マツダCX-5商品改良で高級感が増した新たな進化を体験

マツダCX-5は2021年11月に大幅な商品改良を行ない、新型のCX-5を投入した。マツダの商品改良は、新しい技術が確立したらすぐさま現行モデルにも投入していくという考え方で造られており、今回のCX-5の商品改良もそうした考えからの改良が加えられている。

第7世代の考え方が注入された商品改良型CX-5

具体的にはマツダ社内での「通称第7世代の技術を第6世代のCX-5へ投入する」というもので、AWDの走破力強化や快適な乗り心地、静粛性の向上といったポイントで商品改良されている。

今回投入したAWD技術や静粛性の向上という改良は第2世代のマツダ3以降に発売されたモデルには搭載済みであり、そのためその以前に発売されているCX-5には搭載できていないわけだ。

その技術とは、詳細は後述するがトランスファーのパーワーテイクオフにラバーダンパーを採用したことと、#3クロスと呼ばれる部材に減衰ボンドを使った部材で静粛性を高める、という技術が今回投入されている。とりわけAWDの進化を反映したモデル「フィールドジャーニー」が新規にラインアップに加わっている。

新たに加わった新グレード「フィールドジャーニー」

Mi-Drive

では早速細かくみてみよう。まず今回の商品改良で初登場したのがMi-Drive(通称:ミードラ)だ。従来のドライブモードセレクションがMi-Driveへと進化した。このモード切り替えは、車両のキャラクター変化を狙ったものではなく、どんな走行状況でもマツダらしい走りをするためのモードチェンジだ。このMi-Driveはエンジン、シャシーをはじめ総合的に制御するモードである。

他社のモード切り替えでは、スポーツを選択すればスポーティに、コンフォートを選択すれば高級車のような乗り味になる、エコを選択すれば省燃費になるというのが一般的だ。マツダの考えでは、どんな環境になってもマツダらしい走りをするためのモード切り替えであり、他社との違いでもある。

さて、そのMi-Driveの「ノーマル」は、燃費のベストバランスで走行できるモードで、燃費を気にすることなくドライブしても省燃費に走れるというモード。したがってエコモードはない。「スポーツ」はワインディングや混雑した高速など俊敏なレスポンスが求められる状況で、最大に応答性を高めドライバーの期待に応えるレスポンスになるモードだ。ただしディーゼルエンジンは十分なトルクがあるため、スポーツモードは装備されない。そして新グレードのフィールドジャーニー専用のモードとして「オフロード」モードが設定された。これはオフロードでの走破力を最大化するモードだ。

スタックから脱出しそのままハイスピードでオフロード走行できる

このオフロードモードは、砂、雪、岩、泥ねい地など細かくたくさんのモードを設け、自動で適合させるより、人間が最も賢いのでひとつのモードによって、路面環境に応じて操作することでクルマのポテンシャルを最大限に発揮できるという設計思想が背景にある。

このフィールドジャーニーに装備されるオフロードモードについて詳しく見てみよう。まず2年前にトラクションアシスト機能がCX-5に搭載されているが、これは30km/h以下でスタックしたときの脱出モードだった。それを今回のオフロードモードの中に組み込み、物理スイッチを無くしている。なおフィールドジャーニー以外のグレードにはトラクションアシストスイッチは残っている。

従来のAWDとの違いはトランファーのメカニズムにパワーテイクオフラバーダンパーを採用したことだ。このダンパーはプロペラシャフトの振動、ノイズを抑制する効果があり、そのために使っていたAWDトルクを使っていたが、ラバーダンパーとすることで振動、ノイズが低減でき抑えるために使っていたトルクは不要となった。その分出力トルクに振り分けることができ、全車速域(150km/hまで対応可能)でAWDのトルクを最大化できたのだ。

試乗では人工のモーグルを走行し、対角のタイヤがリフトした状態で一旦停止。オフロードモードに切り替えゆっくりアクセルと踏み込むと従来のトラクションアシスト相当が稼働し空転を止め、接地するタイヤへ駆動力が加わり脱出できる。仮に脱出後もダートの高速走行が継続できるような場面だとすれば、ドライバーは何もすることなくそのままオフロードモードで150km/hまで安定した走行ができるというわけだ。

