【コラム】クルマは道が造るというが・・・

クルマと過ごす日々 vol.26

ドイツへ取材に行ってきました。

クルマと過ごす日々 vol.26 フランクフルト アウトバーン
フランクフルト空港を出るとすぐ、雨上がりの虹

クルマの開発に直接かかわった人のほとんどが言う「クルマは道が造る」という表現。その道を快適に、安全に走るために、ということが開発の根底にあるからでしょう。道路環境がクルマを鍛え、育てるというわけです。

クルマと過ごす日々 vol.26 フランクフルト アウトバーン 風力発電
至る所に風力発電のウイングがあります。年々増えています

ドイツはアウトバーンをはじめ、道路は快適に走れます。ひとつには、速度が速いことも理由のひとつだと思います。そしてルールをキチン守るということも大事です。日本は速度を落とすことが安全であるという考えですから、全体に速度が遅く、守れないルールもたくさん存在します。

ドイツの速度標識への認識は、『表示の速度まで落としなさい』ということで、『表示の速度以上出してはいけない』という日本とは捉え方が微妙に違います。130km/hの標識が出たら、130km/hまで落とす。それは危険なエリアだから。そして危険なエリアを過ぎると130km/h解除の標識がでます。

クルマと過ごす日々 vol.26 フランクフルト アウトバーン
130km/hの速度制限が解除されます。この先は速度無制限です

そして走っているクルマのほとんどがその速度を守ります。街に入ると30km/hの標識が街の入り口にあります。が、すべてのクルマがその速度を守ります。そして解除されると、速度制限は100km/hになります。

クルマと過ごす日々 vol.26 ドイツの道路 100km.h制限
ワインディング?速度標識はありませんが100km/h

アウトバーンでは高級なクルマは160km/h以上でしょう。そして大衆車は130km/hくらいで走行しているケースが多いですね。もともとが階級社会ですから、大衆車で180km/hを出す人は、相当緊急な場合なのでしょう、普段は高級車と同じような速度では走りません。車格をわきまえた走行速度ということです。

それでも相対的に車速は日本より断然速い。ドイツに限らず、欧州全体がそうです。そうした走行環境で、安全、安心に走れるクルマが求められるわけで、ボディ剛性や操舵やブレーキなどダイナミック性能のレベルが高いということです。道路がクルマをつくる所以ですね。反面、ユーティリティなどの小物入れ、シートの折り畳みといった別の機能面では日本車が勝っています。

クルマと過ごす日々 vol.26 クリオワゴン レンタカー
新車のレンタカー。走行距離は100km。返却時は1000km超えて慣らし終了?

レンタカーのクリオワゴン。日本にはないモデルですね。3気筒なのですが、排気量が不明。NAでした。5速MT。130km/hでアウトバーンを走っていると上り坂で4速へシフトダウンが必要な程度の馬力です。1.0Lから1.5Lくらいでしょう、多分。

フランスのオートルートでは全域130km/hが最高速ですが、上り坂に差し掛かると130km/hの標識が表示されます。速度低下しないように自然とメーターを見ます。日本では『登り坂、速度低下に注意』と日本人にだけ分かる方法で表示されます。なぜ100km/hと出さないのでしょう。

クルマと過ごす日々 vol.26 クリオワゴン 農道
5月、6月のドイツはこの黄色い花と麦畑の景色が延々と広がります

その非力なエンジンですが、サスペンションはさすがです。ばっちりのハンドリングで快適。ブレーキも安心の効きがあり、クルマづくりの基本がよくわかります。

クルマと過ごす日々 vol.26 アウトバーン WRX STI
ニュルブルクリンクへ向かう途中、猛烈な速度で抜かれました
クルマと過ごす日々 vol.26 森の中の道路
100km/hだとちょうどいい感じでのんびりと走れます
クルマと過ごす日々 vol.26 ワインディング
センターラインのない細いワインディング。みなさん80km/hくらいで走行。制限はなく100km/hなんですけど
クルマと過ごす日々 vol.26 森の中の道路
左が森で、動物がいそうな場所。自然と速度を落としてますね地元の方は
クルマと過ごす日々 vol.26 ワインディング
青空と緑と。20度弱、乾燥した空気。走るのが楽しい

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