ホンダ 新型レジェンド試乗 SH-AWDでグングン曲がる3モーターハイブリッド

マニアック評価vol330

新型レジェンド マニアック評価 009
新型レジェンドの試乗はあいにくの雨模様

2014年11月に発表され、発売が待ち望まれていた5代目レジェンドに試乗することができた。<レポート:髙橋 明/Akira Takahashi>

ホンダを代表するフラッグシップセダンのレジェンドは、一時発売が途絶えていたが約2年半のブランクを経て復活した。そこにはホンダ技術研究所が持つ、最先端の技術を惜しみなく投入され、3モーター搭載のハイブリッドパワーユニットにモーター内蔵の7速DCTというパワーユニットを搭載。システム合計382psだ。

新型レジェンド マニアック評価 007
システム合計で382ps。フラッグシップセダンに相応しいパワーユニットを搭載する

ちなみに、エンジン単体で314ps/371Nm、モーター内蔵DCTは35kw/148Nm、左右に配した独立したモーターは27kw/73Nmが2基という構成になっている。そしてこのモーターは後輪を別々に駆動・減速をし、SH-AWD機能を司り、もちろん先進の安全技術であるホンダセンシングも装備しているのである。

今回試乗した環境は北九州エリアから山口県秋吉台付近を往復する高速道路、ワインディング、そして一般道で試乗でき、先進の技術をたっぷりと体験することができた。

新型レジェンド マニアック評価 010

もっともインパクトあるのはSH-AWDによるハンドリングだ。詳細はこの記事に掲載している。これまでに経験したことのない、新たな世界を体験したと言ってもいいだろう。

使用している技術はまったく異なるが、BMW6シリーズグランクーペレクサスGSの一部にも似たような印象になる技術が投入されている。根本的な技術や考え方も違うベクトルのものだから比較する意味は全くないが、ドライバーが受ける印象としては同様のベクトルにある技術だと思う。ホンダとしては4代目レジェンドで採用した世界初の機械式SH-4WDの発展型という位置付けとして考えているのではないだろうか。

新型レジェンド マニアック評価 004具体的に新型レジェンドでは後輪がモーター駆動のAWDであり、トルクベクタリングが装備される。前後左右に駆動トルクが分配されるのだが、レジェンドはさらに制動トルクも発生させ旋回性の高いコーナリングが可能となる。

クルマの発進からコーナリングまでの流れで、SH-AWDで可能なことを簡単に説明すると、リヤモーターのみでEV発進。走行を開始し後輪モーターだけでEVクルーズをする。アクセルを踏み込むとエンジンだけでFF走行し、さらに加速しようとすると前後のモーターで加速をアシストする。コーナーにさしかかり、スロットルを抜くと4輪で減速エネルギーを回収。リヤ内側に制動トルク、リヤ外輪に駆動トルクを発生させ、回頭性を高める。そして前後左右のトルク配分を最適化し、素早く安定したコーナリングを体感する。コーナー出口ではリヤ内側の制動トルクが徐々に駆動トルクへと変化し、加速する力になる。

ざっと、こんなことが起こっている。もちろん走行状況に応じていろんな駆動トルク制動トルクのかかり方があり、EV走行、エンジン走行、モーターアシスト走行などがさりげなく行なわれている。ドライバーはモニターがない限り、何が起きているのかは理解できない。

新型レジェンド マニアック評価 001新型レジェンド マニアック評価 002

 

だが、コーナリングになるとこれまでにない旋回性を体感する。ステア方向へどんどん回頭する。アクセルを踏もうが、ブレーキを踏もうがハンドルを切った方向にクルマは曲がっていく。言葉で書くと当たり前のことだが、普通はアンダーステアが出て微妙なスリップアングルを持ちながら旋回している。そこが大きく異なり、SH-AWDでは「おっ!」と思わず声が出るコーナリングを体験する。これは誰でもが体験できる新しい世界だ。

開発コンセプトにある「昂り」というキーワード。意のままにクルマを操る楽しさ、V8型クラスを超えるパワフルな走り、というものが誰でもリアルワールドで確認できるだろう。

実は、このSH-AWD技術の裏側には、コンベンショナルなシャシー技術としてサスペンションにおけるジオメトリーにも工夫がある。ハンドリングマシンとも形容されるBMWが採用するダブルジョイント式のフロントサスペンションだ。ロアアームをWジョイントとすることで、仮想キングピン軸がタイヤ接地センターになるようにジオメトリーが設定できるため、ハンドリングにおいてはナチュラルでダイレクト感あるフィールになるというメリットがある。

したがってクルマ本来の直進性の高さや直進の座り、そしてニュートラルなジオメトリーになっているのだろうと、想像するがデバイスやハイブリッドモーターの介在で素のハンドリングは見えないままだ。それがどうした?ということだが、マニアには気になる。

デバイスではホンダセンシングが高速道路では活躍する。レーンキープ機能では車線センターを維持するセッティングのためステアリングの自動修正舵が頻繁に稼働する。言葉は悪いが楽に、ダラ~っと運転する時には大いに役立つだろう。人によってはこのデバイスの介在が気になるかもしれない。その場合はOFFスイッチで解決だ。

ホンダ レジェンド諸元表

ホンダ レジェンド ハイブリッドEX 価格

 

新型レジェンド詳細情報
ホンダ関連情報

ホンダ公式サイト

COTY
ページのトップに戻る