ホンダCR-V試乗記

マニアック評価vol637
ホンダは2018年8月に新型CR-Vを国内発表し、発売の遅れていたハイブリッドモデルの発売も11月から開始した。これに先立ち、1.5Lターボモデルとハイブリッドモデルの両方に試乗することができたのでお伝えしよう。

5代目のCR-V。写真は1.5Lターボ+CVTのFFモデル
5代目のCR-V。写真は1.5Lターボ+CVTのFFモデル

実はこの5代目CR-Vは2016年10月にデトロイトでワールドプレミアされ、同年末から北米で販売されている。それが今回国内導入となったわけだが、北米で発表、発売ということからも分かるように北米をメインマーケットとしたモデルだ。つまり、ボディサイズはもともとCセグメントサイズだが、北米に合わせ、やや大きくCセグメントプラスのサイズになっている。ベースとなるプラットフォームはシビックと共通で、クロスオーバーSUVにカテゴライズされるモデルだ。

ボディサイズは全長4605mm、全幅1855mm、全高1680mm(AWDは1690mm)でホイールベースは2660mmで、国内では全幅の広さが気になるかもしれない。このクルマの詳細はこちらでお伝えしているので、参考にしてほしい。
※関連記事:ホンダ「新型CR-V」詳細解説 クラストップの質感、走りを目指したグローバルSUV

ハイブリッドモデル。Cセグメント+の大きさだが、幅が1855mmと微妙だ
ハイブリッドモデル。Cセグメント+の大きさだが、幅が1855mmと微妙だ

しっとり、滑らかに走るハイブリッド

さて、試乗はハイブリッドモデルから試乗した。パワートレーンは2.0Lアトキンソンサイクルのガソリンエンジンに2モーターを組み合わせたi-MMDで高速走行時のみエンジンがダイレクトに駆動する仕組みだ。通常はシリーズ式ハイブリッドで、エンジンで発電し、その電力によりモーター駆動で走行する。もちろんバッテリーの充電状況がよければEV走行をするタイプのハイブリッドである。

このハイブリッドはシリーズ式のため、アクセルに反応してモーターで走行するが、充電量が不足とならないようにエンジンも稼働している。それが、アクセル開度とリンクするように制御されているため、あたかもエンジンで走行しているかのようなフィールに仕上がっており、非常に素晴らしい制御だと言える。

クルマに詳しくない人であれば、エンジンで走行していると勘違いするレベルのリニアさだ。言い換えれば、シリーズ式ハイブリッドの場合、充電量に左右されるため、アクセル開度に関係なくエンジンの回転が上がることもあり、ドライバーには違和感として伝わることもままあるわけだ。よく言われるエンジンの先行感という現象だ。それが全くと言っていいほど感じないので、自然な気持ちで運転できる。

そして、エンジンが稼働してバッテリーを充電しているとしても、エンジン音は小さく遮音、静音が良くできたモデルになっていた。そのため、充電状況が良い場合、エンジンは停止し、モーターだけで走行するが、その際の静粛性は高く、ハイブリッドに乗っていると感じる満足度が高いだろう。

シャシーも素晴らしく、シビックで刷新されたグローバルプラットフォームを採用し、しっとりとした滑らかな走行のできるシャシーになっている。ボディ剛性が高く、そのためサスペンションが素直に動いているという印象で、微低速域でのフリクションもなく、滑らかで高級な乗り心地と言える。

操舵フィールもよく、ステア操作に対して素直に動く。ロールは少な目に感じ、車高の高いSUVだけにロールの少なさは安心感につながる。ハーシュネス性能も高く、路面の荒れた箇所でも、マイルドなフィールで衝撃を上手にいなしている印象だ。

またブレーキが今回バイワイヤーを採用しているが、これがまた、全く違和感のない素晴らしいブレーキタッチになっている。ハイブリッドでバイワイヤーだとバッテリーの充電状況により回生力が異なることや、油圧ブレーキと回生ブレーキの切り替わりなど、違和感を生じさせるポイントがいくつかある。しかし、新型CR-Vのブレーキは通常の油圧式と遜色なく、ブレーキリリース時も気を使うことなく、スパッと離しても車両の姿勢変化に影響なくリリースするあたりはより安心感が増す。

ステア操舵の初期が敏感

1.5Lターボのダウンサイジングエンジン搭載モデルは、3列シートの7人乗り仕様だった。若干3列目へのアクセスは苦しく、子供や若い人なら問題とならないが、高齢者では苦しい乗車アクセスだ。また、3列目のスペースも狭く、成人男性の体格だと長距離は厳しいと思う。逆に2列シート仕様では、後席のスペースが非常に広く、かなり大柄は体型でも足が組める余裕があるほどだ。このあたりはユーザーの使い勝手で判断していくことになるだろう。

CVTのトランスミッションだが、大きくリニア感に欠けることはない
CVTのトランスミッションだが、大きくリニア感に欠けることはない

1.5Lという排気量だが、パワー、トルクは申し分ない。190ps/240Nmというスペックだけでも十分であることが想像できるだろう。また、静粛性も高く、これはCR-Vがワンランク上の静粛性を持ったモデルということを証明していると感じた。

乗り味はハイブリッド同様で、しっとりと滑らかな乗り味は高級だ。ただ、操舵フィールはハイブリッドよりも敏感な部分がある。特にステア操作した最初の動きが敏感で、ドライバーは切りはじめが慎重にならざるを得ない。無意識にステア操作すると、スパッと動きまたロールも大きく感じてしまうからだ。

3列シートのトランクスペース
3列シートのトランクスペース

このあたりを開発者にインタビューしたところ、ターゲットユーザーがハイブリッドよりも若干若い年代であることと、スポーティさを出したかったという狙いがあるということだ。ハイブリッドは重量もあるため、全体にしっとり感があり、逆にガソリン車は軽量な分、軽快感がありきびきび動くといったあたりを狙っているわけだ。

最軽量の4人乗りFFガソリンと最重量のAWDハイブリッドでは180kgの差があり、試乗車でも70kgの重量違いがある。こうした重量の違いがありながら、同じようなフィールとなるシャシーの味付けは難しいところだろう。

ちなみに、ハイブリッドはオンデマンド式のAWDで、ガソリンはFFだったが、運転していてその違いは全く感じられなかった。個人的には予算が許せばハイブリッドのAWDをお勧めする。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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