ダイハツ タフト この個性は魅力たっぷり 試乗記(FF+NA+CVT、FF+ターボ+D-CVT)

ダイハツの新型軽自動車SUVタフトに試乗してきた。見た瞬間「四角っ!」って思わせる個性的なデザインとどこかミリタリーな印象もあるタフトは、やりたいことのテリトリーを広げられる新しい軽SUVだ。

スクエアなルックスでひと目でタフトとわかる個性的なデザイン

個性的なデザイン

誰が、どこから見ても「タフト」とわかるエクステリアデザインは個性的で魅力たっぷり。フラットなボンネットや太いBピラー、Cピラー、角度が立ち上がっているAピラー、切れ上がったリヤオーバーハングなど、感性を刺激するデザインだ。

ダイハツの新型軽SUVのタフトは「Tough Almighty Fun Tool」の頭文字をとった造語

インテリアは全体的にアウトドアなイメージだ。四角いデザインがモチーフとされ、カクカクとしたデザインを基本にしている。スピードメーターとタコメーターはスタンダードな2眼メーターで、刻まれる文字フォントはメカニカルな印象に写る書体。機械式腕時計に使われるような、メンズライクなフォントはどこかミリタリーをイメージさせ、走り出してからの活発な行動を脳裏に沸き立たせるのだ。やる気にさせる、とかワクワク感、早く行きたい、といった意味のない感情が湧いてくるインテリアだ。

整理されたインテリアは操作系もまとまっていて扱いやすい

また、「ハザードランプはどこだ?」とか「室温調整はどこ?」といった運転しながら操作しなければならないものが一目でわかるレイアウトも秀逸だ。シフトレバーをオレンジのトリムで囲ったデザインがそうした視認性、認知性を上げているのかもしれない。迷うことなくスイッチを押せるのは、ストレスフリーで高齢者にも、そしてメカに詳しくない女性にも優しい。

そしてもうひとつ注目なのがガラスサンルーフ。全車標準装備になっているのだ。「スカイフィールトップ」というサンルーフは、開閉はしないものの、大きなガラス面積が開放感を作る。もちろんインナースライドシェードがあるので閉じたい時には簡単に閉めることができる。

全モデルに標準装備されるガラスサンルーフ「スカイフィールトップ」

オフもいけるぜ

モデルライアップにはFFと4WDがあり、試乗車はFFの3気筒自然吸気エンジンにCVT。もちろん、ボディサイズは軽自動車枠いっぱいのサイズで、全長3395mm、全幅1475mm、全高1630mm、ホイールベースは2460mmで4人乗り。エンジンは660ccのNAとターボがラインアップし、その両方に試乗できた。

ミリタリー調のシートデザインなどハードな印象があってたくましさを感じる

走り出して感じるのはステアリングのセンターの座りの良さだ。まっすぐ直進性が高く、安心感がある。だがハンドルの遊びはやや大きめで、これはオフロードを想定しての設定だろう。あまり敏感な設定では、路面からのキックバックをモロに受け止めてしまうため、アソビをやや取ることで回避している。

ターボには「Dアシスト切替ステアリングスイッチ」があり、ハンドルにある「PWR』ボタンを押すとエンジンとCVTの制御がかわり、力強さが増す。もちろん、絶対値に変更はないが、体感的にも違いがはっきりあるので、高速での合流などで有効だろう。

CVTのトランスミッションはラバーバンドフィールは薄い

乗り心地はソフトでシートとの相性がいい。微低速でのフリクションもなくよく減衰しているが、ややハーシュネスはある。タイヤの影響もあると思うが、それほど気にすることでもないか。ロールもある程度する方向のサスペンションで、悪路を考えると程よいしなやかさを持たせたという印象だ。

市街地を走行する限りこの自然吸気のエンジンで全く問題ない。低速での力強さを感じるし、発進時や交差点でモタモタするようなことは一切感じないで、力強く走り出す。もちろん、ターボ車であれば、さらに力強く発進し途中の加速も力強い。これはD-CVTの効果が高く、金属ベルトのCVTで発進をし、ある程度の車速になるとギヤでダイレクトに駆動するため、CVTのラバーバンドフィールもなければ、高速での燃費にも貢献する。このダイハツが開発したオリジナルCVTが走行フィールの印象を作っている側面もあるのだ。

そして、高速道路の長時間走行を考えるとターボがお勧めだが、それほど高速走行もしないのであれば、燃費や価格からも自然吸気がいいと思う。またグレード違いやターボかNAかの違いは、ホイールデザインの違いくらいで、大きな外観上の違いがないことも、とてもよいと思う。

今回の試乗は市街地と高速だけだったので、オフロードは走行していないが、最低地上高は190mmあり、デパーチャーアングル、アプローチアングルともにたっぷり余裕ある角度なので、キャンプ場などの未舗装路は気にしないで走行できる。さらにグリップサポート機能もあり、空転したタイヤにブレーキをかけ、反対のタイヤに駆動力を強くかけてスリップから脱出できる機能があり、ぬかるみなどでのスタック脱出、防止になる機能も装備している。

リヤオーバーハングの短さからデパーチャーアングルも58度と大きい

割り切ったカーゴスペース

タフトの特徴のひとつは後席を含め、カーゴスペースを広くとっている点が特徴だ。フロアは樹脂ボードになっているので、濡れたもの、汚れたものでも後から簡単に拭き取ることができる仕様になっている。

荷室の広さ、背面の樹脂ボードなどラフに扱ってもよさそうだ

こうした荷室にすることで、アウトドアで出かけやすく、非日常の空間へ飛び出せる後押しをするようなキャビンが提供されているのだ。何を乗せて飛び出すのか、使い方はオーナーの自由だ。
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軽自動車の役割

最後にダイハツは軽自動車を主に製造しているメーカーだが、その軽自動車は地方の活性化に貢献しており、女性や高齢者の方に活用されていることを認識している。つまり、地方ではクルマがなければ生活ができない環境であり、そこには所有負担が軽い軽自動車が貢献しているということ。

また、多くの女性、高齢者が利用している実態も掴んでおり、都心よりも低い世帯所得への配慮からも良品廉価を訴えているメーカーでもあるわけだ。

新型SUVのタフトは、そうした需要にも応えているモデルだと思う。操作しやすいスイッチ類、視界のいいフロント運転席、充実した安全装備、わかりやすいクルマの個性など、積極的に選びたいモデルの1台と言えるだろう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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