ロールスロイス 新たなラグジュアリーの頂点 脱・虚飾を目指した新型「ゴースト」がワールドプレミア

ロールスロイス・モーター・カーズは2020年9月1日、オンラインでスーパーラグジュアリー・サルーンの頂点となる新型「ゴースト」を発表しました。

虚飾を排除したシンプル哲学の追求

ロールスロイスのラインアップで、ファントムに次ぐポジションのフルサイズ・ラグジュアリー・サルーン「ゴースト」。ぞの先代モデルは2009年に発売され、以後10年間にわたる生産期間でロールスロイスの116年の歴史上で最も多くの販売台数を誇るモデルとなっています。

次世代のゴーストを開発するにあたり、ロールスロイスは顧客層を対象にした調査や研究を行ない、まったく新たなゴースト像を作り上げることになりました。

顧客層は、ダイナミックで、静粛性と快適性に優れ、ミニマリズムを追求した新しいタイプのスーパーラグジュアリー・サルーンを求めていることが分かり、時代の変化や顧客層の嗜好に合わてゼロから開発されたのが新型ゴーストです。

これまでのゴーストの位置付けは、ショーファー・ドリブンカーというカテゴリーにとどまらず、北米やヨーロッパでは多くの顧客がゴーストのハンドルを自ら握り、その走りを満喫していました。一方アジアでは、搭載されたコネクテッド・テクノロジーを、ビジネスでもレジャーでも強力なツールとして活用していることが分かりました。

脱・贅沢

さらに、ゴーストの所有者の自らの成功を表現する態度や行動様式の変化も明確になっています。「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」と名付けたこの新しいトレンドは、リダクション(削減・縮小)とサブスタンス(実質)であることが特長で、これを実現するには特別な素材を厳選してその価値を活かす。その一方で、デザインは虚飾を抑え、知性と節度を感じさせるものでなければならないという結論に達したのです。

「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」の哲学は、「プレミアム・ミディオクラシー(高貴な凡庸さ)」に対するアンチテーゼです。プレミアム・ミディオクラシーは、大げさなブランディング、あるいは自動車の過剰な表面的な装飾を加えるなど、高級感を極度に演出した商品を意味します。こうした思考とは対極的なクルマ像が求められていると考えるに至ったのです。

その結果、ロールス・ロイス史上最も技術的に革新的なモデルが生み出されました。このモデルは、ロールスロイス・ブランドの柱となる基本要素を再解釈して生み出されており、美しく、ミニマルでありながらも極めて工芸的な製品であり、しかも、脱・贅沢を指向し、華美さを排除したシンプルさを追求する哲学により完成したのです。

エクステリア・デザイン

新型ゴーストのデザインは、ラグジュアリーという概念の進化が反映されています。新たな価値感の概念はミニマリズムと純粋さで定義づけられ、より本質的な価値を追求しています。

新型ゴーストのデザイン開発におけるアイディア・スケッチの段階で、この新しい概念は「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」と名付けられ、この概念はすでに建築やファッション、ジュエリー、ボートなどのデザイン分野では確立されており、これ見よがしな表現ではなく、素材の本質的な価値によって定義づけられるムーブメントです。

新型ゴーストのフロントエンドには造形的なデザイン処理ではなく、照明を使用して表現しています。ラジエーターグリル頂部の下に配された20個のLEDが、グリル内側のバーを淡く照らします。

フロントは、リダクション(削減・縮小)という思想にこだわり、手作業で溶接されたアルミニウム・ボディ構造のおかげで、クルマの主要構造部は流れを遮るラインに邪魔されることなく、1枚の帆布でできているかのような滑らかなフォルムを描いています。

ボディ側面は、ひと筆で描いたようなまっすぐなラインがこのクルマの長さを際立たせ、下部の「ワフト・ライン(ふわりと浮かぶようなライン)」はボートのデザインから採り入れたもので、光の反射を利用して表面を輝かせ、ピュアでシンプルな動きを感じさせます。

サイドウィンドウは前後のドアのウィンドウ形状が等しい比率で割り振られ、これにより新型ゴーストがドライバー指向とショーファー・ドリブンの両方のキャラクターを両立させたクルマであることを表現しています。

スクエアに近い優美なテールランプの造形は、現代のロールスロイスの特長のひとつです。新型ゴーストもそれを受け継ぎ、やや前方に傾けてモダナイズされていますが、その周囲にラインがないため、ボディ表面に浮かぶ島のようにも見えます。

インテリア・デザイン

新型ゴーストインテリアも、エクステリアと同様にミニマリズムの原則を追求しています。過剰なディテールやこれ見よがしな飾りを排除し、心から寛ぐことのできる空間を作り上げるだけでなく、素材の本質的な価値を活かし、ビスポークのカラー・パーソナライゼーションの効果を最大限に発揮させることを目指しています。

