【レクサス】GSシリーズを発表 モデルチェンジの狙いは存在感の強調と走りの向上

2012年1月26日、レクサスは新型GSシリーズを発表し、NAエンジンを搭載するGS350、GS250の発売を開始。ハイブリッドモデルでありトップレンジに位置するGS450hは3月19日から発売すると発表した。

GS350

新型GSシリーズは、これまで2011年4月のニューヨークショーでコンセプトモデルとして出展し、8月のぺブルビーチ・コンクールデレガンスでは量産仕様のワールドプレミアを行っている。日本においては2011年12月の東京モーターショーでその全貌を初公開するという展開を行ってきたが、年が明けてようやく発売にこぎつけたわけだ。なお、発表会は通常の形式ではなくUSTREAMでライブ中継するスタイルとなり、一般ユーザーもリアルタイムで視聴することができた。

新型GSシリーズのメインモデルはGS350、GS250で、GS250は新たに設定されエントリーモデルの役割を担う。その一方で従来ラインアップされていた4.6LのV8型は姿を消した。これはスマートサイジングという発想のもとでの新ラインアップだ。そしてV8型エンジン搭載車と同等の動力性能を持ち、優れた燃費と両立させたトップグレードとしてGS450hを位置付けている。

ディメンション

コンセプトはGTセダンとしての資質を一段と磨き上げること

開発の狙いは、機能価値と感性価値を併せ持つラグジュアリーなGTセダンとして磨き、レベルアップの著しい競合プレミアムセダンに比肩するレベルとすること。さらに、よりドライバーの感性に訴える走りの実現、個性が希薄な従来のデザインから、存在感が強くブランドアイデンティティを強調したデザインの採用、FRハイブリッドシステムのさらなる性能・質感の向上などである。

この中で特に、デザインはレクサスの新デザインシンボルとも言えるスピンドルフェイスを採用し、より強い表情を与えているが、ボディ全体のフォルムは従来の流れを継承している。このスピンドルフェイスの採用には、世界市場でメルセデスのスリーポイントマーク、BMWのキドニーグリル、アウディのシングルフレームといったプレミアムブランド特有のデザインアイデンティティと肩を並べようという狙いが明白だ。

GS450hニューGS

デザイン的には、スピンドル形状のグリルだけではなく、ヘッドライトやエアインレット付きバンパーなどに抑揚を付け、これまでより立体感のある表情にしている。しかしその一方で、サイドビューは端正だが平凡な印象を受ける。

インテリアは水平基調で、モダンというより伝統的な印象で、アナログ時計の採用はその象徴だ。ただし、液晶ディスプレイは世界最大の12.3インチ・サイズを採用してハイテクイメージをアピールいる。インスツルメントパネル上面やステアリングホイール、シフトノブ部などはソフトレザー、ドアトリムは革張り、オーディオのコントロール部はアルミ削り出し材を採用するなどプレミアムブランドらしい素材選びを行い、上質感を訴求している。そして、シートも新開発され、身長200cmまで対応でき、ホールド性や座り心地なども改めて再検証されている。

GSインテリアGSインテリア2

ボディサイズは従来型と大きく変更することなく、室内の、特にヘッドクリアランスとショルダースペースの拡大が行われている。このため、全長、ホイールベースは変更なしで、全高が+30mm、全幅が+20mmで、ヘッドクリアランスやショルダースペースは競合車同等となっている。

トランク容量は、ガソリンエンジン車が530L、ハイブリッド車は、電池を2段積にすることで465Lと従来の300Lから大幅に改善。フルサイズセダンにふさわしい500L級のラゲッジスペースに到達している。

オーディオは、フルデジタルアンプ、フロント3ウェイスピーカーを持ち、トータル12のスピーカーを備えたGSプレミアムサウンドを装備。オプションのハイエンド・オーディオシステムはマークレヴィンソンの17スピーカー、835Wデジタルアンプのサラウンド・サウンドシステムを設定している。

