マツダのエントリーモデルであるデミオが2019年7月にマイナーチェンジされ、名称も「マツダ2」に変更された。そして9月から発売が始まっているが改めて、名前以外どこが変わったのか試乗してみた。
滑らかさと静かさはクラスを超えた
エクステリアやインテリアの変更もあるのだが、まず試乗して最初に気づくのが静粛性の向上だ。試乗車は旧型デミオと新型マツダ2のガソリン、ディーゼルをそれぞれ乗り比べてみたが、どのタイプでも総じて静粛性の高さと滑らかさが良くなったことに気づく。
試乗エリアは横浜の市街地と首都高速、そして後日、新型のガソリン、ディーゼルをそれぞれ1週間ほど借用して試乗してみたのだが、ひとクラス上に上がった印象を持った。
どこでそのクラスを超えた印象になったのかというと、やはり走行時の滑らかさと静かさという要素が大きい。もちろん、他の部分も細かく変更されているので、総合的な要因なのは間違いないが、その2点が特に目立った部分でもあった。
どうやって滑らかにしたのか
なぜ、そこまで静かに、滑らかになったのかを説明すると、サスペンションの変更、フロントシートを新構造へ変更、加速フィールの制御変更、荷重コントロールのGVC+の搭載、そして車体への吸音性、遮音性の向上、そして新タイヤの装備などがあげられる。
サスペンションは主にダンパーの減衰を変更し、ピストンスピードの遅い時でも減衰の立ち上がりを早くし、ピストンスピードが高速で動くときでも減衰を維持するという理論上の理想的な減衰に変更している。これをマツダは「飽和特性」と呼んでいた。
タイヤはマツダ3からの次世代車両の標準装備とするタイプのタイヤをマツダ2の標準装着にした。これはサイドウォールがソフトで、タイヤ自体にもサスペンションの働きのウエイトを多くしたタイプだ。
さらにシートも変更している。マツダはドラポジへのこだわりも強いが、次世代となるスカイアクティブ第2世代(マツダ3、CX-30)から採用しているシート構造で、骨盤を立てるような構造のシートなのだ。それは、体のロールが起きにくいようにトーションスプリングの追加、サポート材の追加、高減衰ウレタンの採用などで対応しており、人間自身が持つサスペンション機能を使いやすいようにするシートなのだ。このシートに座ると、目線の傾きや移動が減り、つまり頭が動かされない効果があるということだ。
そしてGVC+の追加だが、これは従来のGVCにプラスしてコーナー出口で外側タイヤにわずかにブレーキをかけ旋回のサポート、復元モーメントを与えることで安定性が向上する技術だ。またG-ベクタリングコントロールは直進の安定性向上にも役立ち、安心感にもつながる。この制御により、カーブを曲がる時も直進状態も含め、安定した走行に磨きがかかったということになる。
ボディへの改良では天井材などに、吸音材や遮音材を入れることでロードノイズをはじめ多くの雑音を消し、ドア閉め音が高級になるなどの効果もある。だから高周波音は消され、こうした技術を搭載したことで、より滑らかに、そして静かに走行するモデルへと変貌したという訳だ。その結果、クラスがひとつ上になったという印象を持ったのだ。
装備も充実
他にも装備の部分でありがたい変更が行なわれているので、簡単に説明をしておくと、安全性能の装備でレーダークルーズコントロールが全車速追従機能付きに変更された。従来の30km/hからの稼働ではなく、0km/hから稼働し全車速対応なので渋滞時にはありがたい機能だ。また、レーンキープアシストではアラームとステアリング振動による警告のほか、マツダコネクトを搭載すると、アシストが遅めに介入する逸脱回避または、車線の中央やカーブに沿って走るライントレース機能のいずれかを選択できるようになった。
さらに夜間の歩行者検知機能が追加され、衝突回避あるいは被害軽減への貢献が期待できる。そしてアダプティブヘッドライトも搭載され、照射範囲を自動でコントロールするハイビーム、より広い照射範囲のロービームがあり、光軸の上下を自動で切り替えるハイウェイモードによって夜間走行時の視認性が高くなる。そのハイビームはLEDの分割を片側11ブロックから20ブロックに細分化し、より遠方照射の範囲が広くなっている。