ホンダレジェンド 3モーター/SH-AWDを搭載したフラッグシップセダン、新型レジェンドが復活 

ホンダ 新型レジェンド

2014年11月10日、ホンダは2012年に生産を終了した4代目(KB2型)の後継モデルとなる新型レジェンド(KC2型)を発表した。ホンダのフラッグシップセダンと位置付けられる新型レジェンドは、3モーター式のハイブリッドシステムとSH-AWDを搭載し、Dセグメントのプレミアムセダンの市場に参入する。なお、発売は2015年1月22日から。

ホンダ 新型レジェンド 発表会

先代のレジェンドは2012年6月に生産が終了しており、2年半のブランクを経て5代目レジェンドが登場した。このモデルは、北米市場ではアキュラRLXに相当し、FF駆動のRLXは2013年春から発売され、その後ハイブリッド/SH-AWDを搭載する4WDモデルが追加されている。日本市場にはその3モーター・ハイブリッド/SH-AWDモデルのみがレジェンドとして導入されることになった。

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新型レジェンドは、胸を昂ぶらせる、新たな時間と経験を提供するフラッグシップセダンであり、昂ぶり、誇り、先進というキーワードを基に、「スマート エジレイティング ラグジュアリー」が開発コンセプトとされている。先進的な、気分を高揚させるラグジュアリーセダンという意味だ。

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エクステリアは、引き締まり、エレガントなフォルムによる強い存在感を追求し、インテリアは感性に響く豊かさと、心地よい上質な室内の実現がテーマになっている。エクステリアではなんといってもジュエルアイLEDヘッドライトが大きな特徴だ。

10個のLEDを使用したLEDライトは、通常とは逆に、後ろ向きのリフレクターと通常のリフレクターを組み合わせ、2回反射させることで優れた配光特性とコンパクトさを両立。また見た目も宝石のような輝く独特のライトとなっている。

一方、ボディサイズは、全長4995mm、全幅1890mm、全高1480mm、ホイールベース2850mmと堂々たるフルサイズのDセグメントで、ライバルはレクサスGS、メルセデス・ベンツEクラス、BMW 5シリーズ、アウディA6、日産フーガなどが想定されている。

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新型レジェンドのパワープラントは、3.5 L・SOHC24バルブVTEC・V6型直噴エンジン、7速湿式DCT内蔵モーター、リヤ・ツインモーターによる3モーターハイブリッドシステムで、バッテリーはリチウムイオン・バッテリーを搭載する。

エンジン出力は314ps/371Nm、DCT内蔵モーターは35kW(48ps)、後輪駆動用モーターは27kW(37ps)×2で、システム総合出力は382psとなり、動力性能は4.0LクラスののV8型エンジンをはるかに凌ぐ実力を備えているのだ。

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なおこのV6型エンジンは、リヤ側バンクの3気筒は3ステージVTEC機構を備え、巡航時はリヤ側3気筒を休止するシステムとなっている。低中速走行時は、6気筒すべてが低速用のカムで走行し、高速走行時にハイリフトの高速カムに切り替わるシステムで、高出力、低燃費を両立させている。

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湿式デュアルクラッチを採用し、モーターを内蔵する7速DCT

7速DCTは、基本構造はフィット用と同じで、1速ギヤはモーター同軸タイプだ。しかしトルク容量が大きいため、湿式のデュアルクラッチを採用している。また内蔵モーターは発電、回生が主な役割となっている。

新型レジェンドはドライブモードスイッチも装備し、スポーツモードに切り替えるとエンジン&モーター出力、変速タイミング、ダウンシフト時のブリッピング、エンジン音を強調するアクティブサウンドコントロール、電動ブレーキのダイレクト化が行なわれる。

ホンダ 新型レジェンド

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3モーター式ハイブリッドの作動

ハイブリッドシステムの作動基本だが、DCTに内蔵されるモーターはリヤのモーターに供給する電力の発電を主に担当し、発進はリヤの2モーターによる後輪駆動で行なわれる。同様に低速での巡航や市街地ではリヤ2モーターによる後輪駆動となる。緩やかな加速や高速巡航ではエンジンよる前輪駆動となり、DCT内蔵モーターは発電してバッテリーに電力を蓄える。

そして大負荷での加速では、エンジン駆動とリヤ2モーターによる駆動が使用された4WDとなる。また低負荷の雪道など滑りやすい路面でも4WDが作動する。最大負荷での加速時はエンジン駆動、リヤ2モーターの駆動に加え、DCT内蔵モーターも駆動アシストを行なう場合もある。もちろん減速時には3モーターのいずれも、つまり4輪で回生を行なう。

新型レジェンドは、リヤの駆動が左右独立の2モーターで行なうということは、左右独立で駆動力を自在に制御できることを意味する。これがSH-AWDの意味だ。SHはスーパーハンドリングの頭文字で、実は4代目レジェンドにもSH-AWDは設定されていた。

