【マツダ】マツダの新たなフラッグシップモデル 新型「アテンザ」を発売

マツダは2012年11月20日、フラッグシップモデルとなる新型アテンザを発表した。意のままに操れる、上質でスポーティな走りと優れた環境・燃費・安全性能を実現したモデルとして開発し、全国のマツダ系、マツダアンフィニ系販売店を通じて、同日より販売開始した。

新型アテンザはマツダの新世代技術SKYACTIVと新デザインテーマ「魂動(こどう)」を採用したフラッグシップモデルで、ステアリングを握って走り出すと五感のすべてが調和し、乗るたびに楽しさが深まる人馬一体の走り、野性的なプロポーションと日本の美意識を研ぎ澄ましたオンリーワンのデザインを備えたモデルとして誕生した。

ボディタイプはセダンとステーションワゴンの2タイプで、搭載するエンジンとトランスミッションは2.0LガソリンNA+6AT、2.5LガソリンNA+6AT、そして2.2Lディーゼルターボ+6ATと6MTが設定される。モデルはいずれもFF駆動方式だ。価格は250万円から340万円のC/Dセグメントに位置する。メインマーケットはアメリカ、ヨーロッパ、ロシアなど海外マーケットとなるだろう。

2.2Lディーゼル・ターボ
2.5Lガソリン・エンジン
2.0Lガソリン・エンジン

 

燃費性能では、クリーンディーゼルのSKYACTIV-D搭載車はJC08モードで22.4km/L(6MT)、20.0km/L(6AT)で、ガソリンの2.0Lが17.4km/L(6AT)で、いずれも環境対応車普及促進税制によって取得税、重量税が免税となる。なお、2.5Lガソリンモデルは15.6km/Lで50%の減税対象となる。

アテンザのボディサイズは、セダンが全長4860mm、全幅1840mm、全高1450mm、ワゴンは全幅は同じで全長4800mm、全高1480mm、そしてホイールベースはセダンが2830mm、ワゴンが2750mm。まさにC/Dセグメントのサイズで、ヨーロッパやアメリカで通用するサイズといえる。


デザインは、かつての「流れ」デザインから「魂動」デザインへと進化し、このアテンザからマツダの新たなデザイン展開が始まる。知性や品格、とダイナミックさやエモーショナルさを融合させ、世界に通用するデザインとしてまとめている。パッケージングでは、異例にもAピラー位置を後退させ、ロングノーズ感を強調している。

セダンはルーフラインがクーペのような形状にまとめるという現在のトレンドを取り入れ、ワゴンもキャビンを小さく見せる意図が感じられる。フロントマスクは新しい「シグネチャーウイング」がグリルを縁取り、ヘッドライトに続き、新しいマツダの顔を形作っている。

ボディ構造はスカイアクティブ技術を採用し、ストレートな骨格構造を採用。高張力鋼板の採用比率は58%になっている。従来モデルに比べると、20%採用を拡大している。特に590MPaクラスの鋼板を大幅に採用。1800MPaの鋼板は前後のバンパービームに使用されている。

ボディ剛性を高めるために大型のセンタートンネルメンバーを採用。その他にピラー、ルーフメンバー、フロアメンバー内部に発泡充填材を注入し、剛性向上を行っている。またドアはインナーパネルを一体プレス製にすることで強度、剛性、静粛性能向上も図っている。

ボディでは空力特性の向上も大きなテーマで、特に床下を整流しボディ上部の空気の流れとバランスさせることで、セダンでCd=0.26、ワゴンで0.28という高いレベルを実現。またキャビン内の静粛性を高めるために、騒音の発生源の対策と室内への騒音の侵入経路を遮断する対策を行い、幅広い速度域で静粛性を高めている。

アテンザの開発コンセプトは、「人生を豊かにするモチベーター:人とクルマの一体化によってドライバーをポジティブにする」というもので、アテンザは徹底してドライバーズカーであることを物語る。そして走りの開発コンセプトは、「意のままに、軽快に」を実現することにしている。