スマートサイジング・コンセプトを主張する2種類のNA・V6をラインアップ

エンジンに関しては、広義でのダウンサイジングの発想が採り入れられ、その象徴がV6型2.5Lの4GR-FSE型だ。ISに搭載されているユニットを今回からGSにも搭載。215ps/6400rpm 、260Nm/3800rpmの出力でトランスミッションは6速ATとしている。なおこの4GR-FSE型は直噴(D-4、つまりシングルインジェクター)エンジンである。

GS350に搭載されるV6型3.5Lの 2GR-FSE型は、ポート噴射と直噴を併用するD-4Sを採用している。このエンジンの出力は318ps/6400rpm、380Nm/4800rpmで、6速ATとの組み合わせ。また、新たにサウンドジェネレーター、サウンドマフラーを採用し、吸気音、排気音の両方で心地よいサウンド創りを行っている点は新境地といえる。

 

ハイブリッド用エンジンを全面改良しアトキンソンサイクルを採用

ハイブリッドシステムを搭載するGS450は、今回V6型3.5Lエンジンを全面的に改良している。FR用ハイブリッドシステムは、2モーター、2段減速機構、遊星ギヤ式動力分割&電気的CVTを持つなど、基本構成には変更なしだが、トランスミッション部の改良やモーター、回生システムの改良などが行われている。

 

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ハイブリッド用エンジンはV6型3.5L。圧縮比は13.0まで高められ、アトキンソンサイクル運転をし、直噴とポート噴射の両方を行う

450hの専用エンジンは2GR-FXE型と名付けられ、圧縮比は13.0(従来は11.8)と高圧縮比化され、吸気バルブ遅閉じのアトキンソンサイクル化を行った。燃料噴射は「新D-4S」と呼ばれ、ポート噴射と直噴を併用するシステムだが、直噴インジェクターの霧化性能の向上、より高燃圧の採用により燃焼の改善を行っているのだ。狙いはエンジン本体の出力アップと燃費向上を両立させるための大幅改良といえる。

2GR-FXE型の排気量は3456cc、出力は295ps/6000rpm、356Nm/4500rpm。燃費はJC08モードで18.2km/L、10・15モードで20.5km/Lと従来型より大幅に向上している。輸入プレミアムセダン・クラスが軒並み新世代直噴化のテクノロジーを採用し、燃費、特に実用燃費を高めているため、その対抗モデルといえる。いうまでもなく450hは燃費に特化させただけではなく、動力性能では4.5LクラスのV8型エンジンに匹敵し、GSシリーズのトップグレードという位置付けとなる。

GS450h
GS450ハイブリッド

 

全車がドライブモードセレクトを装備

エンジン出力やトランスミッションなど、動力性能を統合制御するシステムを採用しており、ドライブモードセレクトのスイッチが備る。ガソリンエンジン車のベースモデルとIパッケージはECO、ノーマル、SPORTの3モードを備えている。ノーマルモードはDレンジでも減速度に応じて自動シフトダウンし、そのギヤ段を保持するよう制御される。また、スポーツモードではさらに、スポーティな制御へと代わり、マニュアルモードも備えているのだ。

また、バージョンL、Fスポーツの2グレードはさらにSPORT+モードをもち、出力特性以外にサスペンション、ステアリング(可変ギヤ比ステアリングのVGRSと4輪操舵のDRS=LDH付車のみ)が協調したシャシー特性も制御されるモードが選択できる。一方ハイブリッド車は、EVモード(2km、最高速60km/h)、Sモードが選択できるようになっている。

走りの目標は正確な応答による「感性に響く走り」

GSの新しい走りは「感性に響く走り」が開発テーマだ。レクサスの言語ともいえる「切れ」や「鋭さ」などシャープさを感じさせるのと同時に、「しっとり感」や「洗練性」、「滑らかさ」、「重厚感」などラグジュアリー性を感じさせる走りを採り入れ、理性に働きかけるのではなく、本能を揺さぶる走りを目指すとしている。

具体的には、運転操作に対してクルマが正確に動き、人と車両の一体感が感じられること、つまり意のままの走りということになる。特に注目されたのは、スタビリティやアジリティ、ロール姿勢、正確なステアリング応答性などで、この領域を特にチューニングしたという。

