ダイハツ キャスト試乗記 デザイン、多様な個性で軽自動車の新境地を切り開く

マニアック評価vol378

キャスト アクティバ Gターボ ”SA Ⅱ”
キャスト アクティバ Gターボ ”SA Ⅱ”

ダイハツの軽自動車シリーズに新たに「キャスト」が加わった。開発コンセプトは「生活を彩る自分仕様の軽自動車」で、キャストは、アクティバ、スタイル、スポーツ(2015年10月末に発売予定)という3種類のバリエーションを展開している。早速、9月に発売されたアクティバとスタイルに試乗してみた。<レポート:松本 晴比古/Haruhiko Matsumoto>

軽自動車は国内では全乗用車の中で40%を越える存在となっているが、限られたボディサイズの中で最大限の室内スペースを生み出すことや燃費を向上させることが各車の共通テーマとなってきた。そのためハイトワゴン、スーパーハイトワゴンが主流になり、室内スペースは今ではCセグメントのクルマを凌駕するほどになっている。

しかし、その反面で各車は実用性を追求した結果としてデザインが画一的で、個性の薄いクルマに仕上がっている。それに対してユーザー層はより自分の好みを反映させたデザインの軽自動車を求める傾向が強まっているとダイハツは考えたのだ。

そういう意味で、キャスト・シリーズはこれまでの軽自動車の実用性や燃費といった基本性能とは一線を画した第3の路線を作り出そうというクルマだ。

キャストのベースになっているのは既存のムーヴで、先行開発されストックされていたデザインで新たな車種を作り上げ、これまでの軽自動車の常識であった標準モデルとカスタムという2車系ではなく、アクティバ、スタイル、スポーツという3車系を同時展開することになったのだ。

キャスト スタイル X ”SA Ⅱ”
キャスト スタイル X ”SA Ⅱ”

キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”

今回試乗したシリーズのアクティバとスタイルは、基本性能の部分は共通だが、アクティバはクロスオーバー/SUV、スタイルは都会的、エレガントな方向性をデザインで表現している。もちろんアクティバにはクロスオーバーの機能も盛り込まれ、165/60R15サイズの大径タイヤ、最低地上高180mm(スタイルと比べ+30mm)とし、4WDモデルはグリップサポート(電子制御LSD)制御、ダウンヒルアシスタントコントロール(DAC)も装備している。その意味で、アクティバはクロスオーバー・デザインだけではなく、雪国や未舗装路がある地域での実用性もアピールポイントとなっている。<次のページへ>

試乗したのは自然吸気エンジンを搭載するキャスト スタイル X ”SA Ⅱ”と、キャスト アクティバ Gターボ ”SA Ⅱ”の2台だ。まずはキャスト スタイル X ”SA Ⅱ”から。スタイルは都会的、エレガント路線で、少しレトロ風でもある。

キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ” 試乗
キャスト スタイル X ”SA Ⅱ”

自然吸気エンジンとCVTを組み合わせた走りは、やはり燃費重視のセッティングになっている。そのため、アクセルの踏み加減と加速感が必ずしも一致しない。市街地での巡航状態からアクセルを少し強めに踏み込んで加速といった中間加速でもたつきがあるといった特性があるのは致し方ない。ただアクセル一定で巡航している状態ではエンジンの回転も低く保たれ、室内も静粛で快適だ。

キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”

乗り心地は意外にも路面の凹凸を伝えやすく、硬めだと感じた。ムーヴのしっとりした乗り心地とはかなり違うよう感じたのでエンジニアに確認したところ、ムーヴRSと同じサスペンションを採用しているという。タイヤもムーヴRSは165/55R15サイズのタイヤで、キャスト スタイルも同じサイズのタイヤを装着している。ちなみにムーヴの標準モデルは14インチサイズだ。

キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”
KF型自然吸気エンジンは52ps/60Nmを発生

キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”

キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”キャスト  スタイル X ”SA Ⅱ”

キャスト スタイルのキャラクターからいえば、もっとしなやか、ソフトな乗り心地のほうが似合うと思う。もうひとつ気になったのはステアリングの操舵フィーリングだ。操舵が軽いのは問題ないが、路面からのインフォメーションが薄い感じがした。つまり乗り心地、操舵フィーリングとタイヤのマッチングが今ひとつという感じなのだ。

キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 
キャスト アクティバ Gターボ ”SA Ⅱ”

キャスト アクティバは、エクステリアを見た印象通りクロスオーバー的な仕上げで、そのキャラクターは分かりやすい。ホイールアーチはブラックのエクステンション的な処理で強調され、タイヤもワンサイズ大径の165/60R15が装着されている。つまりタイヤ外径は579mmで、スタイルより約15mm径が大きいわけだ。

さらにサスペンションの取り付け長さを15mm長くすることで最低地上高を180mmとしているわけだ。こうしたSUV的な要素を取り入れることで、キャスト アクティバの存在感を生み出している。

キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 
キャスト アクティバ Gターボ ”SA Ⅱ”

試乗したのはキャスト アクティバ Gターボ ”SA Ⅱで、当然だが自然吸気エンジンに比べてトルクが厚く、同じCVTの組み合わせでも乗りやすく、上り坂などのシーンでも力強い。そういう意味で、アクティバにはターボが良くマッチしている。

ダイハツ キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 試乗ダイハツ キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 試乗

乗り心地もこのキャスト アクティバは固めだがしっかりしたフィーリングで、クロスオーバーという性格には合っている。シャシーでは、もう少し操舵フィーリングにフィードバックがあれば、という感じだ。

ダイハツ キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 試乗ダイハツ キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 試乗

ダイハツ キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 試乗ダイハツ キャスト アクティバ   Gターボ ”SA Ⅱ” 試乗

キャストはパッケージではムーヴに比べて全高が30mm低くアクティバは最低地上高が30mm高いためムーヴと同じ全高になっている。30mm低められたことでデザイン的に安定感を生み出し、全体的に丸みのあるデザイン処理と合わせて、キャスト・シリーズの個性を生み出している。軽自動車というカテゴリーの中で、こうしたデザイン性、個性付けといった付加価値を重視する手法は評価すべきだろう。

さらにキャスト・シリーズには、よりダイナミック性能を強調した「スポーツ」がまもなく追加される。結果的にはキャストというクルマは、3車種3様の個性を持ち、シリーズ全体を一言では評価するのが難しいという点も、これまでの常識を破ったということの証明といえるかもしれない。

まもなく登場するキャスト スポーツ
まもなく登場するキャスト スポーツ
キャスト  スポーツのインテリア
キャスト スポーツのインテリア

ダイハツ キャスト スタイル 諸元表
ダイハツ キャスト アクティバ 諸元表

ダイハツ キャスト スタイル 価格表
ダイハツ キャスト スタイル 価格表
ダイハツ キャスト アクティバ 価格表
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