2008年にデビューしたミニバン、「ビアンテ」が5年振りにビッグマイナーチェンジを受けて登場した。今回のマイナーチェンジで、エンジン、トランスミッションにSKYACTVを採用したグレードが新設定された。またフロントマスクを最新のマツダ・デザイン、「シグネチャーウイング」に変更している。グレードはFFタイプの20C、20S、上級グレードとしてグランツを新設定し、SKYACTIVを搭載した。また4WDモデルは20CとFFと同じく上級グレードにグランツを新設定し、こちらは通常のエンジン(2.0LDOHC)とミッション(4AT)を搭載している。従来設定されていた2.3Lエンジンは廃止されている。
新採用されたSKYACTIV搭載モデルの燃費はクラストップの14.8km/Lとなり、取得税、重量税ともに100%免税となったのも大きな訴求点で、同クラスでは唯一となっている。
ビアンテは、2.0Lエンジンを搭載する8人乗りトールミニバンで、競合車は日産・セレナ、トヨタ・ノア/ヴォクシー、ホンダ・ステップワゴンなどだが、ボディ幅はビアンテが1770mmともっとも広く、室内スペースとしてはひとクラス上のミニバンとも勝負できるのが特徴だ。
試乗したグレードはグランツで、2.0LのSKYACTIVガソリン直噴エンジンを搭載する。このエンジンは151ps/190Nmで、競合車と比べてパワー、トルクともに少し分があるが、1660kgという車重を考えるとパフォーマンスとしては平均ゾーンに入る。
しかし、このSKYACTIV搭載のビアンテは、最新の6速ATを採用しており、競合他車がCVTを採用しているのに対して優位だと思う。1名乗車といった場面ではそれほど差が出ないだろうが、数名乗車といった場面ではアクセルペダルの踏み方で変速のコントロールがしやすいはずだ。つまり、高速道路への合流や、一定速度への加速時に、アクセルを深く踏み込み、目標のスピードに乗ったらアクセルを緩めるといった運転のメリハリが付けやすいのだ。もちろん変速の滑らかさやクイックさなど変速のクオリティのレベルも高い。
ハンドリング、乗り心地は素直で、適度なリニア感があり、大柄なミニバンをあまり意識しないで乗ることができる。今回のマイナーチェンジでこれらは特に手を加えられているわけではないが、古さを感じることはない。またSKYACTIVモデルは全車がDSC(ESP)が標準装備された点も評価できる。
メーターディスプレイには、運転操作をモニターするi-DM、ステアリングにシフトスイッチが新たに装備されている。
3列シートは後方席ほど着座点が高くなるシアターレイアウトだが、特に使用頻度の高い2列目シートのスライド量が大きく取られているので、スペース的な快適性、利便性は高い。2列目、3列目のシートは3人乗りで法規的には8人乗りだが、実質は4人〜6人乗車が最適であるのはいうまでもないだろう。
ビアンテは2列目シートが左右にセパレートするウォークスルーモードを備えており、横スライド専用のレバー、3列目シートへの乗降の際に2列目シートを倒すウォークインレバーが、誰の目にも分かりやすい形状、カラーで判別しやすくしてあるのは親切な配慮だと思う。なにしろシートアレンジがいろいろできるワゴン系のクルマは、シート操作レバーが多数あり、直感的に操作できないという問題はいつも付きまとうから、このビアンテの発想はなかなかよいと思う。