これを実現するためレクサス専用の新開発のプラットフォームとし、なおかつ過剰な補強をなしに性能目標をクリアしている。ボディのルーフサイドレールとBピラーにホットプレス、つまり高張力鋼板を加熱した状態でプレス成形し、急冷することで強度を飛躍的に高め超高張力鋼板とする製法を採用している。また、Aピラーや前後に縦通するフレームにも高張力鋼板を採用し、サスペンション取り付け部の局部剛性を高め、操舵応答性を向上させているのだ。

空力性能も洗練され、床下整流カバーの採用はもちろん、リヤコンビネーションランプ側面に設けたエアロスタビライズドフィンなども設け、空力的安定性を高めている。さらにハイブリッド車は、フロントの下側グリルにグリルシャッターを設置し、車速に応じて自動開閉するようになっているが、これは燃費向上対策のひとつである。

サスペンション、ブレーキを格段にグレードアップ

サスペンションは新型プラットフォームに合わせ、新開発されている。ダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションは、キャスタートレールの増大というジオメトリーの改良だけではなく、アッパー&ロアアームのアルミ化、高剛性化、ブッシュ類の特性の最適化などにより、ダイレクトな操舵フィールや直進安定性の向上を実現している。

マルチリンク式リヤサスペンションは、フロント同様に各部のアルミ化、高剛性化を行うとともに、トーコントロールアームの後方配置により、高い直進安定性と旋回時の車両姿勢の安定化行っている。また、スプリングとダンパーを分離配置することで、ダンパーのレバー比の改善やトランクスペースの拡大を可能にしている。また、新開発の低粘度ダンパーオイルの採用などでサスペンション全体の摩擦を従来型から約55%低減し、より滑らかな乗り心地を達成しているという。さらに、運転状況や路面状況に応じて、ダンパーの減衰力を4輪独立で最適制御するAVSをバージョンL、Fスポーツの各グレードに採用している。

ブレーキも大幅に強化され、踏力の変化に遅れなく意思通りの制動力を発揮する応答性とコントロール性、高負荷まで安定した制動力を発揮する耐フェード性能などをトータルに追求し、走りの全域で気持ちよく制動できるフィーリングとしている。そして、欧州車なみの大型ブレーキ冷却エアガイドも装備されている。またFスポーツ・パッケージでは18インチ径という大径の2ピース・ディスクを装備しているのも特筆ものだ。

ドライバーアシスタンスでは、ミリ波レーダーを使用したプリクラッシュセーフティ、カメラを使用したレーンキーピングアシスト、GS450hには全車速追従機能付のレーダークルーズコントロールを装備。ヘッドアップ・ディスプレイや赤外線カメラによるナイトビューも装備される。

スポーティな走りを強調するFスポーツパッケージを全車に設定

新型GSのグレード展開は、GS250、GS350、450hのベースモデルとIパッケージ、Fスポーツ、バージョンLというパッケージがそれぞれ用意されている。

Iパッケージは装備充実仕様、バージョンLがフル装備仕様となる。そしてスポーツ仕様としてFスポーツが設定されているのも注目だ。Fスポーツは、より本格的なスポーツ性能を強調する仕様で、ハードなスポーツ走行も楽しめる仕様になっている。専用スポーツサスペンション、前後異サイズの19インチタイヤ、ブレーキはフロント18インチ径の2ピースアルミハットローター、高摩擦ブレーキパッドなどの専用装備を搭載。

さらにレクサス初のDRS(ダイナミック・リヤステアリング=4輪操舵)を採用し、これと可変ギヤ比ステアリング(VGRS)とVSC(ESP)を組み合わせたもののシステムの総称としてレクサス・ダイナミックハンドリングシステム(LDH)と名付けられている。

なおDRS=4輪操舵は、低速時には前輪と逆位相に操舵、高速では同位相としている。さらにプリクラッシュセーフティとも協調制御され、緊急回避時には通常域よりも高い回避性能と車両安定性の確保を行うように後輪が自動操舵される。ちなみにFスポーツ仕様は、ベースグレードに対して100万円アップとなる。

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レクサス公式サイト

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