ホンダは渋滞を少なくする技術に関する公道実験をインドネシアで実施し、渋滞発生を遅らせる効果と燃費を20%以上向上させる効果を確認したと発表した。この公道実験は、2012年9月?2013年2月にかけてインドネシア高速道路運営会社が管轄するジャカルタの高速道路で実施されたもの。
渋滞は交通流が乱れることが原因で発生するため、渋滞抑制のためには一台一台の車両が周囲の車両と同調した走行をする必要がある。ホンダはドライバーが周囲の車両と同調した走行をしているかを、スマートフォンのディスプレイの色を変化させることにより一目で確認できるアプリを開発し、インドネシアの公道実験で使用した。このアプリは車両の加減速の変動パターンをモニターし、渋滞の発生につながる走行であるかを判断することで周囲の車両と同調した走行をサポートする。
また単に渋滞を抑制するだけでなく、安全性を向上することになり、自車だけでなく周囲の数百台の車両の燃費を向上させる効果が期待できる。
今後もホンダは、実際の交通流量や走行パターンをもとに、渋滞が発生する可能性のある地点の情報を車両端末に表示する機能の開発や、2輪車などへの応用を目指して音や振動で周囲と同調した走行をサポートする機能の開発など、渋滞のない交通社会の構築につながる取り組みを進めて行くという。
■実験に用いたシステムの概要
今回の実験は、以下の二つの方式で行った。
・単体型:一台のクルマに搭載したスマートフォン単体で、渋滞につながる走行であるかを判断する方式
・通信型:複数のクルマに搭載したスマートフォンをクラウドサーバーに接続し、複数のクルマの動きとその前方車の情報も考慮して、同調した走行をアシストする方式
■実験結果
このシステムでは無意識に渋滞の原因を作り出しているドライバーに注意を喚起するというもので、前方を走行するクルマが減速した時、必要以上の強めのブレーキをかける頻度が少なければ渋滞を緩和することができる。しかし、本質的にはスキルの低いドライバーの心理的な要素も加わるため、効果はある程度限定される。したがって本格的には車車間通信技術、先行車との距離や速度差を検出する技術による自動制御の方が有効だが、今回の実験のようなモニター技術でも20%もの燃費向上効果がえられることは注目すべきだろう。