プジョーのCセグメントSUV 3008に試乗した。2017年4月10日に国内デビューをしたが、先行する欧州では2016年度の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した注目のモデルでもある。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
プジョージャポンでは、SUV元年という位置づけにしている新型3008のデビューだが、プジョーのSUVは、先行して発売されている2008と2017年9月に発売される5008の3モデルの展開を予定している。今回試乗したモデルは1.6Lガソリンターボを搭載する「3008GT Lineデビューエディション」で試乗時では180台限定のモデルで価格は400万円のモデルだった。が、2017年6月1日からGT Lineもカタログモデルとしてラインアップすることが決定し、価格は396万円の設定になっている。ちなみに搭載するエンジンは、試乗車と同様の1.6Lガソリンターボだ。
■モデルラインアップ
エントリーグレードは3008アリュールで354万円。トップグレードは3008GT BlueHDiで2.0Lディーゼルターボを搭載するモデル。価格は426万円だが、ディーゼルに関しては導入が少し遅れて8月を予定している。
ボディサイズは全長4450mm、全幅1840mm、全高1630mmホイールベース2675mmというサイズのSUV。駆動方式はすべてFFとなっている。また、トランスミッションはアイシンAW製の6速ATを搭載している。
■ディテール
ガソリンエンジンはPSAとBMWとの共同開発された1.6Lエンジンで出力は165ps/240Nm。1400rpm-3500rpmで最大トルクを発揮するダウンサイジングコンセプトらしく低回転域で使いやすいエンジンだ。JC08モードは14.5km/Lとなっているが、プジョー・シトロエンジャポンの社内テストでは高速道路で18~19km/Lの実用燃費を計測できているという。
また、2.0Lディーゼルターボは尿素SCRを使用するタイプで、180ps/400Nmの高出力を持っている。もちろん100%エコカー減税の対象だ。また、JC08モード燃費では18.7km/Lとなっているが、同様に社内テストでは25km/L以上の実用燃費だという。
現状の国内販売ではクリーンディーゼルの人気が高く、全体の8割程度がディーゼルを選択しているということだが、モデルの供給不足もあるので、供給が間に合うとバランスも変わってくると説明していた。
新型3008のエクステリアデザインはSUVらしいルックスでまとまっている。フロントのラジエターグリルがチェッカーフラッグを模したデザインも新鮮で、またLEDのヘッドライトも、シャークフィンをモチーフにしているということで精悍な印象もある。ボディサイドはプランス車らしく曲線をセンス良く使い、ボリューム感と高級感のあるデザインにまとめている。リヤビューではテールレンズの3本線が印象的だ。こちらはライオンの爪痕をイメージしているプジョーのアイデンティティでもある。
インテリアは、なんといってもi-Cocpitの採用だ。小径ハンドル、ヘッドアップインスツルメントパネル、大型タッチスクリーンの3点で構成されるインテリアは、センス良くまとめられている。
■インテリアのハイセンス
インテリア全体をブラック系のカラーでまとめ、スポーティさと高級感を感じさせる。また、ダッシュボードやセンターコンソールなどの造形も凝ったデザインで、シンプルで直線的な内装を持つ高級ブランドとは一線を画すセンスを感じさせる。
また、素材にも凝っていて樹脂、クロス、合皮レザー、ピアノブラック、鈍色のシルバーなど部位による使い分けが上手で、高級素材ではないものの、高級なインテリアとして印象づけられるセンスはさすがプジョーらしいと感心する。また、シートはGT Lineということもあり、サイドサポート性が高いスポーティなシートが装備されていた。
しかしながら、ペダル配置のオフセットやキャビンフォワードの影響でのペダルポジションには、多少の違和感はあった。また、シートポジションはアップライトでフロントウインドウの視界はスッキリしている。ワイパーブレードやルームミラーなどの視界を邪魔するものがなく、視界確保への配慮を感じる。
小径ハンドルは、見た目は違和感やスポーティさとして目に映るが、運転してみるとその違和感は全くない。今回のモデルには新デザインが採用され、上下がフラットになったデザインでさらにイナーシャを予感させる形状なのだが、転舵してもまったく不自然さがない、というのもプジョーならではなのだろう。
デジタルのメーターパネルはデザイン変更ができ、またタコメーターの逆方向からの回転表示も継承されたユニークデザインだ。ナビ機能を備えた大型のタッチスクリーンは直感的に操作できるが、左手の操作のため優れた操作性とは言いにくい。利き手が左であれば使いやすいであろうが。また、タッチパネルは操作がシンプルではあるが、階層が深くなる問題もあり、パネル下にはトグルスイッチでよく使う項目がショートカットできるようになっているアイディが採用されいてる。
■新機能の走破性
新型3008のプラットフォームはPSAグループのEMP2という新世代モジュラープラットフォームで、先代と比較して全長+85mm、全幅+5mm、全高-5mmというサイズでも約100kgの軽量を達成しているプラットフォームだ。また、車両全体ではフロントフェンダー、フロントサスペンションアーム、リヤシートフレームなどがアルミ材を採用し、高剛性と軽量化を達成している。
従来からの機能としてスノー、マッド、サンド、ノーマル、ESCオフという機能は引き続き搭載しているが、さらに、新機能としてヒルディセントコントロールが搭載追加された。名称も「アドバンスト・グリップ・コントロール」に改められている。(GT、GT Lineに装備)
ヒルディセントコントロールは5%の勾配で使用可能となり、スイッチを押した場合、AT車では自動で5km/h未満に制御され、ブレーキコントロールをすることなく、安全に下ることができる。
■試乗レポート
今回の試乗コースにはキャンプ場内での悪路走行も可能だった。FFモデルでありながら悪路走破力を試す会場を用意した理由には、こうした機能をテストする目的もあったわけだ。走行時はマッドモードを選択し、グリップの取れないような悪路になっても、スタックすることなく走行できる。それは、ブレーキのコントロールにより、タイヤのリフトや滑りを感知すると、ブレーキをつまみ仮想のデフロックと同じような効果を作ることができるため、接地しているタイヤの最大限のグリップを得ることができるからだ。
そしてヒルディセントコントロールも試すが、もちろん、安心して勾配を下っていく。試乗車の装着タイヤはコンチネンタルのクロスコンタクトで225/55-18インチサイズを装着していた。
舗装路での試乗はワインディングメインでの試乗となった。勾配のない、谷合いを走るような場所で、快適に走行できる。片側1車線の国道で一般的な道路。シフトバイワイヤーとなった6速ATはストレスなく変速し快適。パドルシフトもコラムシャフトに固定式のタイプが装備されていた。
また、ドライブモードでスポーツを選択するとステアリングレスポンス、シフトタイミング、アクセルレスポンスがスポ―ティに変化し、シートポジションが高いにもかかわらず、乗用車との差を感じさせない走りも楽しめる。
車内は全体的に遮音性が高く、また、乗り心地もしっとりとした高級感のある乗り心地だ。プジョーは数年前からひとクラス上にポジションニングを移行しており、プレミアムモデルと量販大衆モデルの中間に位置しているのかもしれない。と言うのはPSAグループにはプレミアムモデルとしてDSブランドがあり、プジョーを高級ブランドとしてしまうと、ポジショニングのダブりになってしまうからだ。
しかしながら乗り心地に関しては、プレミアムモデルと言っても差し支えのないレベルだと感じる。あとはインテリアなどで高級なレザーを使うとか、装備を高級にするなどでプレミアムモデルの領域に入るのではないかという印象だった。