メルセデス・ベンツ日本は2024年1月12日、メルセデス・ベンツの中核となるEセグメントのエグゼクティブ向けモデル「Eクラス」がモデルチェンジし、6代目(W214)となる新型Eクラス(セダン/ステーションワゴン)を発表し、予約受注を開始した。なおデリバリーは2月頃が予定されている。
【試乗記】メルセデスベンツEクラス 時代の先端を走る伝統のセダン
このW214型Eクラスは2024年型モデルとされ、本国では2023年4月に発表され、5月から生産が始められており、ヨーロッパでは夏頃からセダンの販売が開始されている。また例によって中国では北京工場でロングホイールベース仕様の生産を始めている。
新型Eクラスは、Sクラス、Cクラスと共通の後輪駆動用のMRA2(モジュラー・リヤ・アーキテクチャー)プラットフォームを採用し、従来モデルに比べホイールベースやボディサイズはわずかに大きくなり、全長4949mm、全幅1880mm、全高1480mm、ホイールベースー2960mmとなっている。
新型Eクラスは、パワートレインを全てのモデルがPHEVと48Vマイルドハイブリッドという電動化を実現し、ナッパレザーで仕立てた高級感のある内装をオプション設定した。同じくオプションでインスツルメントパネルのセンターディスプレイと助手席ディスプレイを一体型にしたMBUXスーパースクリーンを設定している。またサードパーティ製のアプリケーションも使うことができる最新世代のMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)など、機能性と快適性を大きく向上させている。
■パワートレイン
E350eは電気モーターの最高出力が129ps/400Nmで、EV走行換算距離(WLTCモード)112kmを実現しており、多くのシーンで電気のみで走行できるため、内燃エンジンをまったく使わないケースも増大している。システム出力は、最大230kW/312ps。
電気モーターのトルクは回転開始時から最大値を発生し、モーター走行での最高速度は140km/h。回生ブレーキ機能は油圧ブレーキとの連係に改良され、回生ブレーキで得られる電力が最高100kWに向上。D Auto モードでは、システムが交通状況に応じて回生電力のレベルが自動で選択されるようになっている。
また、油圧ブレーキは、電動機械式のブレーキブースターが採用されており、電力回生と油圧ブレーキをきわめて高い効率で組み合わせ高次元のシステムとなっている。
PHEV用のバッテリーはパウチ式セルを採用し、容量は25.4kWhで、バッテリー冷却システムを内蔵しており、寒冷地や酷暑地でも安定して作動し、さらに高出力直流の急速充電にも対応している。もちろんCHAdeMO急速充電にも適合している。
E200はエンジン単体で204ps(150kW)/320Nmを発生する新型の2.0L直列4気筒ターボエンジン「M254」を搭載。
E220dは、197ps(145kW)/440Nmを発生する、2.0Lのクリーンディーゼル直列4気筒ターボエンジン「OM654M」を搭載している。
両エンジンとも、エンジンとトランスミッションの間に配置される48V電気モーターのISGによって、短時間、最大で23ps(17kW)、205Nmのブーストが可能。
なおトランスミッションは全モデルとも9GトロニックATを組み合わせている。
■シャシー
フロントに4アームのマルチリンクサスペンションを採用し、リヤは5リンクが採用され、マイルドハイブリッドに標準装備されるアジリティコントロール・サスペンションと調整可能なダンパーを備えている。
E350eは連続可変ダンピングシステムADS+とエアサスペンションを組み合わせたAIRMATICをオプション設定。また同じくオプションでリヤアクスルステアリングも設定されている。またこのPHEV車の最低地上高は15mm低められている。
■MBUX
MBUXは最新の第3世代となり、サードパーティ製のアプリが利用できるように進化しており、オプションの車内ビデオを装備すればZOOMによるビデオ会議に参加することも可能だ。また、全モデルにオプション設定の「3Dコックピットディスプレイ」は、内蔵されるドライバー側を向いた2つのカメラにより、特殊なメガネを使用せずにドライバーが3D映像を見ることができる。
また音声アシスタントは、従来のような起動ワードを発声せず、ボタンスイッチで起動できるようになっている。
E350eにオプション設定のMBUXインテリア・アシスタントは、ルーフライニング内蔵の赤外線カメラにより、さまざまな室内機能をジェスチャーでコントロールでき、状況に応じたドライバー支援を実現する。
■デザイン
エクステリアは、短いフロントオーバーハングと長いボンネット、そしてキャビン位置を大きく後退させロングノーズ/バックワード・キャビンというFR駆動の伝統的なフォルムになっている。ホイールベースが先代モデルより20mm延長されたことでリヤ席のゆとりも拡大された。
ボンネットにはアクセントとしてパワードームが設けられているほか、流れるようなCピラーによりクーペ的なフォルムになっている。
フロントのヘッドライトとフロントグリルをつなぐブラックパネルに似た部分は、ハイグロスブラック仕上げで、メルセデスのEVに似たデザインだ。3Dデザインのフロントグリルは、中央のスリーポインテッドスターがグリルに一体化され、シングルルーバーや周囲を縁取るクロームサラウンドなどが特徴的なデザインとなっている。
そしてイルミネーテッド・ラジエーターグリルをE350eにオプション設定。これにより夜間や夕暮れなどでラジエーターグリルが白く光る。
なお、新型Eクラスは、日本初の機能として「路面描画機能による車線逸脱警告」が備わっている。これは、夜間走行時に車線を逸脱しそうになった場合に、ヘッドライトが車両前方の路面に絵(矢印)を投射することでドライバーに警告をするものだ。
ボディサイドでは、ラグジュアリーモデルに採用されている格納型のドアハンドルを採用。キーを持ってが近づくと、自動でせり出す。万が一の事故の場合などには自動でせり出し、従来どおり、強い力で外部から引っ張り、ドアを開けることもできる安全性も備えている。
インテリアは、大きなトリムパネルがダッシュボード中央まで伸び、外観上独立しているセンターディスプレイは、このトリムのくぼんだ表面上に浮かんでいるように見える。全モデルにオプション設定の「MBUX スーパースクリーン」(助手席一体型ディスプレイ)を搭載している場合、大型ガラス面がセンターから助手席まで広がるデザインとなる。
E200、E220dに標準設定のレザーARTICO仕様では、シートは各パネルに精緻な縦方向のうねを形作る仕上げとなっている。レザーエクスクルーシブパッケージ選択時のナッパレザーシートは、キルティングとパーフォレーションを施したシートの形をなぞるダイヤモンドステッチとなり室内の高級感を高めている。