ホンダ CR-Z 雑感

ホンダハイブリッド・スポーツカーと銘打ったCR-Zが発表された。
ボディサイズは全長4080mm、全幅1740mm、全高1395mmで、ホイールベースは2435mm。車両重量はMTで1130kg、CVTで1160kg。

CR-Z外観写真
リアに向かって大きく絞り込まれたデザイン。

ボディ諸元でいえば、全長が2ボックスカー並みに短く、ショート・ホイールベースで、

その一方でトレッドはフロント1515mm、リヤ1500mmとワイドトレッドになっている。つまりボディ・サイズやトレッド、ホイールベースから見れば確かにスポーツカー的だ。
ちなみにVWシロッコは、全長4255mm、全幅1810mm、全高1420mm、ホイールベース2575mm。
また、車両重量も1100kg台で、1.6〜2.0Lクラスのクルマとして考えると相当に軽量に仕上げていることがわかる。(シロッコは1340kg)
全高は、極端な低さを追求しておらず、1400mmをわずかに切るレベルだ。
エクステリア・デザインはワンモーション・フォルムで、高い位置のリヤエンドが切り落とされる形になっている。フロントエンドも高く、今時には珍しい大きなフロントグリル・デザインを採用。このデザインは従来のホンダにはないデザインといえるが、相当にアクが強いアメリカ顔だ。
アッパーボディの後端、Cピラー部は強く絞り込まれているのが特徴だ。
全体の印象は、スポーツカー的というより斬新さ、強いインパクトを狙っているように思われる。
パッケージングは、完全な2+2で、リヤ席は応急用。フロントシートの着座位置はシビック・クラスより30mmほど低められており、ドライビングポジションは低い。
プロポーション全体ははVWシロッコに似ているが、ひとまわり小さい。

3ドアクーペのCR-Zは、日本の市場では多くを望めないので、メイン市場はアメリカで、主として都市部で通勤、買い物などに使用されるセクレタリーカー(OL向け)と考えられる。セクレタリーカーは、比較的若い年齢層の女性をユーザーに想定したコンパクトカーで、コンパクトさとパーソナルな、あるいは個性的なデザインが好まれる傾向にある。
CR-Zは従来より個性的なデザインとスポーツ性、環境性能をアピールしているのが訴求点で、確かに北米ではセクレタリーカーとして人気が出そうな気がする。

16バルブSOHC1.5L、113(MTは114)psのエンジン

エンジンは16バルブSOHC・1.5Lで、113(MTは114)ps、エンジンに直結される薄型モーターは14psで、合成最大トルクは約17kgm。通常のエンジン車で、1.8〜2.0L車に相当する力を持っている。エンジン自体はけっこうな高回転トルク型とし、低回転時に大きなトルクを生むモーターのアシストを組み合わせることで低中速域で大きな合成トルクを得ているのだ。
ハイブリッドシステムは、モーターアシスト式のホンダIMAシステムで、バッテリー/PCUユニットはインサイトとまったく同じもので、リヤラゲッジスペースの床下に格納されている。バッテリーはニッケル水素の単1型ユニットを6個直列にしたモジュールを7本搭載している。
モーター駆動電圧は100Vだ。

リヤラゲッジスペースの床下格納のバッテリーはニッケル水素ユニットを6個直列モジュールを7本搭載。

なお、エンジン(電子スロットル制御)、モーターアシスト、変速(CVT)、エアコン制御、電動パワーステア制御の統合制御を3段階(スポーツ/ノーマル/ECON)に切り替えできる3モードドライブシステムを採用している。なお、6MT車は、スポーツモードで電子スロットルをかなり早開き+モーターアシストを急激に立ち上げ、CVT車のスポーツモードより動力性能を大幅に強調しているのが特徴だ。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式。フロント・ロアアームはホンダには珍しくアルミ鍛造製であるが、これは軽量化のひとつだ。
シャシー・チューニングのイメージはBMW・MINIだというから、クイックなステアリング、ストロークは硬め、かつ少なめで左右の荷重移動速度を速めた、ゴーカート・フィーリングにしてスポーツ性を強調していると考えられるが、これは過去のホンダ・スポーツカーのフィーリングと共通の方向性だ。
燃費は、10・15モードで、MTが22.5km/L、CVTで25.0km/Lとなっているが、実用燃費は13〜14kmLくらいだろう。

今回はハイブリッドカーシリーズの第3弾とされ、ホンダの走りに対する想いを具現化したと言っているが、やっぱりビジネスライクな匂いを感じてしまう。

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