フォルクスワーゲンの本命EV「ID.2all」コンセプト発表

フォルクスワーゲン本社は2023年3月17日、ウォルフスブルグでeモビリティの時代における本命として、Bセグメント・コンパクトカーの「ID.2all」コンセプトを発表した。2025年に発売予定のこのBセグメントEVは2500ユーロ(350万円)以下の価格を予定しており、多くの人に対するEV普及のための先頭に位置するモデルである。

ID.2allとフォルクスワーゲン乗用車部門のトーマス・ シェーファーCEO

■ DNAを強調した新デザイン言語
基本スペックは、従来のID.シリーズとは異なり前輪駆動を採用し、最大航続距離450km、最新の運転支援システム「トラベルアシスト」やアダプティブLEDライトを装備する他に、重点ポイントを考慮した電気自動車用ルートプランナーをはじめとする革新的なテクノロジーと機能を備えている。そしてフォルクスワーゲンのDNAをより強調する新たなデザイン言語によりデザインされている。

フォルクスワーゲン乗用車部門デザイン責任者のアンドレアス・ミントは、「ID.2allでは、フォルクスワーゲンの新しいデザイン言語を採用しています。このデザインは、Stability(安定感)、Likeability(好感度)、Excitement(感動)の3つの要素を柱としています」と説明している。

この新しいデザイン言語の1つの要素は、初代ゴルフから受け継がれているお馴染みの幅広いCピラーデザインだ。ID.2allは、この象徴的なデザインを新たに解釈した最初のフォルクスワーゲンとなる。このコンセプトカーにおける、その他のデザインの特徴として、ホイール上に構築されたクリアで力強いボディシェイプ、親しみやすいフロントフェイス、そして意図的にショルダーラインを排除することで、車両のサイドボディ全体に力強いボリューム感と際立った個性的な外観とし、ダイナミクスと時代を超越したエレガンスの程よいバランスを実現。人々にとって、これまでのゴルフやポロのDNAを受け継ぐ馴染みのある、好感度の高いボディフォルムを形成している。

フォルクスワーゲン乗用車部門のトーマス・ シェーファーCEOのコメント
「私たちは、フォルクスワーゲンを真の“Love Brand”(愛されるブランド)にするという明確な目標を持って、会社を迅速かつ根本的に変革しています。ID.2allは、私たちのブランドが目指すべき姿を示しています。つまり、私たちはお客様に近い存在となり、最高のテクノロジーと素晴らしいデザインを備えたブランドになります。私たちは、eモビリティを民主化するために、変革を迅速に実行しているのです」

■ 新開発のMEBエントリー・プラットフォーム
ID.2allは、これまでのID.シリーズ用のモジュラー エレクトリック ドライブ(MEB)プラットフォームをさらに進化させたMEBエントリー・プラットフォームを新採用している。このMEBエントリー・プラットフォームは、従来より多くのEV機種をラインアップすることでスケールメリットを生み出し、より高性能で、より低コスト化を目指している。

なおMEBエントリー・プラットフォームを採用するモデルは単に低コストだけではなく、より上位の「ID.」モデルに搭載されている多くの最先端テクノロジーを組み込むことが計画されている。これには、部分的な自動運転を可能にするトラベルアシストの最新モデルも含まれる。さらにLEDマトリクス・ヘッドライト「IQ.LIGHT」、水平なLEDストリップでつながれた左右の3次元LEDテールライトユニット、メモリー機能付きパークアシスト・プラス、マッサージ機能付き電動シートなども採用される。

インテリアもすっきりとしたクリアなデザインを採用し、高品質な外観、慣れ親しんでいる従来型のボリュームスイッチを備え、直感的に操作できるインフォテインメントシステム、独立した空調コントロール操作パネルを備えている。

インフォテインメント システムのタッチディスプレイ (12.9インチ)は、新しいメニュー構造を備え、その下には、新開発された左右独立式の空調コントロールパネル・照明付きボタンが設置されている。

運転席と助手席の両方から簡単にアクセスできるエアコン操作パネルの中央には、インフォテインメント システムの音量を調整するための、実用的で小さなロータリースイッチががあり、さらにその下には、スマートフォン用の2つの大型ワイヤレス充電インターフェースが設置されている。多くの機能は、センターコンソールのメニューコントロールを使用して操作でき、デジタルメーターのグラフィックを変更することも可能だ

新しいマルチファンクション・ステアリングホイールの左右スポーク部に2つのロータリーコントロールと、それぞれに2つのボタンで構成されている。

そしてコンパクトカーで重要なラゲッジ容量は1クラス上のモデルさえ上回る490〜1330Lとなっており、リヤシートをたためば2.2mの長尺物も積載できる。またリヤシート下には50Lの収納ボックスが配置されている。

■ 長い航続距離と、優れた充電性能
ID.2allは、MEBエントリー・プラットフォームをベースに、高効率な駆動システム、バッテリー、充電テクノロジーを搭載している。フロントアクスルには、226psを発生するパワフルな電気モーターが搭載され、0-100km/h加速はを7秒未満という動力性能を実現。

そしてヨーロッパWLTPモードによる航続距離は最大450km。800V級の超高圧DC(直流)急速充電ステーションでは、20分でバッテリー容量の10→80%を充電することができる。また、自宅の200Vウォールボックスまたは公共の普通充電装置を使用した場合、最大11kWの電力で充電することができる。

つまりID. 2allの量産モデルは、年間を通して毎日使用できる電気自動車で、十分なスペースと長い航続距離を備え、ロングドライブでも問題なく目的地に到達することができるのだ。

このID.2allが採用している「MEB エントリークラス用プラットフォーム」をベースに、2026年までに10車種のバリエーション展開が計画されており、フォルクスワーゲンの電動化攻勢の最重要シリーズと位置づけられている。

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