日産が直面する危機 マツダは直6エンジン搭載FRを正式発表

マツダは新世代商品にすべてを賭ける

マツダは5月9日に2018年度決算を発表した。マツダの決算も予想通りとはいえ厳しい結果となっている。今期の売上高は3兆5647億円で、前年比で3%の増加となっているが、営業利益は前期比で43%と大幅にダウンして830億円に減少した。そのため営業利益率は前期の4.2%から2.3%へと低下した。つまり増収・減益の状態で、営業利益率は赤信号が灯った状態だ。

マツダの丸本明社長
マツダの丸本明社長

グローバル販売台数はどうか? 前期は163万1000台であったが、今期は156万1000台で4%減少している。地域別に見ると日本市場は2%と微増し、売上高は2兆8840億円(前期比1.1%増)で営業利益は225億円(前期比72.5%減)、アセアン市場では18%増加している。

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一方でヨーロッパ市場は前期なみ、アメリカ市場では6%減で、売上高が1兆3462億円(同0.9%減)となり、営業利益は217億円(同19.6%減)、オーストラリア市場は5%減、そして中国市場は23%と大幅な減少となっている。アメリカ市場の営業利益は日本市場より少なく、営業利益率が低迷していることがわかる。その背景には販売奨励金の増大などがある。

中国市場の状態
中国市場の状態

車種で見ると、CX-5、CX-8などクロスオーバーSUVはグローバルで好調であったが、アテンザ、デミオ(マツダ2)の不振、新型マツダ3へのモデル切り替えの時期と重なったためもあり、この3車種が足を引っ張る形となっている。

また減益となった要因は、コスト改善、研究開発費抑制で増益要因があったものの、販売台数減少で147億円の減益、為替変動で381億円の減益、リコール費用などで317億円の減益となっている。

来期の見通しは、売上高3兆7000億円(前期比3.8%増)、営業利益1100億円(同32.5%増)、営業利益率は3%、グローバル販売台数は161万8000台(同3.6%増)を見込んでいる。新型マツダ3のグローバル販売、2019年夏からの新型CX30のヨーロッパ市場への投入により、販売台数、売上高の回復を目指しているが、営業利益率の改善とまではいえない状態だ。

来期においてもアメリカ市場での販売ネットワークの再構築に対する投資、新工場建設の投資、新型車開発費などが必要で、利益率の低下要因となっている。

マツダの中期経営計画

丸本明社長は、経営戦略としてより長期的な視点で、2030年〜2040年に確固たるマツダ・ブランドの確立と経営的な基盤の確立をゴールとして、今期から6ヵ年の中期戦略を打ち出した。そのために重要な役割を担うのが新世代商品群の成功だ。一方でこれまでの業績を阻害した要因としては販売奨励金の増大、品質対応(リコール)対策費の上昇が上げられている。

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また、来るべきCASE、MaaS時代の自動運転技術、コネクテッド技術、シェアリングなどについては現時点では対応が遅れており、早急にアライアンス・パートナーとの提携を模索し、それに応じた投資も考慮している。

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新世代商品に対する構想は、1台あたりの売上高の向上、つまり価格帯のアップを課題としている。そして新世代商品はスモール商品群とラージ商品群に分類し、スモール商品には24Vマイルドハイブリッドの拡大、電気自動車の開発を実施する。

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一方、より高価格なラージ商品群は、直列6気筒ディーゼル(改良型)、直列6気筒SKYACTIV-Xを搭載するFR車を開発し、電動化対策としては48Vマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドを投入する計画としている。

そして今回発表した中期計画の目標は売上高4.5兆円、営業利益率5%以上、販売台数180万台を2025年に実現するとしている。こうした中期目標を実現するためには、何よりも新世代商品群のグローバル販売が成功するかどうかにかかっている。

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