フィアット アバルト124スパイダーはマツダ・ロードスターとどこが違うの?

アバルト124スパイダーと、アバルト・デザイン責任者のルーベン・ワンバーグ氏
アバルト124スパイダーと、アバルトのデザイン責任者、ルーベン・ワインバーグ氏

2016年8月5日、FCAジャパンから「アバルト124スパイダー」が発表され、10月8日から発売される。周知のようにこの新型スポーツカーは、マツダとフィアットとの共同開発車で、生産もマツダが担当している。

■フィアット124スパイダーとアバルト124スパイダー

FCAグループとマツダが業務提携を締結した当初はアルファロメオ・ブランドとして発売される予定だったが、その後FCAグループはフィアット・ブランドのモデルに変更し、フィアット124スパイダーとしてグローバルに販売することに方針を転換した。そしてこの新型フィアット124スパイダーをベースに、よりスポーツ性能を強調したアバルト124スパイダーも同時に展開し、日本市場では高性能で、よりエンスージャスト向けのアバルト124スパイダーだけが販売されることになった。

FCAジャパンは2シーター・スポーツカーという限定されたマーケットで、マツダ・ロードスターとの差別化を計るためにはアバルト124スパイダーに絞るという戦略をとったわけだ。

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フィアット124スパイダー。アバルトとはバンパー・デザインなどが異なる
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フィアット124スパイダーのインテリア
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フィアット124スパイダーのリヤビュー

フィアット124スパイダー、アバルト124スパイダーはマツダ・ロードスターとプラットフォームを共用している。ただし、エンジン、シャシーユニット、各種装備などはフィアット独自に設定しているのだ。

アバルトブランドは、もともとフィアット車のレーシングカー、チューニングカーの製造やレース活動を行なう独立した会社だったが、現在ではフィアットの高性能車の開発・製造部門を担当する独立部門という位置付けだ。

■デザイン

デザインは、マツダが決めたデザイン・ハードポイント(メカニズム、パッケージングで決定される寸法・諸元)をベースに、トリノにあるフィアット・スタイルセンターが独自に行なった。フィアットは1960年代の124スパイダーのデザインDNAを継承しながら21世紀に蘇らせ、クラシック・ビューティを打ち出している。

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1960年代に高い人気を誇った124スパイダー(左)と新型フィアット124スパイダー。新型はデザインDNAを継承

端正なロー&ワイドな6角形のフロントグリルとが怒ったようなヘッドライト・デザインを組合わせたフロントマスク、クラシック感のあるサイドパネル構成などにより、一見するとマツダ・ロードスターより一回り大きく見える印象だ。

ボンネット上の2本の縦長バルジはパワフルなエンジンの存在感とロングノーズ・デザインを強調している。またアバルト仕様はリヤエンドにスポイラーを装備している。

アバルト124スパイダー
アバルト124スパイダー

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インテリアは、クラストップの材料と仕上げとされ、アバルトならではの本革とアルカンターラのコンビシート(オール本革シートはオプション設定)、本革ステアリング、シフトブーツ、ソフトタッチのインスツルメントパネル、クロームのフィニッシャーが採用されている。

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フィアット124スパイダーよりスポーティなデザインのアバルト124スパイダー(日本仕様は右ハンドルのみ)

インフォテインメントシステムは「124 SPIDER INFORTAINMENT SYSTEM」が採用されている。FM/AMラジオと多彩な外部機器接続によるマルチメディアオーディオ機能、CD/DVD 再生、地上デジタルTVチューナー、運転席ヘッドレストスピーカー2 個を含む6スピーカーシステム、Bluetooth対応スマートフォンとの接続によるストリーミングオーディオ、ハンズフリー通話、ショートメッセージの読上げ機能、ナビ・パッケージを装備すればナビゲーション機能と3年間の地図データ更新、リヤビューカメラとリヤパーキングセンサーによる駐車支援、7インチタッチパネルディルプレイなどが装備される。

