ホンダは2019年12月18日、2020年1月7日〜10日までアメリカ・ネバダ州ラスベガス市で開催される世界最大級の家電見本市「CES2020」に出展し、オープンイノベーションで取り組む技術を紹介するとともに、研究開発・事業化パートナーを募集すると発表した。
ホンダ・エネルギー・マネジメント・コンセプト
このコンセプトは再生可能エネルギーを、身近な暮らしのさまざまなシーンで活用できる技術コンセプトで、その実現手段の一つである移動式バッテリー「ホンダ・モバイルパワーパック」を用いたシステムを展示する。
モバイルパワーパックは、これまで電動2輪車などに活用してきたが、さらに暮らしにまで広げた可能性を探り、特にその可搬性に着目し、野外など電力インフラのない場所での電源供給など、いつでもどこでも再生可能エネルギーの利用を可能する。
またクリーンなエネルギーによる移動と暮らしの実現に向け、モバイルパワーパックを始めとするエネルギーマネジメント技術の活用を探索するパートナーを求めている。
セーフ・スウォーム
コネクテッドカー技術(V2V、V2X含む)を活用し、安全でスムーズな交通の流れの実現を目指す技術コンセプトで、車車間(V2V)/路車間(V2X)通信でデータのやり取りをすることで、見通しの悪い交差点進入時の衝突の回避や、合流時や車線変更時のスピードを分析し、適切なスピード・タイミングでの合流や車線変更をアシストすることで渋滞発生を防ぐことを目指す。
ホンダは、CES2017でコンセプトを発表し、2018年初頭から車車間/路車間通信機を搭載した車両を用いて、米国オハイオ州コロンバス地域とホンダR&Dアメリカをつなぐ州道33号線を舞台に、約100台で実証実験を行なっているが、今後は約200台へと実証実験を拡大する予定だ。
また同州メアリズビルでは、交差点の信号にカメラ、センサー、V2X通信機を設置し、V2X搭載車両と通信する「スマート インターセクション」の実証実験も開始している。
今後、実証実験をさらに加速させるため、研究開発パートナーや共同実験パートナーを求めており、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)やCAV(Connected and Automated Vehicle:コネクテッドカー・自動運転車)に関わる企業と、実証実験を共同で実施する自治体のプロジェクト参画を募っている。
ホンダ・パーソナル・アシスタント
「ホンダ・パーソナル・アシスタント」は、カリフォルニア州に拠点を置く音声認識技術の開発を行なう企業「サウンドハウンド」の技術を生かし、AIエージェントがドライバーの発話だけで意図を理解し、機械ごとに異なる操作方法やマニュアルなど、機能の複雑化により増大している人の負担を軽減するシステムだ。
インダストリアル・イノベーション
インダストリアル・イノベーションは、AIやウェアラブルデバイスを活用し、高効率で人にやさしい生産環境を実現するコンセプトだ。オープンイノベーションにより4企業との取組みを紹介する。
モノリス・エーアイ
英国ロンドンに本社を置き、AIを活用し開発現場における高効率なソリューションを提供するスタートアップ企業。生産現場における経験値をAIが学習し、図面を形にする際の検証を担うことで、実現したいデザインを効率的に具現化する。
スケレックス
オランダに本社を置き、肉体労働時の上半身作業の負荷を軽減するウェアラブルデバイスを提供する企業。頭上作業時にデバイスが腕をアシストすることで、肩の損傷のリスクを低減する。
ヌーニ―
ドイツに本社を置き、中腰作業における負荷を軽減するウェアラブルデバイスを提供する企業。デバイスが椅子の役目を果たし、腰を掛けた状態での作業を可能にし、足腰の怪我のリスクを低減。
ユーブイアイ
イスラエルに本社を置き、自動車の外観検査システムを提供するスタートアップ企業。専用カメラシステムとAIを組み合わせることで、車両外観検査の高精度化と自動化を実現する。
自由運転
完全自動運転が実現した時代に、パーソナルモビリティで移動することの価値を提案する新たな自動運転コンセプト。
単なる自動運転を超えて、クルマが黒子になって運転をサポートすることで、ドライバーが運転中にふと興味を抱いた場所に意のままに立ち寄ることを叶えてくれるような、自由な移動の実現を目指す。自動運転技術とさまざまなセンサーが人の意思を読み取ることで、あたかもクルマがドライバーの思い通りになる足のような身体拡張を実現する。
フューチャー・ホンダ・モビリティ
2035年のロサンゼルスを舞台に、ホンダが描く未来のモビリティ社会を表現したVR映像。都市部において安全で安心できる自動運転の移動体験や、公園でのモビリティと歩行者との共存、空中移動体験といったシーンごとに、ホンダが描く未来のモビリティ・エコシステムをリアルに表現している。
ホンダは2030年に向け、「すべての人に生活の可能性が拡がる喜び」を提供することを目指し、新たな価値の創造に取り組んでいる。2017年からのCES出展において新価値創造に向けたオープンイノベーションの呼びかけを行ない、開発中の具体的な技術を展示して研究開発・事業化パートナーを募ってきた。
またCES2020でも、引き続き研究開発の促進・事業化に向けたパートナーの募集を行なうとともに、将来のオープンイノベーションを見据えた、開発中のコンセプト提案を展示する。