ダイムラーAGは2011年4月21日、東日本大震災の災害復興支援車両の引渡しを、三菱ふそうが開発を行う栃木県の喜連川研究所で行った。
引き渡し式では、ダイムラー東京事務所代表兼三菱ふそう社長のアルバート・キルヒマン氏と、メルセデス・ベンツ日本のニコラス・スピークス社長から、支援金200万ユーロおよび、復興支援用車両計50台の車両を公益財団法人日本財団の尾形武寿理事長への引き渡しを行った。
アルバート・キルヒマン社長は、「これらの車両が、被災地復興に大きく貢献し、支援への一助になれば幸いです」と述べた。また、日本財団の尾形武寿理事長は、「必要なのは復旧ではなく、復興だ。義援金と車両は必ず被災地へ持って行き、役立てたい」と語った。
ダイムラーAGが寄付したのは、三菱ふそうのトラック、キャンター30台と、メルセデス・ベンツのトラック、ゼトロス8台、多目的作業車ウニモグ4台、オフロード車Gクラス8台の計50台。これら車両は、日本財団を通じて各自治体や被災地に送られることになる。また、運転操作については、インストラクターを派遣してドライバートレーニングを実施し、車両のメンテナンスは、三菱ふそう、メルセデス・ベンツのサービス拠点で行うとしている。
ゼトロスやウニモグ、Gクラスの車両の一部には、被災地と日本へのメッセージがたくさん書き込まれ、三菱ふそうのアルバート・キルヒマン社長やメルセデス・ベンツのニコラス・スピークス社長らも車体に応援・激励のメッセージを書き込んでいた。
これら車両のうちゼトロスやウニモグは、日本仕様ではないので排気ガス規制や保安基準をクリアしておらず、ナンバー取得はできないのだが、今回特例として、2年間限定で日本の公道を走行することができる対策が採られた。
一方、キャンターは、車両の提供を早めるために三菱ふそうが、国内販促キャラバン用に自社所有していた車両を急遽、全国から集めて提供している。
ウニモグは、悪路での走破性に優れ、水深120cmでも走行でき、2010年のハイチ地震やスマトラ島沖地震の被災地でも使用された実績がある。ゼトロスは、建設現場や探査など劣悪な路面状況で使用するための特殊トラックで、4輪駆動モデルと6輪駆動モデルがある。
今回、日本の災害現場でこれら車両が初めて投入されることとなり、悪路走破性や機能を存分に生かした被災現場での活躍が期待される。
文:編集部 本田正隆