ダートを高速で安定して走行させる技術のひとつとして、GVC+(Gベクタリングコントロール)にオフロード用、スポーツ用のGVCを新規に設定したことにも注目。オフロード用のGVC+は、ターンインでフロント荷重が欲しいのは同じだが、すぐにリヤ荷重へと移動し早めにGVC+が終了する設定としスライドを防ぐ制御としているのだ。もちろん、直線でもGVC+は稼働し四輪の接地荷重を見ながらトルク制御をミリ秒単位で行なっているため、ハンドルの修正操作はほぼなくなり、安定したマツダらしい走行が可能というわけだ。なおスポーツGVC+は、モード変更によりエンジンやステアリングレスポンスなどの応答性が上がるので、それに合わせて応答ゲインを高めている。

滑りやすい斜面だと緊張する場面。でもアイドルアップでずり落ちずにスムースに発進

またオフロードモードにだけある制御技術として、登坂アイドルアップ制御がある。これは勾配を自動検知し、勾配角がきつくなればなるほどクリープトルクを上げるもので、滑りやすい斜面でアイドルをアップさせてずり下がりを防ぎつつ、どんな勾配角でもクリープ発進ができる技術だ。

さらに上り下りの勾配だけでなく斜め傾斜も検知でき、上り方向にステアすると最大1100rpmまでアイドルアップする。この時最大傾斜角30度まで対応し、勾配に対してリニアにアイドルアップしていく。また下り斜面では逆にアイドルは下がり、飛び出しを防ぐ制御になっている。この制御技術は特許を取得しており、世界初の制御技術ということだ。

この体験走行も人工物で体験したが、滑りやすい斜めの傾斜でステアしたときにずり下がるという危険な状況で威力があると体感する。つまりアイドルアップすることでクリープ状態と傾斜がバランスするため停止しているからだ。そこからゆっくりアクセルを踏み込めばジワリと動き出すことができる。下り斜面でも同様にできるので安心感に繋がるのは間違いない。

それと、フィールドジャーニーの2.0Lガソリン車専用制御がひとつある。それはオフロードモードにしたとき1速、2速のつながりを滑らかにするために、ロックアップさせず、トルコンを滑らせながらスイープ制御とすることで、滑らかにしている。1速から2速へのシフトアップでは一瞬のトルクの谷があり、トルクスリップをつくって滑らせる。このとき1速のシフトアップは2500rpmとし低速での走破力を高めた制御としている。

乗り心地の改善

上質さを狙った乗り心地の改善では、サスペンション、シート、ボディ補剛というポイントがある。これは前述しているように第2世代のマツダ3以降のモデルに投入されている考え方で、タイヤ、サスペンション、シート、そして乗員の姿勢を含めたところまでが乗り心地であるというもので、マツダ社内では「第7世代の考え方」としている。

NO3クロスに部材を減衰ボンドで接着させ振動、静粛性を向上

さて、その第7世代の考え方を第6世代で作られたCX-5への技術投入は、まずボディ補剛がある。もともとある「NO3クロス」とよばれる部材に、新たに三角形の形状をした鋼部材を減衰ボンドで接着している。これはNO3クロスの場所が振動の通り道であることが分かっているため、マツダ3以降では11か所にこうした減衰部材が組み込まれている。CX-5にはその部材がないため、今回の商品改良で4か所に追加したわけだ。

ちなみにNo3クロスとはフロントから数えて3番目にある両サイドを結合する部材で、No1クロスがバルクヘッドの後ろ側、No2クロスがセンターピラー付近、そしてNo3クロスがリヤタイヤハウス前あたりにある部材で、ここに新たな部材を結合している。そのため、ホワイトボディの製造段階で工数変更を行ない追加工程を加えているわけだ。

これは実際に旧型(商品改良前の第6世代CX-5)と乗り比べ試乗してみると、驚くほどの違いが体感できる。ざらついた舗装路での音や振動に違いがあり、入力は丸くなり音も抑えられ、少しこもった感じになるので、気にならなくなるという違いがあった。そのため、より上質な乗り味に変わったと誰もが感じることができるだろう。

シートは第7世代の考え方のもと、骨盤をたて脊椎のS字カーブ上部に頭部が来るように座らせるシートとするため、座面のバネ要素とクッションの剛性分布を変更し、頭部が揺れないように変更している。さらにシート本体の取り付け剛性をアップした。これはフロアとシートレールの接点の面積を増やし、結合剛性を高めたわけだが、これがなんとシートの横揺れを80%も抑えているというから驚く。ちなみに、運転席だけでなく助手席にも同様の改良を加えている。

フィールドジャーニーには17インチのオールシーズンタイヤが標準装着

こうしてCX-5には第7世代の考え方に基づく技術が注入され、より上質へと変わった。さらにAWDのダイナミック性能の進化も体験し、「マツダの商品改良」を体験することができた試乗だった。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>

価格

CX-5:267万8500円~407万5500円(税込み)


The Mortor Weekly

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