フォードから新型SUV KUGAが発売  桂伸一動画レポート

 

フォード・ジャパンリミテッドは2010年10月5日からコンパクトSUVであるフォード・Kuga(クーガ)の販売を開始した。年齢によっては往年のマーキュリークーガーを思い浮かべる人もいるだろうが、全く違うカテゴリーで関係もない車種である。

これまでフォード・ジャパンが販売するSUVモデルにはハイグレードにエクスプロ―ラがあり、エントリーサイズにはエスケープがあった。今回発売されたクーガはその中間に位置するグレードで335万円と378万円の2機種で販売されるモデルだ。

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具体的に日本に導入されるグレードはTitanium(タイタニアム)とTrend(トレンド)。その違いは主に装備品の違いで、タイタニアムのレザーシートに対し、トレンドはファブリック、18インチと17インチ、HIDバイキセノンとハロゲンヘッドランプなどの違いがある。しかし、エンジンや駆動系など走行機能においては違いのない設定となっている。

エクステリアの特徴は、フォードがグローバルに展開しているキネティック・デザインコンセプトで、クルマをエモーショナルかつ視覚的にアピールし、面構成を彫の深いプレスラインで強調している。デザインキューとして台形が随所に用いられていることでも、キネティックデザインのポイントとなる。

 

採用されたプラットフォームはフォードC1で、フォーカス、マツダ・アクセラ、ボルボV50と共通だが、トレッドは43mm、ホイールベースで50mm拡大している。このプラットフォーム採用している他の車種からも想像できるように、スポーティな走りの良さを追求しているモデルと言えよう。

クーガは2008年に欧州で販売が開始されたモデルで、開発はドイツ・フォードで行われ、生産もドイツ・ザールイ工場で行われている。それゆえにドイツ車的なしっかりした乗り味であり、デザインもアメ車ではなく、欧州車のイメージに仕上がっているわけだ。国内でドイツ・フォード生産モデルが販売されるのも数年ぶりのことになる。

今回販売されるモデルは、2.5Lターボに5速ATのAWDとなっている。欧州では2.0Lディーゼルや6速マニュアル、FFモデルというのもあるが、国内マーケットにはモデルを絞っての販売となっている。この2.5Lターボエンジンはフォードグループ共通で使用されるデュラテック・ターボで、スポーツモデルのフォーカスSTやボルボにも採用されている5気筒、200ps/6000rpm、320Nm/1600rpm-4000rpmという出力をもつエンジンだ。燃費性能では10.3L/100kg(9.7km/L)で欧州複合モード燃費を達成している。CO2排出量は244g/kmとSUVとしては低エミッションと言えるだろう。

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駆動システムでのセールスポイントはインテリジェントAWDだ。このAWDシステムはFFベースのオンデマンド方式(アクティブオンデマンドカップリング)で、多角的に車両情報をモニタリングし制御している。ドライバーが操作しなければならないスイッチやレバー操作などは一切なく、最大50:50の割合でトルクを配分し、常に最適なグリップが得られるようになっている。この制御するパラメータにはエンジントルク、回転(車速)、スロットルの位置、ステアリングの角度、ヨーレート(ESP)、制動システム(ABS)、全車輪の回転速度(TCS)などがある。

発進時から最大10%のトルクを後輪に伝達することが可能で、アクティブ・オンデマンド・カップリングシステム(ハルデックス社製)が可能としていて、競合他社の一部でみられるような、発進後でなければ後輪にトルクを伝達できないタイプとは違っている。

また、クーガの安全デバイスとしてCBC(コーナー・ブレーキ・コントロール)とBLD(ブレーキ・ロック・デファレンシャル)を標準装備している。CBCはコーナリング中にEBD(電子制御制動力分配装置エレクトリック・ブレーキフォース・ディストリビューション)やABSが作動した際に、内側前輪の制動圧を減ずることで安定性を維持する。つまりオーバーステア傾向(スピンモード)を示した場合などにスタビリティを確保する働きを持っている。また、BLDは左右のタイヤのトルク配分をコントロールするデバイスで、空転しているタイヤにブレーキをかけ、もう一方のタイヤへのトルクを分配するシステムで、これらのデバイスによって、あらゆる路面でトルクを最適化することができるわけだ。

インテリアでは、まずドライビングポジションが高めになっていることに気づく。助手席では高めのポジションが明るく開放感に満ちたスペースを感じられるという。そしてドライバーはボンネットを見下ろすことができ、それが安全性と快適性に寄与するということだ。実際ライバルとなるであろう、フォルクスワーゲン・ティグアンとは異なるドラポジであり、どちらが好みかということかもしれない。また、アレルギー証明試験を受けており、TOX PROOFというドイツの独立検査機関TUVが行うもので、人体に影響を及ぼすとされる有機フッ素、有機塩素、有機ヨウ素化合物等の有機ハロゲンの有無の認証を受け、アレルギー発症リスクを最小限に抑えたインテリアでもある。

トランクススペースは、リヤシートが6:4の分割となり、また、リヤシートを折りたたんだ状態では全長1578mm完全なフルフラットとなるため、1355Lの収納スペースが確保される。そしてリヤハッチとウインドウは2ウエイのリフト機能を持っている。車両後方が狭い場所ではゲート上部だけをあけて、トランクスペースへのアクセスができるのは便利だ。

最後に安全装備について触れておくと、前述のように、クーガにはABS、ESP、TCS、EDCを統合制御するインテリジェントAWDがアクティブ・セーフティとすれば、パッシブ・セーフティでは超高張力鋼板(UHSS)を用いた強靭でありながら軽量なパッセンジャーセルを造り出し、側面、および前方衝突に対する強いインパクトプロテクション効果を持っている。このことはボディ剛性の向上にもつながり、ハンドリングにも好影響を及ぼしている要因のひとつだ。

なかでもESPにARM(アンチ・ロールオーバー・ミティゲーション)が組み込まれており、ARMが作動して前輪を制動する場合には、エンジントルクはゼロとなり、車体のロールを低下させ横転の可能性を最小限に抑える。ESPとAMSの複合効果であえてアンダーステアを生じさせ、車両の走行速度を低下させる働きも行い。横転の可能性が解消されれば、ARMは制動及びエンジンへの介入を中止し通常走行が再開するようになる機能も盛り込まれている。

さらに、フォード独自のIPS(インテリジェント・パッシブ・プロテクションシステム)はパッシブ・セーフティ機能の総合システムを指し、フロント、サイドエアバッグのほか左右のショルダーカーテンエアバッグを合わせた計6個のエアバッグ、アジャスタブルヘッドレスト付シート、フロントのプリテンショナー、ロードリミッターを採用したシートベルトなどの安全装備がクーガの代表的なIPS標準デバイスである。

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↑ボンネットフードはキーを使って開ける

◆Titanium 2.5L+ターボ 5AT 378万円(消費税込)

◆Trend 2.5L+ターボ 5AT 335万円(消費税込)

文:編集部 高橋明

フォード・ジャパン・リミテッド公式Web

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