また、最上級の素材を調達することも必要です。装飾に頼らず、素材自体の魅力でユーザーの厳しい審美眼にかなうためには、最上質の本革、ウッド、メタルが必須ということです。

そのために、新型ゴーストのインテリア・スイートに使用される1台あたり20枚のハーフ・ハイドレザー(柔軟な本革)は、自動車業界で最も厳しい品質管理で選別され、338枚(見えない箇所に使われるものも含む)のパネルはすべて最高品質で仕上げられています。

また、新型ゴーストのインテリアには複雑なステッチはあえて使わず、驚くほど長いステッチを完全に真っ直ぐに縫い上げ、長年培ってきた本革縫製の高度な技術が活かされています。

ウッドパネルは、素材のありのままの魅力を堪能できるオープンポア仕上げも用意されています。ゴーストのためだけに開発された、新しいウッドトリムも2種類用意されています。

そのひとつが「オブシディアン・アユース」で、これは溶岩石の変化する色にインスパイアされたものです。ふたつ目は「ダーク・アンバー」で、これはダークウッドの表面に微細なアルミニウムの粒子で細かな模様を施したものです。レザー・フィニッシュと同様、この素材も長い1枚の薄いベニアをむき出しの形で使用しています。

GHOST照明

新型ゴーストのためにビスポーク部門のデザイナー、エンジニア、職人たちは「イルミネーテッド・フェイシア」を創り出しました。

これは世界初のイノベーションで、今ではスピリット・オブ・エクスタシー、パルテノン・グリル、ダブルRモノグラムと並んでロールス・ロイスのシンボルのひとつになりつつあるスターライト・ヘッドライナー(LEDによる天井部の星座照明)を絶妙に反映させたものです。

この「イルミネーテッド・フェイシア」は、インテリアに「GHOST」の文字を幻想的に浮かび上がらせ、その周りには850個を超える小さな星が散りばめられています。助手席側ダッシュボードに装備されるこのワードマークと星の集まりは、ルームライトを点灯していない時はまったく見えないようになっています。

イルミネーション自体はフェイシアの上部と下部に取り付けられた152個のLEDから送られます。

GHOSTのワードマークを均等に照らすため、厚さ2mmのライトガイドを使用し、その表面には9万個を超えるドットがレーザー・エッチング加工されています。

アルミ製スペースフレームとアッパーボディ

ロールスロイスは、新型ゴーストのための特別な個性を作り出すためには、大量生産されるクルマのプラットフォームでは本物のスーパーラグジュアリー・サルーンを生み出すことができないと考えました。

自由で創造性を高めるテクノロジーとして不可欠だったのが、自社開発によるアルミニウム・スペースフレーム・アーキテクチャーです。

ロールスロイス専用に開発されたこの車両構造は、すでにフラッグシップであるファントムと、SUVのカリナンに採用されています。

スペースフレームの骨格は、四隅にある4つの固定ポイントを基準に、最適な位置にアルミニウム製バルクヘッド、フロア、シルを配置し、2個の鋳造製サスペンション・マウント・アセンブリーは最大限前方にレイアウトすることで6.75Lの排気量を持つV型12気筒エンジンはフロントアクスルより後方、つまりフロント・ミッドシップに搭載され、結果的に前後荷重配分50:50が実現しています。

インテリアのスペースは最大限に重視され、全長は初代のグッドウッド・ゴーストよりも89mm長い5546mmに、全幅も30mm拡大して1978mmになっています。

2重構造のバルクヘッドとフロア構造によって形成されるスペースに搭載されるコンポーネンツも大幅に革新され、4輪駆動システム、4輪操舵システム、そして新設計のプラナー・サスペンション・システムが搭載されています。

アッパーボディも100%アルミ製です。アウターボディは、Aピラーからルーフを越えてリヤエンドに向かってシームレスに流れるような曲線を描き、そのフォルムはクリーンで張りのある一体ボディとして表現されています。

ボディの軽量化と、4万Nm/degという驚異的なボディねじり剛性が得られているだけでなく、スチールに比べて音響インピーダンスが低いため、キャビンの静粛性能にも寄与しています。

V12ツインターボ・エンジン

瞬時に立ち上がる強力なトルクと、走行中でもほぼ無音に近い静粛性を追求し、ロールスロイスの6.75LのV型12気筒ツインターボ・ガソリンエンジンはさらに進歩しています。

最高出力571ps、最大トルク850Nmの出力を4輪駆動システムへと伝え、有り余るほどのパフォーマンスから得られるダイナミックな走りを実現しています。

このエンジンはアイドリング回転数より600rpm高い1600rpmという低い回転数で最大トルクを発生させ、卓越したレベルの静粛性をさらに改善するため、エンジン吸気システムの口径を拡大するなど、キャビンに伝わるエンジン音を低減させています。

