マツダは2024年11月7日、2025年3月期の上期決算発表を行ない、売上高は前年同期から3.3%増の2兆3939億1900万円、営業利益は前年同期から20.5%減の1030億4800万円、営業利益率は4.3%となったと発表した。
連結出荷台数は前年同期(58万8000台)から2000台増の59万台、グローバル販売台数は前年同期(61万6000台)から1万4000台増の63万台となっている。主力市場のアメリカでは過去最高の販売台数になっている。しかし、販売台数の増加と為替による差益を販売奨励金の増加により利益率が押し下げられている。
一方、日本を含むアジア市場では苦戦が続いており、大幅減速した中国市場では長安汽車とマツダが共同開発したEV/PHEVの「EZ-6」の投入への期待、日本市場はラージ商品がへの期待にかかっている。なお、長安マツダでは「EZ-6」に続く第2弾としてSUVも開発中である。
マツダが掲げる「2030経営計画」では2024年はフェーズ1の最終年にあたる。2020年~2024年のフェーズ1は、「電動化・カーボンニュートラル化への準備、成長投資の原資獲得」の期間とされている。投資の原資獲得ではやや未達の部分もあるが、いよいよ2025年~2027年のフェーズ2、つまり「電動化への過渡期」を迎える。ちなみにフェーズ3は2028年~2030年で「EVの本格投入」としている。
フェーズ2を迎えるにあたり、まず電動化のためのバッテリーの確保については、パナソニックエナジー、パナソニックオートモーティブシステムズ、AESCジャパンからの調達に合意しており、これによって2030年時点で必要なバッテリー容量は確保されている。なお、パナソニックエナジーから調達する電池のモジュール、パッケージ化はマツダで担当し、バッテリーパッケージ組み立て工場は、山口県内に建設することを決定している。
電動車両の計画では、アメリカ市場向けCX-50はトヨタTHSⅡハイブリッドシステムを搭載し、2025年型モデルとして投入する。そして横置きエンジンの次期型CX-5にはマツダ開発のハイブリッド・システムを搭載する予定で、このハイブリッドシステムは将来的にはラージ車両にも搭載が検討されている。
また、フェーズ2の後半、2027年ころにはEV/PHEV兼用プラットフォームのEVを初投入する計画になっている。
そして、マツダ独自のハイブリッド、PHEV向けのエンジンとして4気筒ガソリンエンジンの「SKYACTIV-Z」を開発中であることを発表した。このエンジンは、SKYACTIV-GやSKYACTIV-Xの後継エンジンとされ、常用域ではスーパーリーンバーン(超希薄燃焼)とし、高負荷でも理想空燃比を維持する、高熱効率エンジンとされている。
これから投入するエンジンということは、今後のユーロ7、アメリカの新排ガス規則に適合する必要があり、高負荷でも理想空燃比を維持し、三元触媒が稼働できるようにする必要がある。その一方で、常用域では超希薄燃焼とするわけで、そのためにはプレチャンバー(副燃焼室)着火方式を採用する可能性が高い。
この「SKYACTIV-Z」エンジンは2027年に市販化する計画で、それに合わせて既存エンジンを含め、種類数を段階的に集約していくことになる。
なお、小型PHEV用のロータリーエンジンも、今後はヨーロッパ、アメリカの新規制をパスするために排ガス対策を開発中である。