2018年10月に国内発表されたメルセデス・ベンツ Aクラス(W177型)は2019年初頭からデリバリーが開始され、試乗できる機会が巡ってきた。メルセデス・ベンツ日本の話では、販売店で展示される新型Aクラスには、ドライバーとクルマ自然会話できるインターフェース、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)に関心を持った人々が多く集まったそうだ。そこで、その実力を試してみた。
MBUXの実力は?
自然対話ができる能力を持つというMBUXは、車載会話システムのパイオニアであるニュアンス・コミュニケーションズのドラゴンドライブという会話エンジンを使用している。車載の専用ECUと常時インターネット接続により会話AIサーバーを併用しながら乗員と対話ができ、自然会話はもちろん、推論も行なう能力、学習能力も持っているというかなり高度なレベルに達している。
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だから、少なくとも英語、ドイツ語では雑談に近いレベルまで対応できるというから、ある意味ですごい。しかし、やはり日本語は日本国内で語彙や文法をインストールしているため、まだ語彙の不足や言い回し、表現などが十分ではなく、クルマと雑談もできるというレベルには達していない。
ウェークアップワードは「ハイ!メルセデス」で、この呼びかけで会話システムが自動的に起動する。「暑い」や「寒い」といえば、エアコンの温度を調整してくれるし、23度にして、といえば人工的な女性の声で応答し、自動的に設定できる。
サーバーに接続されているおかげで、今日の天気や、走行中の地域のレストラン、ガソリンスタンドやコンビニなども、乗員のリクエストの呼びかけに応じてディスプレイにリスト表示される。しかし、「和食で手頃な価格で・・・」といった条件をつけるとMBUXは無言になり、通常のレストランの一覧を表示するだけ、あるいはもっと自然会話的に呼びかけると全く反応しなくなる。
SiriやAlexa、OK Googleのようにはいかない?
つまり、「OK Google」や「Siri」に比べ、日本語の単語、文法、言い回しなどには不慣れで、限定した単語、会話文にしか反応できず、過度な期待は裏切られることになる。こうした日本語に不慣れな点は、多くのユーザーが使い込むことでシステムが学習し、より精度が上がっていくということなのだ。
現状では、少なくとも走行中でもナビの目的地や経由地を会話だけで設定できる点はメリットだ。またジェスチャーコントロールや、コマンド・ボタンで手動設定するより遥かに便利で、音声、会話によるコントロールな将来性があるインターフェースといえる。
また、このAクラスは4G、3Gでのインターネット常時接続となっているが、ルーター機能を持たないため、スマートフォンはBluetoothかケーブルで接続して、アプリ機能を活かすこともできる。またスマートフォンの置くだけ充電には対応している。
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オプション設定のレーダーセーフティパッケージは、実際にはSクラスと同等の最新の機能を持っており、使い勝手も個々の機能も秀逸だ。新型Aクラスを購入するとすればこれははずせない装備といえるだろう。
新型Aクラスは、今後のクルマのあり方を提示し、広い意味でCセグメントハッチバックのリーダーになるという狙いがはっきりしているという点で、画期的なクルマといえるかもしれない。