ミツビシの軽自動車ハイトワゴン、eKワゴン、eKカスタムがマイナーチェンジした。今回のマイナーチェンジでは、eKワゴンのターボモデルに「T Safty Package」を最上級グレードとして追加した。これまでのドライバー支援システムのレーザーレーダー式「e-Assist」に、オートライトコントロールとマルチアラウンドモニター(バードアイビュー機能付き)を追加し、システムの名称も「Safety Package」に改めるなど大きな変更が行なわれている。このマイナーチェンジした「eKカスタム T Safty Package」に試乗してみた。<レポート:松本 晴比古/Haruhiko Matsumoto>
エクステリアでは新デザインの15インチ・アルミホイールになっていること、フロントグリルが最近のミツビシのデザインテーマである「ダイナミクシールド」を採用していることがまず目に入る。細部ではフロントバンパーの左右にコの字形のLEDイルミネーション、リヤの縦型ランプもLEDになっていることがわかる。
eKカスタムのデザインは、ボディサイドのプレスラインが生み出す立体感があり、さらに今回のフロントマスクの見直しで、軽自動車ハイトワゴン群の中でもデザイン的により個性的になっている。
インテリアでは、ステアリングホイールのスポーク部がピアノブラックとメッキモールを組み合わせ、質感を向上。またセンターパネル下部に小物入れを新設している。しかし場所的にはスマートフォン、携帯電話を収納するには少し手元から離れすぎで、スマホの置き場所はより手元に確保して欲しいところだ。
走り出すとターボ・エンジンのトルク感、レスポンスのよさを改めて実感する。3000rpmで最大トルクを発生しており、低速でもフレキシブルで、軽くアクセルを踏み込むだけで力強く加速する。この3B20型ターボ・エンジンのレスポンス、トルク感は軽自動車のターボの中でもトップレベルだと思う。
ただ、残念なのはアクセルを強めに踏み込むとエンジン騒音が気になる点だ。もちろん市街地ではエンジン回転は低いためそれほど気になる場面はないが、郊外の道路での加速や高速道路の合流などではノイズが高くなるのだ。セレクトレバーのSボタンを押すとスポーツモードに切り替わり、より高回転まで引っ張るので、エンジンノイズはさらに強まりストレスが大きくなる。もちろんこのノイズはエンジンのせいというよりはボディ側の遮音の問題だろう。
なおこの新型からはターボ・エンジン車にもアイドリングストップ、減速エネルギーを回生するアシストバッテリーが搭載され、JC08モード燃費はFFモデルで26.2km/Lと従来モデルより2.8km/L向上している。アイドリングストップからの再始動もスムーズだ。
ステアリングは軽い。もちろんこれは女性のユーザーを意識してのことだ。ただ、路面からのフィードバックが少し希薄な感じがする。このあたりがフィードバック感、操舵に応じた手応えもう少し感じられれば安心感が高まると思う。一方で乗り心地はフラット感がありしっかりしている。路面の状態が変化しても乱れる感じはないし、コーナリングでの安定感も十分だ。
このマイナーチェンジモデルから、「Safty Package」が設定され、従来からの衝突回避ブレーキ機能以外にバックミラーに表示されるアラウンドモニターにバードビュー機能が追加され、さらに軽自動車初のオートマチックハイビームが装備されている。対向車などを認識する単眼カメラが装備され、自動的にヘッドライトのビームを切り替えることができるのだ。こうした装備はどんなドライバーにとっても役に立つ有用なもので、軽自動車の付加価値を高める大きな要素になっていると感じられた。
今回は試乗できなかったが、eKワゴンはGグレード以上にはディスチャージ・ヘッドライトが装備されているほか、自然吸気エンジンは全モデルが30.4km/L(FF車)の燃費を達成するなど改良が加えられている。