これは左右の遊星ギヤと電磁クラッチを組み合わせた電気→機械式の駆動+トルクベクタリングシステムであった。今回登場したH-AWDは駆動+トルクベクタリングに左右独立のモーターと遊星ギヤを使用し、電気的な制御により駆動とトルクベクタリングを実現している。

また従来の機械式は加速のためのトルク制御であったが、新型はモーターの抵抗によるマイナス(減速方向の)トルクをも発生させることができるため、より制御の幅が拡大されたことになる。

ホンダ 新型レジェンド ホンダ 新型レジェンド SH-AWDモーター

ホンダ 新型レジェンド トルクベクタリングホンダ 新型レジェンド トルクベクタリング

左右輪の駆動力を独立して制御するトルクベクタリングにより、駆動力と同時に旋回ヨーモーメントを発生させコーナリングしやすくする。またはコーナリングを安定させる効果を発生することができる。

機械式に比べて電気的にモーター出力を制御することで時間的な遅れがなく、より高精度で制御できることが優位点だ。コーナリング時に、外側輪を増速してより大きなトルクを流し、内側輪のトルクを減らす、またはマイナス駆動トルクとすることでスムーズにコーナリングできる。逆に、旋回時のヨーイングが過大になりオーバーステア傾向になった場合は、外側輪のトルクを減少させ、内側輪にトルクを流すことでオーバーステアの発生を防ぐことができる。

ホンダ 新型レジェンド
SH-AWD(トルクベクタリング)、アジャイルハンドリング・アシスト、VSAのカバー領域

このSH-AWDの働きと、ドライバーの操作から先読みするフィードフォワード制御ロジックの採用により、ドライバーの意のままのコーナリングができるということになる。さらに新型レジェンドは、SH-AWDによるトルクベクタリングだけでなく、より限界に近づく過渡領域でのコントロール性を高めるために、アジャイル・ハンドリング・アシストを採用している。

これはトルクベクタリングに加え、4輪独立のブレーキ制御を加えることで車両のコントロール性を向上。そして最終的にタイヤのグリップの限界域に入るとVSA(車両姿勢安定制御)が作動することになる。

P1020105ホンダ 新型レジェンド

ボディはグローバルに対応できる軽量・高剛性構造とし、高張力鋼板の採用比率は55%と拡大されている。また軽量化のために前後のバンパービーム、ボンネット、フロントフェンダー、前後ドアのアウターパネルはアルミ製とし、約35kgの軽量化を実現。ボディは、従来からの静剛性比較で、曲げ53%アップ、ねじり剛性47%アップ。さらに今回からはタイヤ装着状態でのリアルな剛性比較ではフロント左右剛性で52%、リヤ上下剛性は97%高められているという。またボディ全体でプレミアムセグメントにふさわしい静粛化対策も徹底されている。

ホンダ 新型レジェンド

サスペンションは、フロントのロアアームがダブルジョイント式のダブルウィッシュボーン、リヤはマルチリンク式だ。フロントのロアアームをダブルジョイント式にすることでより理想的な仮想キングピン軸を設定し、ホイール中心点とキングピン軸の距離を縮小することができ、外乱の影響を受けにくい正確で上質なステアリング特性としている。

ダンパーはメイン、セカンドの2個のピストン・バルブを備え、小入力時はメインのみ、大入力時は2個のバルブが作動する振幅感応型を採用している。また電動パワーステアリングはベルト駆動式ラックアシストタイプで、ラックギヤは可変ギヤ比式としている。

ブレーキは電動サーボブレーキ、つまりブレーキ・バイ・ワイヤーとなっている。またブレーキペダルはリアクティブ、フォース式とし、加速ポイントから重めに、滑りやすい路面でも重めにペダル踏力が変化するようになっている。

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新型レジェンドは、ホンダとしては初となるドライバー支援システムを搭載している。ホンダ・センシングと名付けられたこのシステムはミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせている。

カメラを高精度化し、歩行者も検知できる。また、衝突回避や車線逸脱回避のために操舵アシストを積極的に採用している。全車速対応アダプティブ・クルーズコントロール、道路標識認識機能も備える。

さらに魚眼カメラによる全周の把握、バック時に後方を横切る車両の検知、走行中のブラインドスポット・インフォメーションなど、ドライバー支援システムの装備はフル装備となっている。

ホンダ 新型レジェンド

ホンダ車の頂点とされるレジェンドは、多くの新技術を投入した野心作であり、サイズ的にも装備でも価格でもプレミアムDセグメントで真っ向勝負をかけるモデルである。日本の市場でどのように評価されるか興味深い。

LEGEND 諸元表

新型レジェンド 価格

 

ホンダ公式サイト

COTY
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