世界中でヒットするフォルクスワーゲン ポロの魅力とその理由

マニアック評価vol444

Volkswagen Polo
現在の後期型ポロ・シリーズのラインアップ

2016年現在販売されているフォルクスワーゲン・ポロは5代目で、「6R/6C型」となる。初代ポロの発売は1975年で、フォルクスワーゲンでは歴史の長いモデルの一つであり、ヨーロッパで最もマーケットの大きなBセグメントを席巻するために投入されたモデルだ。

■ポジショニング

1975年から2015年夏までに、グローバルで1400万台以上が販売され、ゴルフと並んでフォルクスワーゲンを支える屋台骨のモデルである。日本には3代目から本格導入(1984年)され、累計で22万台以上、最近まで年間1万台以上の販売実績がある。

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ここ2年ほどは新生ルノーのクリオ(ルーテシア)に首位を奪われているが、長らくBセグメントのベンチマークとして君臨しているコンパクト・ハッチバックである。現行5代目となる6R型は2009年6月にヨーロッパで発売され、10月から日本に導入された。したがって現時点では発売から7年が経過しておりモデル末期となっている。

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1975年以来、5世代を経たポロ

ちなみにポロという車名は、風の名称ではなくイギリスで盛んな馬術競技のポロから名づけられている。基本はBセグメントのハッチバックだが、仕向け地の事情に合わせ、セダン、ステーションワゴンのボディも設定されている。

Volkswagen Polo
6R/6C型(後期型)のポロ(2015年発売)

5代目の6R型はセアト・イビサ、アウディA1、シュコダ・ファビアと共通のPQ25(別称はA05)プラットフォームをベースとしており、現在のMQBプラットフォーム以前はPQシリーズの名称が使用されていた。PQ25の意味は、乗用車、横置きエンジン、2クラス、5世代目を意味する。ちなみにMQB世代の前のゴルフ・シリーズはPQ3プラットフォームという名称だ。

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なお、現在のポロはデビューから2014年までが6R型、2015年モデル以降は6C型と分類される。これは2015年モデルでビッグマイナーチェンジが行なわれたことに起因している。ただし日本での型式名は現在まで6Rのままの記載になっている。

■多彩なエンジンバリエーション

ポロだけではなく兄弟モデルのセアト・イビサ、シュコダ・ファビアもヨーロッパ市場では販売台数が多いため、そしてポロはグローバルに展開しているので、これらのモデルにはきわめて多種類のエンジンが搭載されているのも特筆すべきだろう。

VW POLO エンジン一覧
ポロのエンジン一覧リスト

販売時期は前後するが、ガソリンエンジンは1.0L・3気筒、1.2L・3気筒、1.2L・4気筒TSI、1.4L・4気筒、ブルーGT(1.4L)、1.4L TSI(GTI用)、1.6L・4気筒、1.8L TSI(後期型GTI用)、2.0L・4気筒TSI(WRCストリート)がラインアップされる。また1.4L、1.6Lはバイフュエルエル(メタン/ガソリン)も設定されている。

旧 1.2TSI
前期型用の1.2 TSI(CBZ)
専用設計のSOHC
CBZ型は専用設計のSOHC

さらにディーゼルは1.2L・3気筒の1.2TDI、1.2TDIブルーモーション、4気筒の1.6TDI、1.6TDIブルーモーション、改良型1.6TDIがラインアップされている。もちろん、排ガス規制は各地域に適合されているため、仕様の数ではさらに種類が多くなる。

日本仕様は2009年から現在までに、1.4L(自然吸気)「CGG型」、1.2 SOHC・TSI「CBZ型」、新1.2 DOHC・TSI「CJZ型」、1.0L・3気筒ブルーモーション「CHZ型」、1.4L TSI(GTI用)「CAV型」、1.4 TSI ACT(ブルーGT用)「CPT型/CZE型」、1.8 TSI(GTI用)「DAJ型」がラインアップされている。

後期型用の1.2 TSI。モジュラー設計に変わりDOHCを採用
後期型用の1.2 TSI(CJZ)。モジュラー設計に変わりDOHCを採用

エンジンは2014年8月に発売されたモデル以降は新世代となり、より軽量・低フリクションとなり、メインのCJZ型1.2L TSIエンジン(CJZ型)は、前期型のCBZ型1.2L TSIがSOHCの専用設計であったのに対しモジュラー設計を採用し、DOHC化され、排ガス規制がユーロ6対応になるなど、より燃費重視となっている。

その結果、最高パワーは90ps、最大トルク160Nmとなり、従来型よりわずかに低下しているが、JC08モード燃費は22.2km/Lと前期型より5%向上させている。そのため実用燃費はハイブリッドモデルに迫るレベルに達している。

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GTIは7速DSGと6速MTも設定されているが、その他のモデルは乾式デュアルクラッチの7速DSGを搭載
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コンパクトにパッケージされた3軸式の7速DSG

また気筒休止システム(ACT)を採用したブルーGT用のエンジンも新世代に進化。JC08モード燃費は21.5km/Lとなっている。

燃費に関しては、2015年9月に300台限定で発売された3気筒の1.0L TSIエンジンを搭載した「ポロ ブルーモーション」はJC08モード燃費が23.4km/Lとフォルクスワーゲン車で最高の燃費性能をマークしている。

