2017年7月24日、ボッシュとダイムラーは実生活の環境、シュトゥットガルト市にあるメルセデス・ベンツ博物館の駐車場で自動バレットパーキングを実施した。このシステムは、ドライバーは車両の動きを監視していなくても、スマートフォンから駐車の指示を出すだけで、所定の駐車スペースに車両を自動的に駐車することができるというものだ。
この無人の自動バレット(駐車場)パーキングは、自動運転につながる重要なマイルストーンとなる。今回メルセデス・ベンツ博物館の駐車場で行なわれたパイロット版のデモンストレーションは、ドライバーによるハンドル操作が不要で、実生活環境下におけるインフラベースの自動バレットパーキングとしては、世界初のソリューションだ。この博物館の自動バレットパーキングは、2018年初めから一般でも使用が可能になる。
ーーメルセデス・ベンツで自動運転とアクティブセーフティの開発を担うミカエル・ハフナー氏
「自動運転での両社の協力により、ボッシュとダイムラーは自動運転を他社よりも早く実現できる見込みです。今回博物館で紹介した無人自動のパーキングは、この技術がどれだけ先に進んでいるかを示すことができたと思います」と語る。
ーーボッシュのシャシーシステム コントロール事業部長を務めるゲルハルト・シュタイガー氏も
「スマートな駐車場インフラとクルマのネットワーク化を活用することで、予測されていたよりも早いスピードで無人パーキングを実現できるでしょう」と述べている。
今回デモンストレーションされたシステムは、誰にでもスマートフォンのアプリ経由で車両が簡単に予約でき、車両が自動的に「乗車エリア」までやって来る。車両の返却も同じく簡単で、駐車場の「降車エリア」で車両から離れ、スマートフォンアプリを使って返却の操作をするだけだ。駐車場のインテリジェントなシステムにより車両を認識すると車両が始動し、所定のスペースに自分で戻って行く。
この無人自動パーキングは、ボッシュが提供するインテリジェントな駐車場用のインフラとメルセデス・ベンツが持つ車両側の技術によって実現している。駐車場に設置されたセンサーが、車両が進む経路と周囲をモニターし、車両を進むべき方向へとガイドする。
駐車場インフラから発信されるコマンドを車両側が受信すると、車両はそのコマンドを安全に運転操作に変換し、必要に応じて適時に車両を停止させる。駐車場インフラのセンサーと通信技術はボッシュが提供し、ダイムラーは自社が所有する博物館の駐車場とパイロット車両を提供ている。
今後はボッシュとともに駐車場インフラと車両のインターフェースを定め、車両のセンサー技術とソフトウェアの仕様を必要に応じて調整していく予定だという。
今回の発表の後には、このプロジェクトは集中的なテストを行なってスタートアップ段階に進む予定だ。このプロジェクトは、当初からシュトゥットガルト市の行政当局とバーデン・ヴュルテンベルク州交通省の監督を受けており、自動運転と駐車場に関する技術の運用の安全性を評価するために、ドイツの技術検査協会であるラインラントTUVの専門家によるサポートも受けている。
その理由は、無人自動パーキングが一般ユーザーに提供される前に関係当局から最終的な認可を受ける必要があったためで、その結果として2018年初めから世界に先駆けて一般ユーザーが自動パーキングをメルセデス・ベンツ博物館の駐車場で利用できるようになったのだ。
ボッシュとメルセデス・ベンツは今後、博物館で自動バレットパーキングの利用状況に関するデータを収集していく予定だ。このインフラ技術は既存の他の駐車場も導入できるため、駐車場の管理者は無人自動パーキング・システムを取り入れ、駐車スペースをより効率的に活用することも可能になる。