人とクルマの一体感を重要視し、ドライバーの期待値通りに操れることができるクルマとすることを開発目標にし、そのため、ワートレーンの分野では、アクセルの操作に呼応するエンジンの応答性に注力。アクセルの踏み込む速度が速ければそれに応じて、加速度のピークが出るまでの時間も速くなるようにして開発している。また、AT車ではアクセル全開時のダウンシフト変速時間を短くすることで、心地よい変速と大きな加速度を最短で得られるようにしている。トルクの調整に加え、アクセルの操作に応じた細かな制御を追加したことにより、短い変速時間を可能にしている。

また、人とクルマの一体感をつくるのに必要不可欠な要素として、エンジンサウンドにも気を配っている。ドライバーの操作とクルマの挙動に呼応し、目に飛び込む景色、速度計の動きに連動するかのように、呼応したエンジンサウンドが聞こえるようチューニングされているという。

操安性能の点では、コーナリングでの重要ポイントをコーナリングの初期とし、ブレーキを踏む、少しハンドルを切るというタイミングと、もう一つは、コーナーを抜け、直進へと変わる戻しのタイミングをキーとした。少しの操舵角に対してリニアな反応をクルマがすれば、ドライバーは安心感を持ってブレーキを踏むことができ、ステアリング操作も気持ちよく行えるという一連のつながりを重視して開発されている。また、戻しの動きも重要視し、コーナーを抜け、ステアリングを戻す時に少しずつドライバーは力を抜いていくが、それがステアリングがセンターに戻るまで、しっかりと手応えが続く必要があると考えたわけだ。

サスペンション・ユニットなどは先行したCX-5と同じで、ダンパーの細部にわたるチューニング、NSK製の電動パワーステアリングのチューニング、電子スロットルのチューニングなどで、意のままの軽快な走りを達成したという。

新型アテンザに採用された新しい技術に、減速エネルギー回生システムの制御の見直しがある。これはマツダの技術革新のロードマップであるビルディングブロック戦略のステップ2へと歩んだことを示している。ステップ1では、i-stopを採用し、アイドリングストップ機能を搭載してきた。そして次なるステップがi-ELOOP、すなわち減速エネルギー回生システムである。

従来のクルマは、燃料を使いエンジンからの出力でオルタネーターを駆動し、常時発電している。それに対してi-ELOOPは減速しているとき、つまり燃料カットしているときのエネルギーで発電し、回収しクルマへの電力として再利用するという、いわゆる減速エネルギー回生システムである。もちろんアクセルオンの時はオルタネーターでの発電は行われず、エンジンの負荷を減らすというシステムである。

縦型のケースに6本のキャパシターが内蔵される

減速エネルギーをより多く回生するためには、回収されるエネルギーを素早く蓄える必要があり、これまでの鉛バッテリーでは瞬時に電気を蓄えることが苦手であるため、ブレークスルー技術として世界で初めてキャパシターを自動車用として車載することに成功している。また、これに合わせ搭載するオルタネーターは12V〜25Vの範囲で可変電圧式としている。言い換えるとキャパシターの電圧は25Vがピークとなっている。この25VをDC-DCコンバーターで12Vに下げ、電装品を使用する。

このi-ELOOPは、クルマで使用される電力をこれまで燃料を使って発電し続けていたものを、燃料を使わず減速エネルギーを使って発電し、そのためにオルタネーターの改良があり、蓄電のためのキャパシターを車載するというブレークスルーをおこし、結果燃料を使わず、クルマが必要とする電力を作ることに成功したわけだ。マツダのテストでは、実用燃費で10%近い燃費の向上ができたという。

新型アテンザは、新たに「プロアクティブ・セーフティ」というコンセプトに基づき、「i-アクティブセンス」と名付けられたプリクラッシュ&ドライバー支援システムを新たに採用している(Lパッケージ車に標準装備)。このシステムは前方監視用の76GHzレーダー、斜め後方監視用の24GHz×2個、前方の車線認識用のカメラ、前方の近距離監視用の近赤外線レーダーを組み合わせたもので、レーダーを使用したクルーズコントロール、追突防止警報、車線逸脱警報、衝突軽減自動ブレーキなどのドライバーサポートを行うことができるのだ。

なお、新型アテンザのプロトタイプの試乗インプレッションは既に掲載しているので、そちらをご覧頂きたい。

アテンザ諸元表

マツダ公式サイト

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