【マツダ】スカイアクティブ技術の決定版 CX-5誕生。注目のクリーンディーゼルも発売!

2012年2月16日、マツダの新型クロスオーバーカー、CX-5が発表された。マツダが数年にわたり経営資源を集中して開発してきたスカイアクティブ技術が集大成された新型モデルだ。スカイアクティブ技術、すなわち新開発のガソリンとディーゼル・エンジン、トランスミッション、さらに新たなプラットフォームやシャシー技術の総称で、2011年6月にマイナーチェンジされたデミオではスカイアクティブ技術による新型ガソリン・エンジンが採用されている。同じく9月にマイナーチェンジを受けたアクセラは、新型ガソリン・エンジンと新型ATが採用されているが、いずれもマイナーチェンジのタイミングでの前倒し採用であったといえる。

今回発売されたCX-5がスカイアクティブ技術のすべてを網羅した、初めての新世代モデルと位置付けられ、まさに今後のマツダの存在を支える1台となるのだ。

CX-5の原型となるコンセプトカー、マツダ・勢(ミナギ)は、2011年3月のジュネーブショーで公開され、およそ半年後の9月にフランクフルトショーで市販モデル、CX-5としてワールドプレミアされ、2012年に入って日本で発表発売となった。なおガソリン・エンジン搭載車は2月16日から発売され、ディーゼル・エンジン車は3月末頃に発売とされている。

CX-5のデザインは、マツダの新しいデザインフォーマットである「鼓動(SOUL of MOTION)」を基調にした新デザインを取り入れている。ボディフォルムは動物のチーターをイメージしたものだという。またフロントグリル下端からヘッドライトに繋がる翼形状のラインを「シグネチャーウイング」と名付け、今後のマツダのデザインアイコンにするとしている。

カテゴリー的にはCセグメントの上限サイズのボディを持つクロスオーバーカーで、2.0Lのガソリン・エンジン、2.2Lのクリーンディーゼルを搭載する。スカイアクティブ・エンジンの2.0Lガソリンは、先にデビューしたアクセラ用が4-1排気マニホールドであったのに対し、CX-5用はもともと企画されていた4-2-1のロング排気マニホールドを採用し、レギュラーガソリンで圧縮比13.0を達成したミラーサイクル・エンジンだ。出力は155ps。

一方2.2Lのスカイアクティブ・ディーゼルはCX-5が初採用となるクリーンディーゼルで、2ステージツインターボを装備。175ps、420Nmを発生する一方で、日本のポスト新長期規制、ヨーロッパのユーロ6規制など最新の排ガス規制をクリアしている。特にNOx対策を他社のようにNOx触媒や尿素還元触媒を使用せずNOx発生を抑えていることに注目したい。

そのため、ディーゼルとしては最も低い圧縮比(14.0)、最高2000気圧という最新ピエゾインジェクターの燃料噴射システムを取り入れている。ガソリン、ディーゼルいずれのエンジンもアイドルストップ、ブレーキエネルギー回生システムを備えている。そして注目のJC08モード燃費は2輪駆動で18.6km/L(10・15モードは20.0km/L)、4WDで18.0km/Lとクラストップ。また、ガソリンエンジンの2輪駆動は16.0km/L、4WDで15.5km/Lとなっている。

↑2.0Lガソリン                      ↑2.2Lのディーゼルターボ

当然ながらヨーロッパ市場ではこのディーゼル搭載車が主力だが、日本市場でも月間販売計画台数1000台のうち50%を見込んでおり、画期的でありチャレンジングといえる。
トランスミッションは新開発のロックアップ領域を拡大した6速ATを採用。
プラットフォーム、ボディ、シャシーもすべて新開発で、CX-5はまさにオールニューモデルなのだ。

CX-5にはマツダの新しい走りのコンセプトも取り入れられている。「意のままに操る」というテーマのもと、加速する、曲がる、止まるというそれぞれのシーンでリニアなフィーリングが得られるように統一的にチューニングされているのが注目される。この詳細は試乗での評価を待ちたい。
サスペンションは、フロントがストラット式、リヤがマルチリンク式だが、フロントはキャスター角の増大、リヤはアンチリフト特性とメカニカル・コンプライアンスの増大、つまり衝撃入力の低減を行うことでフラットで快適な乗り心地としている。