■ポロのデザイン ワルター・ダ・シルヴァ

ポロのデザインは、イタリア人でフォルクスワーゲン・グループのデザイン&ブランド責任者となるワルター・デ・シルヴァ氏が担当した。デ・シルヴァはポロをデザインするに当り「ラ センプリチタ(イタリア語:英語ではSimplicity)」というデザイン哲学を提唱し、その後のフォルクスワーゲンのデザインの骨格となり、ポロはその原点と位置付けられる。

Techno Classica 2015 Volkswagen Classic feiert 40 Jahre Polo
初代ポロのデザインをリスペクトし、新たなデザイン哲学が生まれた
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6R型のデザイン具現化を象徴する言葉はピュア、クリア、パーフェクト

シンプリシティ、つまり簡潔さとは、過剰な装飾デザインを排し、シンプルで明快なフロントフェイスや、エッジの立ったキャラクターラインを採用し、その一方でヘッドライトのディテールなど細部にまで精緻な作り込みを行なうことで、年月が経過しても色褪せない普遍性のあるデザイン価値を追求シるするという哲学だ。

またポロの開発に当り、フォルクスワーゲンは従来から追求していた精緻なボディ作りのレベルを一段と引き上げ、デ・シルヴァのデザインを反映させていることも注目される。

これはポピュラーで、大量生産されるBセグメントカーであるにもかかわらず、プレミアムカーを凌駕する精巧なボディ製造技術へのマイルストーンとされている。結果的にはキャラクターラインの合わせやパネル間の隙間の狭さなど、一見して工作精度の高さが見て取れ、デ・シルヴァが描いたシャープなラインやエッジが際立っている。

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インテリアも同様で、従来のBセグメントの常識を破る高い質感とソフトな触感のインスツルメントパネルや、内装パーツ組み付け精度の高さ、ボタンやスイッチを操作した時の節度感など、クラスを超えた仕上げを実現している。

ポロのボディサイズは、全長3995mm、全幅1685mm、全高1475mm、ホイールベース2470mmで、4代目よりわずかに拡大され、居住性の改善や安全性の向上を図っているものの日本の5ナンバーサイズに収まっている。このポロのサイズは、初代ゴルフよりわずかに大きく、3代目ゴルフとほぼ同等だ。なおポロ以降にデビューした他のBセグメント・ハッチバックは、ポロよりサイズを大きくし全長も4000mmをオーバーしている。

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従来のBセグメントカーの常識を破った軽量・高剛性、高精度なボディ

ボディは、このクラスでは異例とも言える熱間成形(ホットスタンプ)による超高張力鋼板をA、Bピラー、ルーフフレーム、バルクヘッド下部のクロスメンバー等に広く採用。軽量化と剛性の向上を果たしている。当然ながら前面衝突や側面衝突時における室内へのボディの侵入量を大幅に抑制し、ユーロNCAPで最高の5つ星を獲得している。

サスペンションはフロントがストラット式、リヤはトーションビーム式。ブルーGTやGTIは標準のポロより15mm車高を下げたスポーツ・サスペンションを採用している。またブレーキは全グレードが前ベンチテーテッド、後ディスクブレーキを採用。これもBセグメントでは異例だ。最小回転半径は4.9mで、市街地での取り回しも優れている。

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後期型はオールイン・セーフティのスローガンの下、ドライバー支援システムを充実

安全装備は、ESPに加え、ブレーキアシストや衝突時の安全性を確保する6エアバッグ、フォースリミッター付シートベルトテンショナー(運転席/助手席)などを標準装備。さらに後期型では、ミリ波レーダーを全車に搭載し、プリクラッシュブレーキシステム「フロントアシストプラス」やマルチコリジョンブレーキシステム、ドライバー疲労検知システムなどを標準装備し、アダプティブクルーズコントロール(ACC)やリヤビューカメラ」も設定されている。

グレードは、当初はコンフォートライン、ハイライン(2014年8月まで)の2種類であったが、2014年8月からはコンフォートライン・アップグレード・パッケージを設定。しかし2016年5月からはこれにかわって再びハイラインが設定され、さらにエントリーグレードのトレンドラインが追加されている。

クロス・ポロ
クロス・ポロ
ブルーGT
ブルーGT

またスポーツ仕様としてはこのクラスでダントツの動力性能を備えるGTI、燃費とスポーツ性能を両立させたブルーGT、限定モデルながら燃費を徹底追及したブルーモーション、クロスオーバーモデルの「クロス・ポロ」などのバリエーションを展開している。

Volkswagen Polo GTI
192psの1.8 TSIエンジンを搭載したGTI

ポロは、ヨーロッパ市場、新興国市場をメインとしているが、そのクルマ作りはクラスの常識を超えており、デビュー当時から現在に至るまでBセグメントのベンチマークであり最高到達点となっている。そのため、デビュー以来7年を経過してもその性能、デザイン、高いレベルの質感は色褪せていない。
■価格
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フォルクスワーゲン・ポロ アーカイブ
フォルクスワーゲン公式サイト

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