2014年5月29日、メルセデス・ベンツ日本は、FF駆動のAシリーズベースのCセグメントSUV「GLA」クラスを発表し、同日から発売した。限定モデルの「GLA 250 4MATIC Off-Road」、「GLA 45 AMG 4MATIC」のデリバリーは今秋になる。
GLAクラスは「X156」型と呼称される。2013年4月の上海モーターショーで「コンセプトGLA」としてベールを脱ぎ、市販モデルは2013年秋のフランクフルトモーターショーでワールドプレミアされた。
GLAクラスはCセグメントの都市型SUVで、アウディQ3、BMW X1のライバルという位置付けであり、最後発モデルとなる。メルセデスのラインアップでは、本格的なヘビーデューティ4WDのGクラス、Eクラス相当のクロスオーバーMクラス、フルサイズ・クロスオーバーのGLクラス、ミドルクラス・クロスオーバーのGLKに続く5番目の、最もコンパクトなSUVモデルだ。
ベースとなるのはAクラス(W176)などと共通のFF/横置きエンジン用プラットフォームで、このシリーズはハッチバック、セダン、SUVと超ワイドレンジのフルラインアップ体制として展開される。しかし、クロスオーバー、SUVは現在の世界のマーケットでは中国など新興国はもちろん、ヨーロッパ、アメリカなど広いマーケットで最も成長が見込めるカテゴリーであり、メルセデス・ベンツにとってもきわめて重要なモデルと位置付けられる。
メイン車種となるGLA 180はFF駆動でクロスオーバーの性格が与えられており、最低地上高はSUVと言えるほど高くない。4輪駆動の「4MATIC」システムはGLA 250以上のグレードに設定されている。「4MATIC」は可変トルク配分式の4WDシステムで、通常は100%FF駆動で走行し、状況に応じて効率的に後輪にトルクを伝達するシステムで、ドライ路面のコーナリング時にも走行状況に合わせて後輪にトルク配分を行なうようになっている。
また4MATICモデルは、急勾配の下り坂ではアクセルとブレーキを自動制御して車速を自動調整するDSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)や、ステアリング舵角、登坂角、車両傾斜角、方角をコマンドディスプレイに表示し、車両状況が一目でわかる遊び心のある「オフロードスクリーン」を装備している。
ただし、4MATICモデルも最低地上高は150mmで、オンロード重視の設定。一方で、より本格SUV指向の場合は、さらに最低地上高を30mm高め、スプリングをソフトな設定にしてオフロード走行性能と快適性を向上させる「オフロードコンフォートサスペンション」をGLA 180 Off-Road、GLA 250 4MATIC Off-Roadに設定している。逆にGLA 250 4MATICスポーツは標準モデルより10mmローダウンした、完全なオンロードモデルとされている。
GLAクラスのエクステリアは、SUVテイストを採り入れながらも、ダイナミック、アグレッシブでクーペを思わせるデザインになっている。ボディ全周に回されるダークグレーのクラッディングパーツやアンダーガードがSUVらしさを訴えている。またこのボディは、Cd=0.29とセグメントトップとなる空力性能を備えていることも特徴だ。インテリアのデザインは、これまでのA/Bクラスと共通したデザインとしている。
ドライバー支援システムは、約7~30km/hの範囲で作動する追突回避・被害軽減を行なう「CPAプラス」、ドライバーの疲労を警告する「アテンションアシスト」を全車標準装備とし、全車速追従式レーダークルーズコントロール「「ディストロニック・プラス」、「ブラインドスポットアシスト」が「レーダーセーフティパッケージ」としてオプション設定(GLA 45 AMG 4MATICは標準装備)されている。
グレードはGLA 180、GLA 250 4MATIC、GLA 45 AMG 4MATICで、サスペンションは標準、スポーツ、オフロードの3種類が設定されている。
パワーユニットは、「GLA180」は1.6L直噴ターボ(122ps/200Nm)、「GLA250 4MATIC」は2.0L直噴ターボ(211ps/350Nm)を搭載。いずれもスタート&ストップを備えている。ハイパフォーマンスモデルの「GLA 45 AMG 4MATIC」は、最高出力360ps、 最大トルク450Nmを発生するAMG 2.0L・直4直噴ターボエンジンを搭載する。トランスミッションは全モデルが7速DCTを装備している。
なお新登場したGLAクラスの発売に合わせ、専用にアップグレードしたエクステリア、インテリアを備えた300台限定の特別仕様車「「GLA 250 4MATIC Edition 1」、600台限定の「GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1」も発売する。
■「GLA 250 4MATIC Edition 1」(限定・特別仕様車)
「GLA 250 4MATIC Edition 1」は、「GLA 250 4MATIC」をベースに、ブラックペイント19インチAMG 5スポークアルミホイール、 クローム付ハイグロスブラックフロントグリルを採用。ドアミラーとウインドウライントリムもブラックで仕上げることで、エクステリアを精悍に演出する。インテリアは、ナッツブラウンの本革とベージュのファブリックを組み合わせ、しかもメモリー付フルパワー電動シート(前席)や電動ランバーサポート(前席)を備えた本特別仕様車専用のシート、ダッシュボードやドアパネルにもナッツブラウンのレザーARTICOを採用。さらに通常はオプションの「レーダーセーフティパッケージ」を装備している。
■「GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1」(限定・特別仕様車)
「GLA 45 AMG 4MATIC Edition 1」は、「GLA 45 AMG 4MATIC」をベースに、専用エアロパーツ(フリック、リヤスポイラー)と専用サイドデカールを特別装備。またマットブラックペイント20インチAMG10スポークアルミホイールを採用している。インテリアは、コーナリング時にサポート性に優れたAMGパフォーマンス シート、グリップ部にアルカンターラを使用したAMGパフォーマンスステアリングを備える。