【ホンダ】新世代ハイブリッドシステム、「i-MMD」の概要を発表 2013年夏発売の次期型アコードに採用

ホンダの新世代ハイブリッドシステム「i-MMD」システム構成

2013年3月15日、ホンダは日米で今夏に発売が予定されている新型(2014年モデル)アコード・ハイブリッドの新世代ハイブリッドシステム「i-MMD」の概要を発表した。なおアメリカ市場ではすでに2014年モデルとして新型アコード・ハイブリッド(プラグイン)の車両概要も公表されている。

ホンダは2012年11月に「アースドリーム・テクノロジー」として、第2世代のハイブリッドシステムの全体的な構想を発表している。そこでは、小型車には1モーターの軽量コンパクトなハイブリッドシステム「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive(スポーツハイブリッド・インテリジェント・デュアルクラッチドライブ)」、そして中型車に最適な2モーターを採用した「SPORT HYBRID Intelligent Multi Mode Drive(スポーツハイブリッド・インテリジェント・マルチモードドライブ)」、大型車に最適な3モーターを採用して左右の駆動力を自在に制御する「SPORT HYBRID SH-AWD(SPORT HYBRID Super Handling – All Wheel Drive:スポーツハイブリッド・スーパーハンドリング・オールホイールドライブ)」というクルマの特性に適合させた3タイプのハイブリッドシステムをラインアップするとしている。

今夏発売予定の新型アコード・ハイブリッド
新型アコード・プラグインハイブリッド

今回公表されたハイブリッドシステムは、アコード、すなわちミドルクラス向けの「i-MMD」だ。なお、ホンダの新世代のハイブリッドシステムは「スポーツ・ハイブリッド」という名称が付けられ、燃費だけではなくスポーティな走りも訴求することを強調していることも特徴といっていいだろう。

i-MMDのコンポーネンツ・レイアウト
新開発されたハイブリッド用2.0Lエンジン
電動ウォーターポンプを採用し補機ベルトレスに

 

i-VTECは遅閉じの燃費カムと出力カムを切り替える
新採用された電動ウォーターポンプ

 

発表された「i-MMD」は「インテリジェント・マルチモード・ドライブ」の略で、新開発の2.0L・4気筒DOHC・i-VTECで、遅閉じアトキンソンサイクル運転と通常運転を行うエンジンを搭載し、湿式多板クラッチ1個、永久磁石同期型の駆動用モーターと発電用ジェネレーターを備えた2モーター式のハイブリッドシステムだ。バッテリーは新開発のリチウムイオン電池を採用している。

運転モードはバッテリーの電力で走行するEVモード、エンジンの動力により発電した電力を利用した駆動用モーターで走行するシリーズ・ハイブリッド・モード、高速走行ではエンジンが駆動し、加速時には駆動用モーターがアシストするパラレル・ハイブリッド・モードとなる仕組みだ。またより大容量のリチウムイオン電池を搭載したプラグインハイブリッドも設定されている。三菱アウトランダーPHEVとアコードは4WD、2WDの違いはあるが、ほぼ同様のハイブリッドシステムとなっている。

エンジンと直結される駆動モーターと発電用ジェネレーター
エンジンと2個のモーター(右)と中央のエンジン断続クラッチ

 

124kWと大出力の駆動用モーター
発電用ジェネレーター

 

アコード用のシステムは、エンジンの出力は143ps、最大トルク165Nm、駆動用モーターの出力は124kW、最大トルクは307Nmで、システム総合出力は199ps。アウトランダーPHEVと比較するとモーター出力が5倍近く、格段に大きいことが特徴だ。一方、搭載されるリチウムイオン電池はの容量はアコード用は1.3kWhでプリウスと同容量(ただしプリウスはニッケル水素電池だが)で、エンジンで発電し、駆動用モーターを作動させる領域が広いことを物語っている。

言い換えると、発進や低速では電池から供給される電力を使用してモーター加速し、巡航状態ではエンジンにより発電された電力により駆動用モーターで走行する。高速巡航ではエンジンの最も熱効率の優れたゾーンで走行し、そこから加速する場合は駆動用モーターがアシストするということになる。

もちろんエンジンが駆動する場合のみに湿式多板クラッチが接続され、減速ギヤ、ファイナルギヤを介して前輪を駆動する。この場合は5速相当のギヤ比に固定され、100km/hは2200〜2300rpmになるという。

新エンジンはDOHCのi-VTEC機構、連続可変バルブタイミング機構を備え、低負荷ではFCカム、つまり燃費向上を目的としたアトキンソンサイクル用のカムプロフィールを使用し、大負荷時にはHPカム、つまり高出力用カムに切り替わるのが特徴だ。FCカムは4500rpmまで担当し、HPカムは6300rpmまで回るようになっている。カムの切り替えは4300〜4500rpmあたりとなる。

このエンジンは従来型2.0Lとの比較で10%燃費を改善しており、電動ウォーターポンプ、水冷クーラー式EGRなどホンダ初のシステムを組み込み、ポンピング損失を極限まで低減してエンジン本体としての燃焼効率を高めている。なおこのエンジンはレギュラーガソリン使用で機械的圧縮比は13.0、実圧縮比は11.0だ。

駆動用のモーターと発電用ジェネレーターはエンジンと直結されており、シリーズ・ハイブリッドモードでは電力は電池を経由せず直接駆動用モーターに流され、発電効率の高い状態で使用する。駆動用モーターは最高700Vで使用される。またこの状態はエンジンはジェネレーターを駆動し発電し、駆動は駆動用モーターで行う。このジェネレーターでの発電、モーターの回転数による車速の変化をホンダでは「電気的CVT」と呼んでいる。

ブレーキは新開発のフル電動サーボブレーキが採用されている。ペダルはマスターシリンダーを押す形になるが、ペダル反力はペダルフィール・シミュレーターにより擬似的に発生される。実際のブレーキ油圧は、ペダルのストロークセンサーの情報を元にモーターにより発生され、電磁弁を介して各輪に送られる。

このシステムでは減速エネルギー回生と油圧ブレーキの協調がより高精度に行うことができ、停止直前の7km/h付近まで回生が可能になり、減速エネルギー回生率が大幅に高められているという。

走りに関しても、従来のハイブリッド車の常識を破る軽快な加速を実現しているという。これはもちろん大出力のモーターによるところが大きい。この軽快な加速性能がスポーツ・ハイブリッドと名付けられた理由である。

四輪R&Dセンター統括 島田裕央氏

他のハイブリッドより強力な加速を実現

 

また、このハイブリッドシステムをベースにしたプラグインハイブリッド・モデルも設定される。アメリカではこれがメインになるが、日本市場では官公庁へのリースに限定され、実証実験を行うという。プラグイン・タイプの場合は、搭載されるリチウムイオン電池の容量は6.7kWhとなり、車載充電器やDC-DCコンバーターを追加装備する。電池のみでの走行距離は約16kmだ。

プラグインハウブリッドのシステム構成

なお、アコード・ハイブリッド、アコード・プラグインハイブリッドの燃費は、アメリカ(EPA)燃費で、市街地が46MPG、高速が47MPG、混合燃費が46MPGで、プラグインハイブリッドの計算燃費は115MPGeとなっている。46MPGはkm/Lに換算すると約19.6km/Lとなる。またプラグインハイブリッドの計算燃費は49km/Lとなる。

新型アコードUSモデル諸元表

ホンダ公式サイト

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