし、販売金融会社や販売網でもシナジー効果を生み出すことを狙っている。
一方、三菱は経営、ブランド、マーケティングは独立して展開・実行することも確認されている。三菱が負った燃費データ問題でのブランドイメージの毀損を回復させつつ、中期的な経営計画も今回で道筋が付いたということができる。
編:日本の自動車メーカーの動向という視点で見ると、これで国内メーカー同士の業務提携、アライアンスは一段落し、トヨタはダイハツを子会社化。マツダ、スズキとの業務提携を、またスバルとは資本・業務提携を展開。今回の日産・三菱の提携により、単独で残ったのはホンダだけという形になった。
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