5年ぶりにマイナーチェンジをしたAクラスに試乗することができた。現行型Aクラス(W177型)は2018年に4代目としてデビューしているが、幅広いユーザー層に支持されている人気のモデルだ。
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これまでのCクラスに代わるメルセデス・ベンツの代表的な人気モデルに成長したAクラスは、Cセグメントサイズながら、広い室内空間を持ち、全長4440mm、全幅1800mm、全高1420mm、ホイールベースは2730mmという立派なサイズがある。
さらに内外装ともにメルセデス・ベンツらしいクォリティと抜群の存在感があり、所有欲を刺激しているわけだ。その内外装を今回のマイナーチェンジで変更している。
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とくにフロントグリルはスターパターンがグリル内にデザインされ、スリーポインテッドスターから左右に伸びるバーでスリムにそして精悍な顔つきに変わっている。さらにヘッドライトデザインも変更され、フロントまわりの造形を一新している。
そのうえパワードームをボンネット上にデザインアクセントとして入れ、力強さも表現することで、セグメント以上の迫力と存在感を作り出している。
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そうした見た目の変更で、メルセデス・ベンツのエントリークラスという見え方は薄れ、Cクラスに代わる人気になったことにも頷ける。もちろん価格帯もかつてのCクラスとほぼ変わらない価格であり、逆にCクラスは1000万円に手が届きそうな価格帯へスライドしていることも要因なのは間違いない。
試乗車はAMGラインパッケージをオプション装備しているので、さらにカッコよく見える。車高も低く、18インチのタイヤ&ホイールにツインスポークデザインのホイールがよく似合っているのだ。
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搭載するパワートレインは1.4Lの4気筒ガソリンターボと2.0Lの4気筒ディーゼルターボの2タイプになった。試乗したのは2.0Lディーゼルモデルで「A200d」のハッチバック。ボディタイプはこのハッチバックとセダンの2タイプが用意されている。
ディーゼルエンジンはOM654q型で150ps/320Nmというスペック。これがもの凄く静かで滑らかなディーゼルなのだ。その秘密として、シリンダーブロックはアルミ製で、ピストンはスチール製。この膨張比率の違う素材のシリンダー壁にスチールカーボン材を溶射コーティングする「ナノスライド」を施し、摩擦低減になっているのだ。
もちろん、低燃費に貢献するのは言うまでもないが、静粛性は上がり走行中でもディーゼルであるとは気づかないレベルになっている。
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インテリアデザイン、装備にも変更があった。オプション装備だがレザーシートに目を引かれ、ツインスポーク調の新デザインのステアリングにも目がいく。ナビゲーションも最新世代へと置き換えられ、ゼロレイヤーという考え方のナビ画面には、通常階層に埋め込まれている情報もトップ画面に常時表示されている。
使用頻度の高い機能は常時表示という考え方はユーザビリティに優れ、音声対応のMBUXも装備されているとはいえ、現実には、画面タッチでの使い勝手も重要なのだ。さらにAR・現実拡張のナビでよりわかりやすくミスコースしにくい案内になった。
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安全装備や運転支援システムなども最新になったが、なかでも運転支援機能のハンズオフ機能が静電容量式センサーに変更された。そのためステアリング・トルクは不要になった。これは非常にありがたいと感じているユーザーも多いと思う。
直進性の高いAクラスは、高速道路ではほとんどステアリング操舵はしない。そのためトルク感応型だと、あえてステア操舵をしなければ、ハンドルを支持するアラートが出続けることになる。静電容量式センサーであればステアリングに軽く触れているだけで認識するので、アラートは出なくなる。だから、あの煩わしさから解放されるありがたい装備というわけだ。
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すべてを盛り込んだモデルで試乗車の本体価格は558万円。オプション込みで701万1500円。さらにハイパフォーマンスを望む人には4月27日にAMGモデルも発売になっているので、チェックしてみてはいかが。
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