クルマと過ごす日々 vol.26
ドイツへ取材に行ってきました。
クルマの開発に直接かかわった人のほとんどが言う「クルマは道が造る」という表現。その道を快適に、安全に走るために、ということが開発の根底にあるからでしょう。道路環境がクルマを鍛え、育てるというわけです。
ドイツはアウトバーンをはじめ、道路は快適に走れます。ひとつには、速度が速いことも理由のひとつだと思います。そしてルールをキチン守るということも大事です。日本は速度を落とすことが安全であるという考えですから、全体に速度が遅く、守れないルールもたくさん存在します。
ドイツの速度標識への認識は、『表示の速度まで落としなさい』ということで、『表示の速度以上出してはいけない』という日本とは捉え方が微妙に違います。130km/hの標識が出たら、130km/hまで落とす。それは危険なエリアだから。そして危険なエリアを過ぎると130km/h解除の標識がでます。
そして走っているクルマのほとんどがその速度を守ります。街に入ると30km/hの標識が街の入り口にあります。が、すべてのクルマがその速度を守ります。そして解除されると、速度制限は100km/hになります。
アウトバーンでは高級なクルマは160km/h以上でしょう。そして大衆車は130km/hくらいで走行しているケースが多いですね。もともとが階級社会ですから、大衆車で180km/hを出す人は、相当緊急な場合なのでしょう、普段は高級車と同じような速度では走りません。車格をわきまえた走行速度ということです。
それでも相対的に車速は日本より断然速い。ドイツに限らず、欧州全体がそうです。そうした走行環境で、安全、安心に走れるクルマが求められるわけで、ボディ剛性や操舵やブレーキなどダイナミック性能のレベルが高いということです。道路がクルマをつくる所以ですね。反面、ユーティリティなどの小物入れ、シートの折り畳みといった別の機能面では日本車が勝っています。
レンタカーのクリオワゴン。日本にはないモデルですね。3気筒なのですが、排気量が不明。NAでした。5速MT。130km/hでアウトバーンを走っていると上り坂で4速へシフトダウンが必要な程度の馬力です。1.0Lから1.5Lくらいでしょう、多分。
フランスのオートルートでは全域130km/hが最高速ですが、上り坂に差し掛かると130km/hの標識が表示されます。速度低下しないように自然とメーターを見ます。日本では『登り坂、速度低下に注意』と日本人にだけ分かる方法で表示されます。なぜ100km/hと出さないのでしょう。
その非力なエンジンですが、サスペンションはさすがです。ばっちりのハンドリングで快適。ブレーキも安心の効きがあり、クルマづくりの基本がよくわかります。