雑誌に載らない話vol201
2017年9月14日、アメリカのカリフォルニア州・サンノゼに所在するヴェロダイン・ライダー社は、メルセデス・ベンツの完全自動運転の無人自動車を開発するために、「VLP-32Cウルトラパック・センサー」の供給契約を結んだと発表した。
ヴェロダイン・ライダー社は、1983年にシリコンバレーで設立され、リアルタイムLiDAR(レーザー光による物体検知スキャナー)センサーによって世界的に知られている企業だ。設立者であり発明家のデビッド・ホール氏が、2005年にHDL-64ソリッドステートハイブリッドLiDARセンサーを開発後、3Dリアルタイム認知システムを開発・製造・供給するリーダーと認知されている。
そのシステムは自律走行車、車両安全システム、3Dモバイルマッピング、3D航空マッピング、セキュリティなどさまざまな分野で使用されている。ヴェロダイン・ライダー社の小型・軽量のHDL-32Eセンサーは、無人航空機(UAV)などにも使用されている。
ーーベロダイン・ライダーのデビッド・ホール最高経営責任者(CEO)
「メルセデス・ベンツの完全自動化された無人自動車に搭載されるセンサーに、当社のLiDAR技術が含まれることを喜んでいます。この分野におけるベロダインのリーダーシップを一層明確にし、将来の自律走行車が可能な限り安全で効率的であることを保証できるからです。メルセデス・ベンツは、卓越した性能と設計品質の代名詞です。このようなエキサイティングなプログラムに貢献できる機会を歓迎します」と語っている。
メルセデス・ベンツの北米研究開発部門自律走行担当バイスプレジデントのアクセル・ガーン氏は、「センサーは自律走行車の目と耳の役割を果たすため、この分野での革新の原動力となっているのは間違いありません。自動運転車は、遠方にある明度の低い物体を含め、周囲の状況を3Dで把握する必要があります。当社は、ベロダインがLiDARセンサーの市場リーダーであると評価しており、完全な自律走行車が公道で走れるようにする上で助けとなると考えています」と語る。
メルセデス・ベンツの都市部の市街地での無人自動走行は「アーバン・オートメイテッド・ドライビング」というプロジェクト名で、試験走行が開始されている。無人自動運転を実現するために、レーダーやカメラなど複数のセンサーをインテリジェントに統合したシステムを開発しており、これにベロダイン・ライダーのセンサーが含まれるようになった。この「センサー・フュージョン」により、各種センサーのデータを組み合わせて状況分析を継続的に行ないながら走行する。
レベル3以上の自動運転を行なうためには、周囲の地形や物体を正確に把握するためにレーザー式ライダーが必要と考えられている。そのため以前にアメリカで開催された無人自動運転車のコンテストでは全車がライダーを装備しており、それ以後の自動車メーカーの自動運転試作車はすべてライダーを装備している。
また量産車として初のレベル3自動運転を目指す新型アウディA8はフランスのヴァレオ社のライダーを装備するなど、レーダーやカメラを超える性能を持つライダーは次世代のセンサーとして注目されている。