アコードの9代目がデビューし、2つのモーターを内蔵するハイブリッドモデルとして国内デビューを果たした。上質、先進性を伸ばしつつ、突き抜けた環境性能を持つというのが今回の開発コンセプトだ。早速、乗ってみての印象をレポートしよう。
アコードは1976年にデビューし世界16ヶ国で述べ1920万台を販売し、国内でも153万台の販売実績があるクルマだ。ここ数年は北米を中心としたクルマ造りで、国内ではインスパイアとして販売。それとは別に6代目以降は仕向け地仕様も造り分けることを行っていたが、9代目アコードは北米仕様と国内仕様が共通になった。
そのため、ボディサイズはトヨタ・クラウンより大きく、全長4915mm×全幅1850mm×全高1465mm、ホイールベース2775mmとアッパーミドルクラスのサイズとなっている。ボディ形状はセダンのみの展開で、搭載するエンジンも国内には2モーターハイブリッドと官公庁、企業用の専売モデルとしてプラグインハイブリッドの2モデルだけとなる。ちなみに、北米では4気筒2.4L直噴ガソリン、V型6気筒3.5Lガソリンがあり、4気筒はCVTと6速MT、V型6気筒は6速ATと6速MTがハイブリッド以外に設定されている。
さて、このハイブリッドモデルは2つのモーターを持ち、4気筒2.0Lアトキンソンサイクルのエンジンと組み合わされ、価格は365万円から。JC08モードは30.0km/Lというクラストップの低燃費を実現している。パワーユニットの構成はモーターが駆動用モーターと発電モーター、エンジンはDOHC、i-VTECガソリン、と湿式多板クラッチ1個で構成している。その仕組みなど詳しくは、コチラを参照してほしい。
このハイブリッドはホンダのアースドリーム・テクノロジーとして第2世代のハイブリッドシステムとなるもので、i-MMDすなわち、スポーツハイブリッド・インテリジェント・マルチモードドライブを意味するハイブリッドである。目指したものは圧倒的な環境性能とFUN、走る楽しさ。これらを両立することを追求していて、環境性能では優れた低燃費を実現し、FUNの部分では124kw/307Nmの高出力モーターによる応答性の高い駆動力を得ることである。
走行モードは、EVモード、モーターとガソリンエンジンで駆動するハイブリッドモード、そしてガソリンエンジンだけで走行するという3つのモードがある。さらにハイブリッドモードではモーターアシストの状態により、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドの使い分けも自動で行われている。
走り出しはEVモードで走行し、アクセル開度によってはエンジンのアシストが入る。車速があがってくるとエンジンがアシストする場合と、発電機としてエンジンが稼動している場合とに分かれる。ドライバーはエネルギーフローを示すモニターで駆動か充電稼働かを確認できるが、走行フィールとしてはエンジンの駆動力か発電機なのか区別は付かない。
発電機としてエンジンが稼働しているというのは、走行状態はEV走行をしているということで、不足する電力を補うためにエンジンが稼働し充電しているということだ。搭載するバッテリーは蓄電容量1.3kWhのリチウムイオン電池で、プラグインモデルは6.7kWhの容量を持つ。このバッテリー容量の違いによりプラグインの方は、エンジンが稼働する場面が少なくEV走行の領域が広い。通常のハイブリッドモデルはEV走行しながらもエンジン音が聞こえるので、少しもったいない気分になる。つまり、エンジン音が聞こえないほどより先進的という思い込みがあるからだ。
また、60km/h程度で一定速度の走行時はこのハイブリッド走行とEV走行の割合は50%程度で、高速走行になるとEV走行は1/3程度、2/3はエンジン駆動での走行というように、走行状況によってさまざまな走行モードを選択しながら走行する。ちなみに、高速走行では5速ギヤ相当のギヤでエンジン走行している。80km/h程度以上の高速走行になると、モーター駆動は切り離されエンジンだけで走行するが、加速力やトルクが不足すれば滑らかにクラッチはつながりモーターのアシストが入る。エンジンだけの走行になるときには、ほんのわずかだが、切り離されたというフィーリングは感じられる。逆に「つながった」という感じはない。
このi-MMDはいわゆるトランスミッションに相当する減速機は持たず、モーター領域での減速が主体になる。したがって減速は電気的な抵抗を利用したもので、油圧ブレーキと協調制御されながら減速をする。ブレーキはブレーキバイワイヤー技術でブレーキ油圧をバイワイヤーで行なう。しかし、踏力やペダルフィールはナチュラルで、通常の油圧ブレーキとの違いは分かりにくい。回生ブレーキの制御で最も難しいとされる停止寸前に油圧ブレーキとの入れ替わる瞬間もナチュラルで、違和感はない。ただし、通常走行中、ブレーキペダルを踏むほうはナチュラルなのだが、リリースしたときに減速感が少し残っている場合があった。
さて、今回の新型アコードはホンダを代表する大型上級セダンという位置づけになる。エクステリア、インテリアともにキーワードは爽快、先進、上質でありグローバルに展開される。
インテリアは北米をメインターゲットとしているだけに、広々とゆったりした室内空間を持っている。基準身長185cmというゆとりのある後席空間があり、十分にくつろげる。ドライバーズシートも大き目で、ゆったりとしている。スピードメーターはセンターに大型の速度計が配置され、その左右に出力や回生量などのゲージが配置され視認性はよい。
乗り心地もゆったりした印象だが、ある一定域まではロールするが、その先はしっかり感があり、コーナーでも安定している。新たに、振幅感応式ダンパーを採用し、低速域の低振幅ではダンピンフォースを低くして乗り心地を良くし、大振幅の時はダンピングを強く制御できるので、操安領域の向上が図られている。
サスペンションの働きにはボディの性能も大きく影響するが、新型アコードはハイテン材による軽量化や1500Mps級のホットスタンプも採用し曲げ剛性が+36%、ねじり剛性が+53%へと向上している。その結果、ハンドリングは軽めの操舵感でも敏感すぎず、適度な反応を示し大人な印象だ。しっかりしたボディに包まれた感触があり、安心感の高い走りが提供されている。