ルノーキャプチャー試乗記 FF1.3Lターボ+7速EDC(DCT)

2020年欧州27カ国でSUV販売台数NO1を記録しているルノー新型キャプチャーが、2021年2月に国内導入が発表され、その新型ルノーキャプチャーに試乗する機会を得た。

サイズアップしたボディ

先代のルノーキャプチャーも欧州では人気で、2013年BセグメントSUVで日産ジュークについで2番目のヒットを記録している。ご存知のようにBのセグメントのSUVクロスオーバーカテゴリーは激戦区マーケットへと成長し、各社力の入ったモデルが投入されている。例えば、プジョー2008、ポロクロスオーバーがあり、国産ではヴェゼルや、ヤリスクロス、CX-3などがある。

新型ルノーキャプチャーのインテンステックパックグレードを試乗

試乗したモデルはインテンス・テックパックグレードで319万円(税込)。インテンスグレードは299万円で、この2タイプをラインアップしている。

ボディサイズは先代がBセグメントサイズ一杯の大きさだったが、さらにサイズアップし、Bプラスまで大きくなった。全長4230mm、全幅1795mm、全高1590mm、ホイールベースも伸びて2640mmとなった。採用したプラットフォームはCMF-Bでルノー・日産・三菱アライアンスで新設計されたモジュールプラットフォームだ。ハッチバックのルーテシア、2020年、年末に発売した新型ノートとも共通のプラットフォームである。

このサイズアップと車高の高いSUVという要素からか、気になったことがあった。それは乗降時にスカッフプレートあるいはサイドシルにふくらはぎが触れるのだ。筆者180cmの身長でもそうなのだから、多くの人が乗降時にズボンを汚すことになる。意識して触れないようにしなければならない。これは前席だけでなく、後席でも同様だ。ルーテシアやノートではそうしたことはなかったので、車高が関係しているのだろう。

新型パワーユニットを搭載

搭載するエンジンも先代から変更され、直列4気筒1.3Lターボとなり、ミッションも7速DCTである7EDCを搭載した。出力は154ps/270Nmでクラスを超えるパワフルなユニットを搭載した。さらにミッションも湿式タイプとすることでATなみに変速の滑らかさを追求している。

これは試乗してすぐに感じることができ、非常に滑らかで変速したことを感じないほどスムース。ドライブモードでスポーツを選択しなければ回転計が表示されないので、なおさら認識しにくいほど滑らかだ。しかしながら、少し残念に感じたことがある。それは発進時に少しギクシャクすることが何度かあったこと。

4気筒1.3Lターボに7速DCTを搭載

アイドルストップした状態から発進しようと少しアクセルを踏むと、クラッチがダン!とつながって飛び出すような走り出しになることがたまにある。これがどういった条件になるとそうした繋がり方になるのか、いろいろ試してみてはものの、掴みきれなかった。殆どのケースでスムースに発進はできるのだが稀に起きる。

スポーツモードではレスポンス良く、ワインディングを気持ちよく攻めて走ることができる。パドルシフトを装備し、左右同時に握るとマニュアルモードに切り替わる。DCTならではなのタイムラグのないダイレクトなシフトチェンジと1800rpmから最大トルクを発揮するエンジンに不満はない。さらにセグメントを超える出力も申し分ない。

ルノーらしいハンドリング

サスペンションはしっかりとした印象で、直進の座り、安定感が強く、コーナーでの回頭性も高い。そしてどこまでもニュートラルと感じられるステア特性はコーナリング速度をどんどん上げていく。SUVのため車高や目線の高さもあり、ややロールを感じるものの踏ん張る感触が伝わってくるため、安心してアクセルを踏み込める楽しさがある。

一方、ゆったりと走行するシーンではアクセル、ブレーキペダルの高さ、配置に課題があると感じた。それはわずかにアクセルを踏んでの走行が日常であり、ワインディング走行はレアケースだ。そうした日常使いで長時間走行していると、右足のスネの筋肉が疲れてくるのだ。

ペダルの高さなのか、レイアウトなのかはっきりつかめないものの、信号で止まったときは思わずパーキングにシフトしてペダルから開放したい気分になった。

クラスを超える装備

ボディサイズが大きくなったメリットにキャビンの広さがある。クラスを超える広さがあり、特に後席の広さはセグメントトップクラスでCセグメントと比較したくなるほどだ。また荷室の広さも嬉しい。特に深さを稼いだ設計になっているためボードを使って2重構造に使えるフレキシブルさもあり、使い勝手は良さそうだ。スーツケースも余裕で搭載できる大きさを持っていた。

スマートキーもクラスを超えているのだ。それはキーを持ってクルマから離れると自動でドアロックされ、かつドアミラーも自動で格納する。そして、クルマに近づけば自動でドアロックが解除され、高級車向けの装備を持っている。

細かいところではステアリングのアジャスト機能としてチルトステアリングとテレスコピックを搭載していることもハンドリングにこだわりのあるルノーらしさだと感じた。

中央グリーン表示の中に「2.3s」と車間距離を表示

メーターパネル内に表示される情報に、先行車との車間距離を表示する機能がユニークだ。それは時間で表示される。世界的には安全な車間距離は2秒だという指針があり、車速を感知しながら先行車と2秒の距離が開くとグリーン表示され、2.0秒を切る車間距離になるとイエロー表示される。そして1秒を切る車間になるとレッドに変わり注意を促す。

先進の安全運転支援技術もクラス超える装備を持っている。「ルノーイージードライブ」は高速道路で、センタリングアシストし、渋滞時のストップ&ゴーが可能。停止から3秒以内であれば操作不要になっていて、実用性が高い。もちろん前走車を追従するACCを装備し0-170km/hの範囲で対応するので、国内無敵だ。

ちなみに試乗は約250kmの距離を高速道路、ワインディング、市街地をほぼ同じような割合で走行したが、実燃費は16.7km/Lだった。特に燃費走行を意識したわけでなく、ワインディングではスポーツモードで高回転まで回している。市街地では渋滞はなかったものの、流れに乗った走行をした条件での数値としては十分納得できるデータではないだろうか。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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