マツダ 初の5兆円超えもトランプ関税を踏まえ次期決算見通しは発表せず

マツダは2025年5月12日、2025年3月期の決算を発表した。売上高は初の5兆円超を超えたが、競争激化や出荷台数減の影響などにより増収減益となった。

2025年3月期の売上高は、前年の4兆8277億円から4%増となる5兆189億円、営業利益は前年の2505億円から26%減となる1861億円、営業利益率は3.7%で、当期純利益は前年の2077億円から45%増減の1141億円となっている。

生産台数は120万7000台で、前年とほぼ同レベルだ。グローバル販売台数は130万3000台となった。販売台数では、北米は+20%で過去最高となり、日本は-5%、ヨーロッパは-3%、中国は-23%、その他市場は-1%となっている。したがって、売上高のアップはアメリカ、カナダ、メキシコを含む北米市場が牽引したといえるが、その一方で販売競争の激化により北米での販売奨励金が1249億円と増大しており、利益を圧迫している。また、中国市場での低迷も続いている。

地域別では、アメリカ、カナダ、メキシコを含む北米市場は過去最高となる61万7000台を記録し、売上高の向上を牽引した。車種的にはTHS-Ⅱハイブリッドも含むCX-50がトップで、メキシコではマツダ2、CX-30が伸びを見せていいる。

ヨーロッパではCX-30、マツダ2ハイブリッドは微増ながらCX-60、CX-5などの販売が低減している。

中国では退潮にブレーキがかかっておらず、新たに投入された長安汽車との共同開発モデルのEZ-6(EV、PHEV)、同じく上海モーターショーで発表されたEZ-60(EV)に命運がかかっている。この2モデルは中国市場だけでなく、アジア地域、ヨーロッパへの輸出の主力になる予定であり、マツダの命運を握るモデルと位置づけられている。

また、2030年を見据えた経営方針はこれまで通り推進するとしている。したがってEV、PHEV、ハイブリッドモデルの開発が行なわれることになる。

2026年3月期の次期通期見通しの発表をしなかったのは、マツダにとってトランプ関税の影響が大きいからだ。マツダはアメリカ工場ではアメリカ主力モデルのCX-50を生産しているが、部品の多くは日本から調達しており、メキシコ工場ではCX-30、マツダ2を現地生産している。

一方、縦置きエンジンのラージ商品はすべて日本生産で、現状では27.5%の関税が想定され、アメリカ生産のCX-50にも部品関税が上乗せされ、さらにメキシコ工場からアメリカへの輸出にも関税が想定されている。

毛籠勝弘社長は、すでに関税が発動している4月だけで約100億円の影響を受けたと語り、このため、マツダは日本の自動車メーカーの中で最もトランプ関税の影響を大きく受けることが想定されており、関税の行方が見通せるまでは次期決算の見通しは不可能になっているのである。

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