メルセデス・ベンツCLE200カブリオレ スポーツに試乗してきた。CLEは最初クーペモデル(236型)がドイツで2023年7月に発表され、翌年の4月に日本でも発売が開始された。さらに6月にはそのCLEクーペにAMG53 4MATICが追加され、ほぼ同時に今回試乗したカブリオレモデルが国内発売を開始した。
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CLEは以前のCクラスクーペ、Eクラスクーペを統合した形で誕生した新たらしい型で、今回のカブリオレはそのオープンモデルになる。2+2の4名乗車で後席は実用性のある広さをもったカブリオレだ。
ボディサイズは全長4850mm、全幅1860mm、全高1425mmで、ホイールベースは2865mmだから先代のEクラスとほぼ同じサイズだ。それに直列4気筒の2.0L直噴ターボガソリンエンジンを搭載し、プラスしてISGの電動化モデルでもある。48VのISGはトランスミッションとエンジンの間に設置され、エンジン始動や短時間の駆動ブースト機能を持っている。
スペックはエンジンが204ps(150kW)/320NmでISGが23ps(17kW)/205Nm。トランスミッションは9Gトロニックの9速ATを搭載している。意外なのはクーペモデルにはリヤ操舵機能が搭載されているが、このカブリオレには搭載していないのだ。ハイスピードでのスタビリティを追求するモデルではなく、あくまでもラグジュアリーを追求するモデルだからなのか?あるいは技術的要件で車重の問題などから搭載を不要と判定したのだろうか?
さて、CLE200カブリオレ スポーツはルーフがキャンバスになっていた。メルセデスにはバリオルーフというハードトップモデルもあるが、CLEにはキャンバスを採用している。キャンバスのほうが情緒的とよく言われるように、オープンモデルに乗っている感覚は強く意識できる。
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とはいえ、このCLEカブリオレのルーフを閉じた時の静粛性、遮音性はすこぶる高く、クーペに遜色ないと言うと言い過ぎだが、極めて高い遮音性を持っているのだ。その効果は高速走行でも十分に感じることができ、キャンバスであることのデメリットは感じない。
そして60km/hまでなら走行中でも開閉が可能で、操作は20秒。日本では高速道路以外のほとんどが60km/h以下の場所なので、いつでも止まることなく開閉ができるというわけだ。それもなんだか、寂しい気もするが。
高速走行ではエアキャップが有効だ。フロントウインドウ上部のウインドディフレクタとドラフトストップから構成されるエアキャップは空気の流れを上方に跳ね上げ、後方からの室内への風の巻き込みを防ぐため、空気の壁ができたようなイメージだ。したがって高速クルージングもオープンエアでラグジュアリーに愉しめるのだ。
ルーフを閉めて走行すると、滑るように走る滑らかさと静粛性があり、エレガントでラグジュアリーさを堪能する。エンジン音の室内への介入はなく、EVのごとく静かでアクセルを大きく踏み込んだ時にだけエンジン音が聞こえるといったレベルだ。そうなってくるとエンジンの魅力とは何か?という疑問も出てくる。レスポンスやトルクの立ち上がりといった点ではICEがモーターに勝る領域はないからだ。
その静かな車内をさらに引き立てているのが乗り心地だ。連続可変するセレクティブ・ダンピングシステムを標準装備し、ラグジュアリーな乗り心地をサポートする。
ちなみに、CLE200カブリオレ スポーツのエクステリアにはAMGライン・エクステリアが標準装備されており、見栄えは抜群。試乗車にはレザーエクスペリエンスパッケージのオプションも装備していたため、ブルメスターの3Dサラウンド・サウンドシステムが装着され、ヘッドレストに2つのスピーカーも配置。合計17個のスピーカーによりゴージャスなオーケストラとともにナイトクルーズを楽しみたくなるのだ。
そうしたオーナーの満足度を高める、あるいは所有欲やエクスクルーシブな特別感を作り出すパーソナライゼーションもある。個人のプロファイルを作成し、運転席の位置やミラーの位置、アンビエントライトのカラー設定、お気に入りのラジオ局などを記憶する。これらのパーソナルプロファイルへのアクセスは指紋による生体認証に対応しセキュリティも高めているのだ。
ちなみに、トランク容量は385Lでルーフを格納している状態で295Lのスペースを確保している。また後席は6:4の分割シートになっており、フットトランクオープナーも装備するなど実用面でも配慮がなされている。