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■エンジン、トランスミッション

搭載されるエンジンは1368cc(72.0×84.0mm)の16バルブ・マルチエア・ターボだ。マルチエアは、メカ的には異なるがBMWのバルブトロニックと同様に吸気側バルブは連続可変リフト&可変タイミングシステムを装備している。

フィアット124スパイダーはこのエンジンで140ps/240Nmを発生するが、アバルト124スパイダーはさらにチューニングされ、170ps/5500rpm、250Nm/2500rpmという高出力仕様となっている。マツダ・ロードスターは1.5L自然吸気エンジンで、131ps/150Nmだから動力性能はアバルト124スパイダーが大幅に上回っている。

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より高性能化され、170ps/250Nmを発生する1.4Lマルチエア・ターボ

動力性能は、最高速が232km/h、0-100km/h加速は6.8秒。またアバルトならではのこだわりとして、重厚でエキサイティングなエンジンサウンドを強調するために、レコードモンツァ・デュアルモード・エキゾーストシステムをオプションとして設定している。なお全モデルがエキゾーストパイプはリヤ4本出しで迫力のあるルックスに仕上がっている。

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アバルト独自のスポーツサウンドを生み出すレコードモンツァ・エギゾースト
アバルト独自のスポーツサウンドを生み出すレコードモンツァ・エギゾースト

トランスミッションは6速MTとパドルシフト付き6速ATの2種類。リヤ・デファレンシャルにはトルセンLSDが標準装備されている。なお6速MTのギヤ比はアバルト専用の設定で、マツダ・ロードスターと異なっている。エンジンの発生トルクがかなり違うので当然の対策だ。ちなみに、JC08モード燃費はMT車が13.8km/L、AT車が12.0km/L。

■シャシー&ボディ

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リヤがマルチリンクとマツダ・ロードスターと共通だが、ブレーキはフロントにブレンボ製4ポット対向キャリパーを装備。またダンパーはアバルトチューンのビルシュタイン製で、前後のスタビライザーも強化されている。コーナリングでの安定性とトラクション性能、俊敏性を高次元でバランスさせたリアルスポーツ・サスペンションにセットアップされているという。

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また電動パワーステアリングも、マツダ・ロードスター、フィアット124スパイダーとも異なるアバルト独自のチューニングが加えられ、スポーツ・ドライビングプレジャーを実感できるフィーリングになっている。

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ダンパーはアバルトチューンのビルシュタイン製、赤色塗装のブレーキのフロントはブレンボ製4ポット

車両重量はMT車が1130kg、AT車は1150kg。このためパワーウェイトレシオは6.2kg/psを実現し、カテゴリートップの実力を備えている。

ボディはボンネット、トランクリッドなど各所にアルミ材を採用。前後の荷重配分は50:50を実現している。またボンネットはアクティブ・ボンネットを採用し、万一の歩行者との衝突時に、火薬でボンネットを浮き上がらせる構造として歩行者保護性能を確保している。

またエンジンとシャシー性能を統合制御する「ドライブモードセレクター」を標準装備し、ノーマルとスポーツの2モードを選択できる。このモードセレクターは、アクセル・レスポンス、パワーステアリングのアシスト量、トラクションコントロール&ESPのしきい値、ATでは変速ポイント、シフト速度が変更される。

ボディカラーはソリッド・ホワイト、ソリッド・レッド、ブルーメタリック(有償カラー)、パール・ホワイト(3層コート:有償カラー)の4色だ。

価格を比較すると、マツダ S レザーパッケージとの比較でアバルト124スパイダーは85万円ほど高くなるが、各種の装備内容を含めると実質的には40~50万円の差と見るべきだろう。

FCAジャパンは、これまでアバルト・ブランドは全国で4ヶ所のアバルト専売店を設置してきたが、2016年7月からは全国79カ所のフィアット販売店を、フィアット・アバルト店に変更し、アバルト・ブランドの販売強化を図っている。今回登場したアバルト124スパイダーは、アバルト・ブランドのシンポルとなっているのだ。

アバルト124スパイダー諸元表

価格表

 

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COTY
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