プラナー・サスペンション・システム

ロールスロイスにとって「マジック・カーペット・ライド」(魔法の絨毯のような乗り心地)の追求は永遠のテーマです。新型ゴーストはサスペンションの設計を一新し、その名も「プラナー・サスペンション・システム」という名称のシステムを新たに開発しました。

プラナーとは完全に平らで水平な幾何学的平面を意味しています。このサスペンション・システムは、まるで空を飛んでいるような乗り心地を実現しています。

極めて高度な路面スキャニングやソフトウェアなどのテクノロジーも駆使して生み出されたこのシステムは、フロント・サスペンションの上部に世界初のアッパー・ウィッシュボーン・ダンパーを装着しています。

そして、これらに連動して働く「フラッグベアラー・システム」は、ステレオカメラで前方の道路表面を読み取り、車速100km/h以下で路面の変化を検知してサスペンション・システムを事前に最適化させます。

これにロールスロイス独自の「サテライト・エイデッド・トランスミッション」を加え、専用のプラナー・ソフトウェア・システムがまとめて管理制御する仕組みになっています。

「サテライト・エイデッド・トランスミッション」とは、GPSデータを利用することで、これから向かう先のカーブに合わせて事前にトランスミッションの最適なギアを選択することができルシステムで、サスペンションとトランスミッションで快適な乗り心地を生み出しています。

サスペンションのスペシャリストたちは無段階可変式電子制御ショックアブソーバーと、セルフレベリング式大容量エア・ストラット・アセンブリーのさらなる改良を目指し、開発したのがアッパー・ウィッシュボーン・ダンパーで、これを市販車に採用するのはゴーストが初となります。

5リンク式リヤ・サスペンションもセルフレベリング式大容量エア・サスペンションを装備し、後輪操舵システムも採用しています。

ソフトウェアは、新型ゴーストのサスペンションの制御を行なうとともに、4輪駆動、4輪操舵、スタビリティコントロール、自己乾燥式(雨天でもブレーキパッドをドライ状態に維持)ブレーキの各システムを連携させ、路面状況やグリップレベルの変化に車両が一体となって対応することで優れた運動性能実現しています。

エフォートレス・ドア

初代グッドウッド・ファントムの登場以来、ロールス・ロイスはセルフ・クロージング・ドアを採用してきています。ダッシュボードと、リアドアのあるモデルではCピラーにも設置されたスイッチを操作すると自動で閉まるドアの機能は、これまで高く評価されてきています。

新型ゴーストは、このテクノロジーをさらに進化させ、今回初めて、ドアを開ける際にもパワーアシストされます。

ドアが十分に開き、ドアハンドルを放すと、ドアブレーキが作動します。車両から降りた後、外側のドアハンドルにあるボタンを押すだけで、自動的にドアが閉まります。車載の前後方向および横方向センサーと、各ドアに取り付けられた重力加速度センサーにより、坂道や傾斜のある場所に停車した場合でも、ドアは常に同じ速さで開閉することができます。

究極の静粛性能

ロールスロイスの音響エンジニアは、静粛性に関するエキスパートであり、新型ゴーストの開発にあたって、この専門知識を明確に定義づけ、スペシャリストたちが「静粛性の方程式」を作り上げ、将来の製品開発にも活かせるようにすることが決定されています。

方程式の1番目は、スペースフレーム・アーキテクチャーの特長です。このアルミニウム構造は、スチールに比べて高い音響インピーダンス特性を持っています。バルクヘッドとフロアセクションも二重構造になっているので、その間に複合素材製のダンピング・フェルトを挟み込んで、キャビンに侵入する走行音を低減させています。

このアーキテクチャーを構成する大きな構造部にも吸音材装備され、ドア、ルーフ、二層構造のウィンドウガラスに挟まれた中間層、タイヤ内部、その他に合計100kgを超える防音素材を使用しています。

新型ゴーストのほぼ無音に近い静粛性を実現するため、ドライブトレーンのハードウェアも、プロペラシャフトの直径を調整して剛性を高め、音響特製を改善するなども行なっています。

静粛性の方程式の最後の要素は、車両全体の調和です。サウンド・スペシャリストたちが完璧に無音のインテリア・スイートを試した結果、そのことがかえって落ち着かないということを理解しました。

そこで導き出された解決策が、わずかに音として感じられる柔らかな小声で話すときのような「ささやき」を作り出すことでした。これを実現するためには、各コンポーネントが共通の共鳴周波数になるように、サウンド・チューニングを施す必要があり、例えば初期のプロトタイプのシートフレームは、ボディと異なる周波数で共鳴していました。そこで、そのノイズを単一の音にまとめる制振ユニットを開発しています。

ロールス・ロイス ゴースト 諸元表

なお、新型ゴーストの価格、日本への導入時期は未定です。

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The Mortor Weekly

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