カスタマーが独自に指定された仕様に基づき、マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)が製作した2台の特別製作車がまもなく納車される。MSO R Coupe、MSO R Spiderと名付けられたこの2台のクルマは、個人からの委託により製作された最新のマクラーレンの系譜に連なるクルマとなる。
2台のMSO Rは、外装と内装、技術的な仕様は同じ。印象的でシックなリキッド・シルバーの塗装が施されており、Coupeはサテンの仕上げ、Spiderはグロスの仕上げで、中央部にはカーボン・ファイバーのストライプが入っている。ペアであることがひと目でわかる2台のMSO Rはどちらにも、同じデザインのツインエレメント・リヤウイングが装備されており、フロントのドライブプレーンによりエアロダイナミクス性能がさらに向上している。
フロントのバンパー、ボンネット、ルーバー付きフェンダー、ルーフスクープとリヤ・デッキは、サイドミラーのアームとケーシング、ワイパースカットルと同じく、すべてMSOバーチャル・カーボン・ファイバ(VCF)製だ。フロントのスプリッターとサイドブレードにはデルタ・レッドのピンストライプが入っており、スプリッター、サイドスカート、シルパネル、ロッカーパネルおよびプレナムカバーにはMSO Rのブランドロゴが付けられている。ホイールは2台とも同じ5スポークのデザインですが、Coupeはサテンブラック、Spiderはグロスブラックの仕上げとされている。
インテリアのデザインは、エクステリアに比べてさらに個性が際立っている。どちらのクルマもキャビンには、全体にAlcantara(R)を使用。黒地に赤のステッチを施したテーマが、シートでは逆の配色で赤地に黒のステッチが刺繍され、ヘッドレストには黒のMSO RPロゴが入っている。ステアリングホイールは上部と下部がカーボンファイバーで、グリップ部分はAlcantara(R)が使用され、中央にはデルタレッドのストライプが入っている。スイッチ類はグロスブラック、ベント部分はサテンブラック、ベゼルはカーボンファイバー仕上げとなっている。
今回のMSOパーソナル・コミッションでは、ビジュアルおよびデザインの変更が絶えず行われた。両方のクルマのエンジニアたちは設計の見直しを行い、ヘッドとエキゾーストのポートは手で磨かれ、3.8L V型8気筒M838TLツインターボ・エンジンの最高出力は688psに、最大トルクは700Nmに高められた。エキゾーストシステムには「クロスオーバー」マフラーが使用され、パイプの長さを伸ばすことでガスの流れが最適化され、エンドパイプにはチタニウムが使われている。
CoupeおよびSpiderは、どちらのキーにもMSO Rのロゴが入っている他、IRISスクリーンと計器群のディスプレー、ギアシフトのライトがビスポークだ。ビジュアル面でのさらなる特徴は、専用のプラークで、それによって、それぞれがMSOパーソナル・コミッションとして設計されたマクラーレンカーであるとともに、それぞれがレアなクルマではなく、他にはないクルマであり、今回の場合は唯一のペアであることも分かるようになっている。
委託製作された初期のマクラーレンカーには、McLaren X-1がある。2012年、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスが開催された週末に公開されたX-1は、個人からの委託では珍しくないことだが、匿名のカスタマーのために製作された。現在、MSOでは、ビスポークや特別製作車に関するカスタマーからの問い合わせが増えているという。なお、車両オーダーは道路運送車両の保安基準に適合することを確認した上でのオーダーが必要だ。