ルノールーテシアRSトロフィーを詳しく理解する

マニアック評価vol390

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ルノー ルーテシアのトップグレード「トロフィー」

◆グレードでキャラクターが異なるルーテシア
ルノーのBセグメントカー、ルーテシアのトップグレード「トロフィー」が国内デビューした。フランスでも2015年9月デビューなので、ほぼタイムラグのないデビューだ。ルーテシアはスタイルも個性的だが、グレードによる性格付けの違いも興味深い。というのは、エントリーモデルから徐々に上級グレードに行くに従い、スポーティ度が増していくグレード設定になっているからだ。

エントリーグレードは導入当初「アクティフ」というグレードがあったが、2015年現在「ゼン」がエントリーグレードになっている。ゼンは3気筒の0.9Lターボ+5MTという組み合わせでH4B型、通称TCe90と呼ばれるユニットを搭載。価格は208万円(税込み)からという、輸入車へのエントリーモデルでもあり、ブランドへのエントリーモデルでもある。詳細はこちらでレポートしている。
このグレードは、日常使いの足として、使い勝手がよく燃費がよくて・・・というBセグメント本来のモデルだ。

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また、ゼンには一つ上のインテンスと同じ1.2Lターボ搭載モデルもあり、これは0.9Lのゼンとの間に位置する。価格は221万1000円だ。そして、その上のクラスが「インテンス」でH5F型4気筒の1.2Lターボ+6速EDC(ゲトラグ製乾式デュアルクラッチ)を搭載し、インテンスの試乗レポートはこちらに記述している。こちらが244万8000円で、1.2Lのゼンと合わせてルーテシアの中心となるグレードだ。0.9Lのゼンよりも馬力、トルクが大きくなり、元気に走る。さらに、国産Bカーとは比較にならないレベルの高さだとレポートしている。

そして上級モデルに「GT」がある。こちらは搭載するエンジン、ミッションはインテンスと同じだが、サスペンションをルノースポールがチューニングしたモデルで、こちらで試乗レポートを書いている。価格は259万円。Bセグメントとしては、全部乗せといった印象の充実装備、性能というモデルだ。このグレードあたりからルノーのモータスポーツ部門の「ルノースポール」の手が入ったモデルになってくる。

ここまでがルーテシアの量販モデルという位置づけのモデルとなる。だが、さらに、ルーテシアには、この上のモデルが存在する。それが「ルノースポール」が造るルーテシアで、市販量販のルーテシアと同じボディを使った、チューニング・スポーツモデルだ。

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シャシーカップの国内導入がなくなった代わりに今回のトロフィーが加わった

それが「ルノースポール」と呼ばれるもので、その中でのグレードとしてシャシースポール、シャシーカップがあった。現在はシャシーカップの国内導入がなくなり、代わってトップグレードに今回のトロフィーが加わったということになる。

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シャシースポールの試乗レポートはこちらに書いているので、参照してほしい。また、価格は307万5000円となっている。ルノースポールでは搭載するパワーユニットが1.6Lターボ+6速EDCに換装している。ただし、サスペンションのチューニングを中心としたシャシーチューンがメインのルノースポールは、相当レベルが高くなっていることは言うまでもない。

◆ルノースポールトロフィーとは
ルーテシアトロフィーはシャシースポールと同じパワーユニットだが、馬力、トルクをアップ。そしてトップグレードに相応しいシャシーチューニングを行なっているモデルということになる。価格は329万5000円だ。

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ルノースポールの特徴のひとつとして、量販モデルと同じボディを補強なしに、競技車両まで造り上げていることだ。このことは、素材のレベルの高さを示すもので、ベースモデルがトップグレードで、そのボディを使って下のグレードを造っているのだから、エントリーモデルのレベルが高いことが、このことからも容易に想像つくだろう。逆に0.9Lターボのゼンの視点からすれば、トップモデルと同じクオリティのボディで造られており、メーカーのコスト管理の立場からすると過剰品質とも言えるわけだ。

話を戻すと、トロフィーのエンジンはターボ加給圧を0.9kg/cm2から1.0kg/cm2へアップすることで、シャシーカップのエンジンより+20psの220ps、トルクを+20Nmで260Nmへ出力アップしている。またレブリミットも6800rpmまで高められている。

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トロフィーのエンジンは、シャシーカップの+20psの220ps、トルクを+20Nmで260Nmへ出力アップしている

EDCは変速スピードをさらに上げている。ゲトラグ製乾式のDCTだが、シャシースポールでさえ、ポルシェPDKと同等の変速スピードだった。それを今回レースモードでは、そのシャシースポールの150msから120ms、スポーツモードで170msから150msへと速くなっている。ミリセカンドの単位なので、単発での違いは感じられないが、乗り比べると分かるレベルだと言う。ちなみに、ノーマルモードでスタート&ストップ機構が稼働するようになった。

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シャシーカップにも搭載しているローンチコントロールは、このトロフィーにも搭載され、ゼロヨンダッシュができる遊び心は残してある。スポーツモード、レースモードで稼働するがスポーツモードでは電子デバイスがすべて働くので、トラクションコントロールも働き、最速のロケットスタートが試せる。一方レースモードではすべての電子デバイスがOFFになるので、ホイールスピンをし、トルクステアも感じながら、そしてシフトアップもマニュアル操作しなければならない。今時ホイールスピンできるクルマはないので、こうした遊び心があるのは楽しい。

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ペダルレイアウトはGood!右ハンドルだが、オフセットしておらずドラポジが素直

シャシーのチューンではステアリングギヤ比が変更され14.5:1から13.2:1へとクイックになっている。サスペンションでは車高が少し下がり、フロントが-20㎜、リヤが-10㎜シャシーカップより低くなっているものの全高は公差レベルで変更ナシだ。ホイールは18インチの専用デザインアロイホイールを装備し、タイヤはミシュランパイロットスーパースポーツで205/40R18サイズを前後に装着する。

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ホイールは18インチの専用デザイン、タイヤは205/40R18のミシュランパイロットスーパースポーツを履く

トロフィーの注目はダンパーだ。HCC(ハイドリックコンプレッションコントロール)と呼ばれるダンパーで、シャシースポール試乗の時にレポートしているダンパーと同じもので、トロフィー用に減衰調整したものが装着されている。こちらはルノーのラリー車など競技車両のダンパーまで製造するサプライヤーでトルコにあるMaysan Mando社製となる。

特徴としてはタイヤのグリップが一瞬失うような凸凹の時、一般的にはバンプラバーにあたってしまい、タイヤの設置荷重が下がるような入力のとき、それを防ぐためにダンパー内に設けた3.5cmの小さな減衰機構により、ダンパー内のコンプレッション、オイル流量をコントロールし、接地荷重が抜けないようにしているダンパーだという。フィーリングとしては、よく伸びるサスペンションで凸凹を舐めるよう乗り越えるイメージだ。

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そのダンパーを装備するトロフィーなのだが試乗してみると同じダンパーとは思えないほど、真逆のセッティングで、ここまで性格の異なるモデルに仕上げていることに驚くばかりだった。いわば、がっちりとした硬めのセッティングという表現になるのだ。

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この続きはインプレッション記事を参考にしてほしい。

なお、詳細は以下の通り。
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