2018年内に発売が予定されているホンダ インサイトの全貌が徐々に明らかになってきた。ホンダは2030年にグローバル販売台数の2/3を電動化することを目指しているが、今回登場するハイブリッドの新型インサイトも、そうした電動化戦略の一環を担うクルマだ。
しかしその一方で、燃費を重視するだけのハイブリッド・モデルではなく、セダンというクルマの本質価値を重視し、セダンならではプロポーションの美しさや、質感の高い仕上げ、走りの爽快さを重視して開発されている。
セダンとしての本質を追求
3代目となる新型インサイトは、走り、デザイン、安全・快適性など、すべての面で上質さを追求し、セダンとしての本質的な魅力を凝縮したという。開発コンセプトは「グリーン」、「タイムレス(変わる必要のない本質)」、「ミニマル(身の丈に合ったシンプルさと上質さ)」を掲げ、エレガントさとダイナミックさを両立させた「グリーン プライム セダン」としている。
新型インサイトのプラットフォームは新世代グローバル・シビック・プラットフォームで、高いシャシー・パフォーマンス、高強度・高剛性のボディ骨格を備えている。ボディの骨格は1.5GPa級のホットスタンプ材や部位によりホットスタンプの焼入れをコントロールした、高強度鋼板プレスを採用するなど、最新のホットスタンプ技術を採り入れ、軽さと低重心、高い強度と剛性を両立させている。
新型インサイトのボディサイズは、全長4675mm、全幅1820mm、全高1410mm、ホイールベース2700mmで、このボディサイズからもシビックのハイブリッド版ともいえるが、商品ポジショニングとしてはシビック・セダンとアコードの中間に位置し、シビックセダンより上級としている。
デザインは、キャビンバックワード、つまりAピラーを後退させてセダンとしてのフォルムを整え、クーペ風のルーフラインを組み合わせることでエレガントさ、スポーティさを兼ね備えたスタイリッシュなシルエットとなっている。
インテリアは、バックスキン調のソフトパッド素材を採用したトリムを新採用し、質感の高い手触りの良い素材を使っている。なお新型インサイトは2018年6月末からアメリカですでに発売が開始されているが、アメリカ仕様と日本仕様はフロントグリルが異なり、日本仕様は横方向のライン状グリルとしワイド感を強調している。この他に日本仕様はトランクリッド後端にスポイラーを装備している。
2モーター式スポーツ・ハイブリッド「i-MMD」を採用
新型インサイトは、これまでのインサイトが採用してきたIMA(モーターアシスト式)ではなく、2モーターを搭載するスポーツ・ハイブリッド「i-MMD(インテリジェント・マルチモード・ドライブ)」を採用。組み合わされるエンジンは、アコード用がアトキンソンサイクルの2.0Lであるのに対し、インサイトはアトキンソンサイクルの1.5Lだ。この1.5Lアトキンソンサイクル・エンジンは最高熱効率40.5%を実現している。
i-MMDによる走行モードは、EVモード、ハイブリッド・モード(シリーズ式)、高速巡航時のエンジン駆動モードの3つで、基本的にはアコードと共通だ。
ハイブリッドのパワーコントロールユニットはエンジンと並列に配置し、リチウムイオンバッテリーはリヤシート下に、12Vバッテリーはセンターコンソール内に収納することで居住スペースを犠牲にせず、トランク容量も519Lと大容量を実現している。
また、走りもアクセルの踏み込みに応じて滑らかでリニア。しかも力強い加速が得られるようにチューニングされ、燃費重視のハイブリッドのイメージを払拭する。さらにボディ各所の吸音、遮音対策をを入念に行ない、クラストップレベルで、Dセグメント並みの静粛性も実現している。
操縦安定性では、しなやかでリニアに応答するハンドリング特性を訴求。電動パワーステアリングはダイレクト感の高いデュアルピニオン式を採用し、操舵に対してより一体感のある操縦性とするためアジャイル・ハンドリングアシスト(ブレーキ・トルクベクタリング)も標準装備している。
ドライビングアシスト装備としては、ホンダ・センシングを全グレードに標準装備としている。グレード展開は、ベース仕様のLX、上級装備のEX、EXブラックスタイルの3タイプ。カラーバリエーションは7色がラインアップされる。
なお価格、詳細な仕様は今後明らかになるが、価格帯はシビック・セダンとアコードの中間とされる見込みだ。