2030年は「MaaS」の時代!とは言うが「MaaS」とは何だ?

調査会社の予測では、このMaaSの市場は、2050年にグローバルで約331兆円規模になるともいわれており、自動運転、ライドシェア、コネクテッドカーといったモビリティに関する新しい技術やサービスをすべて包括している。言い換えれば次世代の移動(モビリティ)を包括する概念ともいうことができる。

フィンランドのMaaSグローバルの衝撃

フィンランド MaaSグローバル
MaaSグローバル社のホームページ

実はMaaSという言葉は、2016年にフィンランドで初めて登場している。フィンランドのベンチャー企業「MaaSグローバル」のMaaSがこの言葉の源流なのだ。

もともとこのMaaSグローバルの事業はフィンランドの官民学が連携したプロジェクトで、人々の移動に関するサービスを統合スマホアプリ「Whim(ウィム)」ですべて実現しようとするものだ。もちろんこのアプリ「Whim(ウィム)」は官民学が連携したオープンデータとオープン・ソフトウエア・インターフェースから成り立っている。

そしてWhimアプリを使用すれば、カーシェア、タクシー、鉄道、バス、シェア自転車など、あらゆるモビリティサービスが統合され、使用者にとって最も効率的で快適、割安な移動サービスが実現するのだ。

この運用にあたっては、運輸と情報通信を所管する「フィンランド交通通信省」、首都ヘルシンキ周辺で営業する公共交通の路線計画や切符の販売を行なう「ヘルシンキ地方交通局」、各種交通機関の情報通信ネットワークの高度化を官民学で検討する「ITSフィンランド」なども全面的にバックアップしている。

つまりMaaSは、交通行政を担当する政府や地方機関が抱えている交通問題や環境対策などに関する負担を大幅に低減でき、都市部の住民には多様な移動手段がネットワーク化され、Whimで移動の計画を立て、移動手段を予約し、料金の支払いも行なうことができる利便性がある。

フィンランド MaaSグローバル スマホアプリWhim
MaaSグローバルのスマートフォン・アプリ「Whim」

即実現可能なMaaS

そして、このMaaSを実現するためのテクノロジーは、すでに存在している点も注目すべきだろう。MaaSの実現のために新たな投資や、ハードウェア開発の必要がないのだ。

4G回線を使用するスマートフォンやバックエンドサーバーと情報をやり取りできるネットワーク、サーバーにおけるAI、ディープラーニングなどの活用、さらにはクルマの電動化、自動運転や運行ルートの自動設定技術、そしてカーシェアリングや配車サービス・アプリ(Uber、滴滴出行など)はいずれも現存している。

強いて言えばシェアリングサービス用の自動運転車はまだプロトタイプの段階ということくらいだ。つまりMaaSは自動車メーカーが開発している自動運転車や電動車、カーシェアリングや配車サービス・アプリなど、既存の事業者をすべて包括する社会的なビジネス・コンセプトなのだ。そのためMaaSの与えたインパクトはきわめて大きく、デンソーやトヨタは直ちにMaaSグローバル社に出資したのだ。

またダイムラー社やフォルクスワーゲン社などはモビリティサービスの実現と拡大にスタートを切っており、トヨタは2018年1月に自動車製造ビジネスから「モビリティ・サービス・カンパニー」へと舵を切ることを発表した。

そしてトヨタのモビリティサービスの近未来像であるe-パレット・プロジェクトのアライアンスにAmazon、滴滴出行、マツダ、ピザハット、Uberをスタートアップ・パートナーとして選んでいる。

トヨタだけでなく世界の主要な自動車メーカーは、最後の巨大市場であるアフリカの開拓を終えた後に残されるのは、主要な巨大都市(メガシティ)への人口集中による大気汚染の悪化、交通渋滞の激化など、クルマを使用する環境が厳しくなるのに加えて、少子高齢化現象により自動車の販売台数は大幅に落ち込むと予想されている。

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