新たなプラットフォームは、多様な車種に対応できるフレキシブルプラットフォームととして企画されているが、合理的な前後方向にストレートな構造の骨格を備え、アッパーボディの環状構造との組み合わせで、軽量かつ剛性が高く、衝突安全性能も向上させ、新世代の骨格といえる。もちろん高張力鋼板の採用も拡大され、CX-5は主要骨格をほぼ高張力鋼板としたことでボディの高張力鋼板比率は61%に達している。

↑XD Lパッケージ

装備面でも先進性を見せている。その筆頭は、スマート・シティ・ブレーキ・サポートだ(XD Lパッケージに標準装備。20C以外のグレードはメーカーオプション)。4km/h〜30km/hの範囲でレーザーセンサーにより前方の車両や障害物を検知し、衝突の可能性が判定された場合はブレーキの液圧アップ(プレフィル)を行い、その段階でもドライバーがブレーキを操作しない場合は、自動ブレーキをかけ、衝突回避、あるいは衝突被害の軽減を行う。また、10km/h以下の走行で、前方に障害物があるににもかかわらずアクセルが必要以上に踏み込まれた場合は、警報を発すると同時にエンジン出力を自動的にダウンさせるAT誤発進抑制制御の機能も持つ。

このシステムはボルボを先頭に、ヨーロッパのメーカーでは急速に普及する傾向にあり、その動向をいち早く取り入れたのだ。普及のためには低コスト化することが必要で、そのため短距離の検知性を重視したレーザーセンサーを採用し、市街地や渋滞路で適合するようにしているのだ。


もうひとつは、サイドモニター/バックガイドモニターの採用で、全車標準採用(ナビ装着車はナビ画面に表示)となっている。クルマの側面下方、あるいは後方から接近する車両や物体の映像をルームミラーの片側に表示するようになっているのだ。モニター用のカメラはリヤとサイドミラーに設置されている。全高の高いSUVの場合は側部下方の視界を確保するためにサイドアンダーミラーが義務付けられているが、このモニターを採用することでミラーが不要になることもメリットだ。
またリヤ・ビークルモニタリングシステム(RVM)も設定されている(XD Lパッケージに標準装備。XD、20Sはメーカーオプション)。これはリヤバンパーの左右内部にレーダーを装備し、左右の車線から接近する車両をモニターし、接近した側のドアミラーの鏡面にあるLEDが点灯してドライバーに注意を促すというもの。マツダの従来のシステムでは60km/h以上で作動したが、CX-5は30km/h以上で作動するように改良されている。
インテリアは、大幅に質感の向上がはかられている。このクラスは世界的に見て質感の向上競争が激しいため、そのあたりの対応は抜かりないのだ。

↑リヤシートバックは4:2:4分割可倒式

CX-5は、今後マツダから登場する新商品群の第1弾であり、マツダの屋台骨を支えるクルマである。計画では年産16万台でその90%が輸出される。現在の円高の状況下で日本国内での生産を守り、輸出において収益を確保できるという背景には、マツダが5年来模索してきた「モノ造り革新」があるという。

実はスカイアクティブ技術もその一環といえるのだが、開発の効率化、生産設備投資のコスト改善、モジュラー設計、フレキシブル生産体制など、まさにクルマの作り方全般を大きく見直し、より効率を高めより確実に収益を実現する体制を整えている。CX-5は大半が輸出に向けられ、まさにグローバルカーであるが、海外で、日本でどのような評価を受けるか興味深い。

マツダCX-5主要諸元

●全長4540mm×全幅1840mm×全高1705mm ホイールベース2700mm トレッド(前/後)1585/1585mm ●車両重量1460〜1620kg ●エンジン 2.0L・4気筒DOHC・16バルブ直噴(ガソリン)/2.2L・4気筒・DOHC・16バルブ直噴2ステージターボ(デーゼル) ●出力155ps/6000rpm(ガソリン) 175ps/4500rpm 最大トルク196Nm/4000rpm(ガソリン) 420Nm/2000rpm(ディーゼル) ●トランスミッション6速AT ●サスペンション(前/後)ストラット式/マルチリンク ●ブレーキ(前/後)ベンチレーテッド/ディスク ●タイヤ225/65R17〜225/55R19

マツダ公式サイト

COTY
ページのトップに戻る