ホンダは2023年3月6日、米国現地法人アメリカン・ホンダモーターの敷地内に燃料電池(FC)定置電源を設置し、現地時間3月3日(金曜日)から同社のデータセンター向けの非常用電源として実証運用を開始したと発表した。この取り組みは将来の商用化に向けた実用性検証だ。
今回使用するFC定置電源では、燃料電池自動車(FCEV)「クラリティ フューエル セル」のFCシステムを再利用している。4基のFCシステムから構成される約250kWのユニットを2台接続することで、合計約500kWの出力を発生する。また、ユニットを追加接続することで、より高出力化が可能であり、その際、各ユニットは上から見てL字形やZ字形など設置環境に合わせた配置が可能となっている。
近年、クラウドやビッグデータ活用の拡大により、データセンターの必要電力が急伸し、BCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の観点でも非常用電源へのニーズが高まっている。データセンターは災害時でも安定した電力供給が求められ、従来のディーゼル発電が主流の非常用定置電源を、クリーンで高品質な電力を供給できるFCシステムに置き換える需要は、今後急速に高まることが予想されている。
こうした需要をふまえ、これまで30年以上にわたり取り組んできた水素技術やFCEVの研究・開発のノウハウを生かし、クリーンで静かな非常用電源から、発電領域におけるFCシステムの適用を提案している。その中で今回の実証運用は、FC定置電源の商用化に向けた第一歩となる。また今後、グローバルのホンダの工場やデータセンターにも適用していくことで、自社で排出した温室効果ガスの低減も図って行くとしている。