マクラーレン・オートモーティブは2026年5月4日、2027年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)ハイパーカークラスの新型レーシングカー「MCL-HY」と、そのサーキット専用派生モデル「MCL-HY GTR」を発表した。
マクラーレンは2027年のル・マン24時間レーシでWECカテゴリーへ復帰し、あらためてモータースポーツのチャンピオンの座を狙うことになる。

今回公開された「MCL-HY」は、2026年冬のホモロゲーション取得を経て実戦投入される予定だ。発表車両は、1960年代後半に活躍したマクラーレン M6Aに着想を得たテストカラーに塗装され、かつて創業者のブルース・マクラーレンがル・マン参戦を夢見た「M6GT」の系譜を現代に継ぐ存在に位置づけられている。

「MCL-HY」は、WECのACO規格およびIMSAのLMDh規定に準拠して開発。軽量カーボン製モノコックシャシーを採用し、パワートレーンにはレース用に開発したV6ツインターボエンジンとハイブリッド・システムを搭載。最高出力は520kW(707ps)に達する。最低重量は1030kgで、耐久レースで求められる効率と信頼性を両立させている。


車両開発は、マクラーレン・レーシングのエンジニアリングおよび空力開発力と、マクラーレン・オートモーティブのデザインのノウハウを融合して進められている。
2026年の開発テストには、マクラーレン・ハイパーカーチームのワークスドライバーであるミッケル・ジェンセンに加え、ドライバー育成プログラム所属のグレゴリー・サウシー、リチャード・フェルショアが参加。さらにベン・ヘンリーも開発ドライバーとして加わり、5月からサーキットテストが開始されることになっている。
ザック・ブラウンCEOは、「これでマクラーレンはF1、インディカー、そしてWECという世界最高峰の3カテゴリーに参戦することになる」とコメント。モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースを制するトリプルクラウンへの挑戦を明言した。

並行開発されるサーキット走行用市販レーシングカー「MCL-HY GTR」は、限られた顧客向けに用意される超少量生産モデルだ。レース仕様とは異なり、LMDh規定で義務づけられるハイブリッドシステムを搭載せず、2.9L・V6ツインターボエンジンを搭載。これにより重量を低減しながら約730psの出力を確保している。

「MCL-HY GTR」のオーナーには、単なる車両販売にとどまらない特別プログラム「Project:Endurance」が提供される。購入者は、マクラーレンのWEC活動にアクセスでき、開発テストから2027年ル・マン24時間レース本番まで、その舞台裏を体験することが可能だ。さらに、世界の主要サーキットで2年間、全6回の専用走行プログラムも用意され、プロドライバーによるドライバー・トレーニング、専属ピットクルー、レースエンジニアのサポートを受けることができ、オーナーはサーキットに到着して走るだけというフルサポート環境が提供される。


なお、市販モデル「MCL-HY GTR」のデリバリー開始は2027年末が予定されている。このWEC参戦プロジェクトは、マクラーレンがかつて築き上げた耐久レースの栄光を現代に再構築するモータースポーツ戦略を象徴するビッグ・プロジェクトである。













