トヨタとENEOSは2021年5月10日、静岡県・裾野市でトヨタが建設を進めている未来都市「ウーブ・ンシティ(Woven City)」での水素エネルギーの利活用について、具体的な検討を進めることに基本合意したと発表しました。
両社は、トヨタの子会社でソフトウェアを中心とした様々なモビリティの開発を担うウーブン・プラネット・ホールディングスとともに、水素を作る、運ぶ、使うという一連のサプライチェーンに関する実証をウーブン・シティとその近隣で行ないます。
ENEOSは、四大都市圏で商用水素ステーションを45カ所展開する水素事業のリーディングカンパニーとなっています。また、本格的な水素の大量消費社会を見据えたCO2フリー水素のサプライチェーン構築や水素製造に関する技術開発にも取り組んでおり、エネルギーの低炭素化を推進しています。
トヨタは、乗用車から商用車、産業車両、鉄道、船、定置式発電にいたるまで様々な用途での水素および燃料電池(FC)技術の開発・普及に取り組んでおり、こうした2社の水素に関する知見を活かし、様々な実証を通じて、ウーブン・シティにおけるモビリティ、人のくらし、そして街全体のカーボンニュートラルを目指すとしています。
具体的な検討項目は以下です。
・ENEOSによるウーブン・シティの近隣での水素ステーションの建設・運営。
・ENEOSの水素ステーションに設置した水電解装置で再生可能エネルギー由来の水素(グリーン水素)を製造し、ウーブン・シティに供給。トヨタが定置式FC発電機をウーブン・シティ内に設置し、グリーン水素を使用。
・ウーブン・シティとその近隣の物流車両のFC化の推進とFC車両を中心とした水素需要の商用化の検証とその需給管理システムの構築。
・ウーブン・シティの敷地内に設置予定の実証拠点での水素供給に関する先端技術研究。
水素エネルギーは、カーボンニュートラル実現のための必須の存在といわれていますが、現時点では商業ベースでの事業化の見通しはついていないため、この取組みはより具体的、包括的な実証実験と位置づけられています。